ニコンのオールドレンズを調べ始めると、「銘玉」と呼ばれる名前が次々に出てきて、結局どれを買えばいいのか分からなくなります。105mm f/2.5S、50mm f/1.2S、28mm f/2.8S——どれも評判は良さそうなのに、中古価格は15,120円から84,600円までバラバラ。しかも生産終了品ばかりで、新品でスペックを確かめることもできません。
結論から言うと、選ぶ基準は3つに絞れます。「フィルター径52mmで揃うか」「最短撮影距離が自分の被写体に合うか」「中古の球数があるか」です。この3点で見ていくと、候補は7本まで自然に絞り込めます。描写の好みは最後でかまいません。先に運用のしやすさで足切りしたほうが、買ってから使わなくなる失敗を避けられます。
この記事では、ニコンが公式に公開しているスペック表の数値と、価格.comの中古掲載価格をもとに、銘玉と呼ばれる7本を横並びで比較します。あわせて、Zシリーズのミラーレスで使うための手順(マウントアダプター FTZ IIとレンズ情報手動設定)と、中古で買うときに見るべきチェック項目もまとめました。オールドレンズは「買い方」で満足度が半分決まります。
・ニコンの銘玉と呼ばれるMFニッコール7本の公式スペックと中古価格の実額
・105mm f/2.5S・50mm f/1.2S・28mm f/2.8Sの得意な場面と妥協点
・Zシリーズで使うためのFTZ IIの設定手順と、使えなくなる機能
・中古で避けるべき個体の見分け方(カビ・クモリ・バルサム切れ・絞りの粘り)
ニコンのオールドレンズ銘玉が今また選ばれている3つの理由

ミラーレスのピント拡大とピーキングで、MFの難しさが消えた
オールドレンズが再評価されている最大の要因は、ボディ側の進化です。ニコンは公式のQ&Aで、Zシリーズにオールドレンズを装着した場合のピント合わせとして、拡大表示ボタンとフォーカスピーキングの併用を案内しています。ピーキングは「3(高感度)」「2(標準)」「1(低感度)」「しない」の4段階で、合焦と判断される範囲の広さを調整できます。
これが効くのは、一眼レフの光学ファインダーではピント面の薄さを目で確認しきれなかったからです。マット面の粒状感に紛れて、f/1.4の被写界深度内に入っているかどうかは経験と勘の世界でした。ミラーレスなら拡大表示でまつ毛1本まで追い込めます。
逆に言えば、一眼レフのD850やD780でオールドレンズを使う場合は、ライブビューに切り替えて同じ作業をすることになります。ファインダーを覗いたまま撮るなら、合焦精度は落ちる前提で絞って使うのが現実的です。注意点として、ピーキングは輪郭の強いコントラスト部分に反応するため、のっぺりした被写体や暗所では反応が鈍くなります。ピーキングだけを信じず、拡大表示での最終確認を癖にしてください。詳しい手順はニコン公式のQ&A「Zシリーズミラーレスカメラとオールドレンズによる撮影方法」で確認できます。
AI方式=レンズの絞り値をカメラ本体へ機械的に伝える連動方式。Ai-Sはその改良版で、シャッター速度優先AEなどに対応した世代を指します。非CPUレンズ=電子接点を持たないレンズの総称で、ここで扱うMFニッコールはすべて非CPUレンズです。
フィルター径52mmで揃うから、買い足しても周辺機器が増えない
この記事で扱う7本のうち6本が、アタッチメントサイズ52mmで共通しています。50mm f/1.4S、50mm f/1.2S、105mm f/2.5S、135mm f/2.8S、28mm f/2.8S、35mm f/2S、そしてMicro 55mm f/2.8Sまで52mm。例外は85mm f/1.4Sの72mmだけです。
現行レンズを複数本そろえると、フィルター径がレンズごとに分かれてしまい、保護フィルターもPLフィルターも本数ぶん買い足すことになります。MFニッコールなら52mmのPLフィルターが1枚あれば全部に使い回せます。レンズキャップも共通なので、うっかり1個なくしても困りません。
使用シーンで効いてくるのは旅行や登山です。フィルター1枚とキャップ1個だけ予備を持てば、レンズ3本分のトラブルに対応できます。注意点は、広角の28mm f/2.8Sで厚みのあるフィルターを重ね付けすると、画面四隅にケラレが出る可能性があること。保護フィルターとPLフィルターの重ね付けは避け、薄枠タイプを選んでください。
中古16,100円から選べる焦点距離がある
価格帯の下限が低いのもオールドレンズの魅力です。価格.comに掲載されている中古で見ると、AI Nikkor 135mm f/2.8Sがカメラのキタムラの状態Cで16,100円(送料550円)、AI Micro-Nikkor 55mm f/2.8Sが15,120円から掲載されています。現行のZマウント単焦点では届かない価格帯です。
この安さは、1980年代前後に大量生産された標準〜中望遠のMFレンズが、いまも大量に中古市場へ流れ続けているためです。球数が多い=相場が上がりにくい構造になっています。
一方で、すべてのMFニッコールが安いわけではありません。AI Nikkor 28mm f/2.8Sは中古の掲載が62,500円から73,500円、AI Nikkor 85mm f/1.4Sは71,800円から84,600円と、現行の新品レンズに近い水準です。「オールドレンズ=安い」という前提で探すと、目当ての1本が予算を大きく超えていた、ということが起こります。焦点距離ごとに相場がまったく違う点は最初に押さえておいてください。

「オールドレンズを試してみたいけれど、何を買えばいいかわからない」。カメラを始めてしばらくすると、こんな疑問が出てくる方は多いはずです。結論から言えば、最初の1…
標準50mmは2本で迷う|f/1.4Sとf/1.2Sは重さと絞り羽根が違う
AI Nikkor 50mm f/1.4S:約250gで0.45mまで寄れる万能標準
最初の1本に推したいのはAI Nikkor 50mm f/1.4Sです。レンズ構成は6群7枚、画角46°(FXフォーマット)、最短撮影距離0.45m、最大撮影倍率0.14倍、絞り羽根7枚、質量は約250gです。寸法は約63mm(最大径)×40mm(長さ)で、Zボディに付けても前に出っ張りません。
推す理由は球数と価格のバランスです。価格.comの中古掲載はONE SCENEの21,200円から、カメラのキタムラの38,200円まで幅があり、状態を選べる本数が並んでいます。23,300円や26,300円といった中間の個体も複数あるため、「予算に合わせて状態を選ぶ」買い方ができます。
使用シーンは、テーブルフォトからスナップ、夜の街歩きまで。0.45mまで寄れるので料理を撮るときも一歩下がらずに済みます。DXフォーマットのZ50IIやZ fcに付ければ75mm相当になり、寄れる中望遠として使えます。
妥協点は、開放f/1.4での周辺の流れと、逆光でのコントラスト低下です。コーティングは現行レンズの水準ではないため、太陽を画面内に入れるとフレアが出ます。絞りをf/2〜f/2.8まで絞れば描写は引き締まるので、開放は「使える場面で使う」くらいの距離感がちょうどいいです。
| 製品名 | AI Nikkor 50mm f/1.4S |
| レンズ構成 | 6群7枚/絞り羽根7枚 |
| 最短撮影距離 | 0.45m(最大撮影倍率0.14倍) |
| 質量・フィルター径 | 約250g/52mm |
| 中古価格(価格.com掲載) | 21,200円〜38,200円 |
AI Nikkor 50mm f/1.2S:9枚絞りの円形ボケと約360gの重量感
もう一段踏み込むならAI Nikkor 50mm f/1.2Sです。レンズ構成は6群7枚とf/1.4Sと同じ枚数ですが、絞り羽根が9枚に増え、最短撮影距離は0.5m、最大撮影倍率0.12倍、質量は約360gになります。最大径は約68.5mm、全長は約59mmと、ひと回り大きくなります。
9枚絞りの効果は、絞ったときのボケの形に出ます。7枚絞りは絞り込むと多角形のボケになりますが、9枚は円に近い形を保ちます。夜景の玉ボケを背景に入れる撮り方では、この差が見た目に効いてきます。
中古の掲載価格はアローカメラの48,000円からカメラのキタムラの84,100円まで。ONE SCENEの56,500円、Five Star Cameraの63,800円といった中間帯にも在庫があります。f/1.4Sと比べると倍以上の予算が必要です。
妥協点ははっきりしています。開放f/1.2は周辺光量落ちと球面収差が強く出て、端正な解像を求める用途には向きません。ピント面も薄く、0.5mの近接では数センチのズレで外れます。「開放の柔らかさを狙って使う」意図がないなら、f/1.4Sのほうが満足度は高いはずです。
どちらを買うか:予算と持ち歩く時間で決める
結論は、初めてのMFニッコールならf/1.4S、すでにMFに慣れていて絞り開放の描写を作品にしたいならf/1.2Sです。判断材料は2つだけ、予算と重さです。
価格差は実額で見ると分かりやすく、f/1.4Sは21,200円から、f/1.2Sは48,000円からのスタートです。同じ予算でf/1.4Sなら状態の良い個体が狙え、余りでFTZ IIの購入資金にも回せます。
重さは約250gと約360gの違いです。数字だけ見ると小さな差に見えますが、ボディに1日ぶら下げると体感は変わります。街歩きスナップ中心ならf/1.4S、三脚や腰据えの撮影が多いならf/1.2Sでも負担になりません。
注意したいのは、両者は画角が同じという点です。46°(FXフォーマット)で完全に同一なので、2本持ちしても撮れる画の広さは変わりません。「描写違いの同一画角を2本持つ」ことに意味を感じないなら、1本に投資を集中させたほうが結果は良くなります。
失敗パターン①:開放で撮ってピントが全部外れていた
オールドレンズを買った人が最初につまずくのが、家に帰ってから「全カットがピント外れ」と気づくパターンです。原因は、開放f/1.4やf/1.2での被写界深度の薄さと、MF操作の慣れ不足が重なることにあります。
特に起きやすいのは最短撮影距離に近い0.45mから0.5mの近接です。この距離で開放を使うと、ピント面は数センチしかありません。カメラを構え直すだけで前後にずれるため、ファインダーで合焦を確認しても、シャッターを切る瞬間にはもう外れています。
対策は3つです。第1に、拡大表示でピントを合わせたら、身体を固定してすぐ切ること。第2に、近接では絞りをf/2〜f/2.8まで絞って深度を稼ぐこと。第3に、同じ構図で微妙にピント位置を変えて3カット撮っておくこと。フィルム時代と違って枚数のコストはゼロなので、保険を掛けない理由がありません。
ピーキングだけに頼るのも失敗のもとです。感度を「3(高感度)」にすると合焦と判定される範囲が広がるため、実際には前ピンでも色が乗ります。最終確認は必ず拡大表示で行ってください。

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ポートレートで語り継がれる中望遠3本の実力と入手しやすさ

AI Nikkor 105mm f/2.5S:4群5枚・約435gの変形ガウス
ニコンのMFレンズで「銘玉」と言えば、まず名前が挙がるのがAI Nikkor 105mm f/2.5Sです。公式スペックはレンズ構成4群5枚、画角23°20′、最短撮影距離1m、最大撮影倍率1/7.7倍、絞り羽根7枚、質量約435g、寸法は約64mm(最大径)×69.5mm(長さ)。ニコンは変形ガウスタイプと説明しており、フードは内蔵式です。
評価されてきた理由は、枚数の少ないシンプルな構成にあります。4群5枚はコントラストが落ちにくく、ボケも素直に溶けます。ポートレートで背景をきれいに整理したい撮り方に向く設計です。
ただし入手性については正直に書きます。価格.comでは2026年9月時点で中古の販売掲載がなく、確認できるのは買取価格だけです。カメラのキタムラのネット買取が21,000円、ネットオフが9,000円、ニノ グループ オンラインストアが8,200円という数字が並んでいます。買取上限が21,000円ということは、店頭販売価格はそれより上に設定されるのが普通なので、予算はその前提で組んでください。
妥協点は最短撮影距離1mという寄れなさです。バストアップを狙うと下がる必要があり、屋内の狭い部屋では窮屈になります。寄れる中望遠が欲しいなら、後述のMicro 55mm f/2.8Sのほうが用途に合います。実物のスペックはニコン公式の主な仕様ページで確認できます。
中望遠で迷ったら、まず最短撮影距離を見てください。105mm f/2.5Sは1m、85mm f/1.4Sは0.85m、135mm f/2.8Sは1.3m。屋内でのポートレートが多いなら0.85mの85mm、屋外で背景を圧縮したいなら1.3mの135mmが扱いやすくなります。
AI Nikkor 85mm f/1.4S:約620gと引き換えに得る9枚絞りのボケ
開放の描写で選ぶならAI Nikkor 85mm f/1.4Sです。レンズ構成5群7枚、画角28°30′、最短撮影距離0.85m、最大撮影倍率1/7.9倍、絞り羽根9枚、最小絞りf/16。寸法は最大径80.5mm×長さ64.5mm、質量は約620gあります。無限遠から0.85mまで性能を保つ近距離補正方式を採用しています。
この1本が語られ続けているのは、f/1.4という明るさと9枚絞りの組み合わせで、背景が素直に溶けるからです。半身から上のポートレートで、背景の看板や電柱を形が分からなくなるまでぼかせます。
中古の掲載はFive Star Cameraの71,800円(状態B)から、カメラのキタムラの84,600円(状態C)まで。状態Bで76,800円という個体もあり、価格帯は現行の中級レンズと変わりません。
妥協点は2つ。約620gという質量は、ここで挙げた7本の中で最も重く、Zボディに付けると前重心になります。もう1つはフィルター径が72mmで、52mmで揃うほかの6本と共用できない点です。保護フィルターもPLも、この1本のためだけに追加購入が必要になります。
AI Nikkor 135mm f/2.8S:16,100円から狙える内蔵フードの望遠
予算を抑えて望遠の画角を足したいなら、AI Nikkor 135mm f/2.8Sが現実的です。レンズ構成4群5枚、画角18°、最短撮影距離1.3m、最大撮影倍率1/7.5倍、絞り羽根7枚、最小絞りf/32、質量約435g、寸法は最大径64mm×長さ83.5mm。引き出し式のフードを内蔵しています。
推せる理由は価格です。価格.comに掲載されている中古はカメラのキタムラの状態Cで16,100円(送料550円)。中望遠の画角をこの金額で試せる選択肢は、現行レンズにはありません。
使用シーンは、屋外のポートレート、被写体に近づけない発表会や運動会、そして風景の一部を切り取る撮り方です。DXフォーマットのボディに付ければ202.5mm相当になり、望遠として通用します。
注意点は、画角18°の狭さと1.3mという最短撮影距離です。屋内では被写体から3歩以上下がる必要があり、家の中では使いどころが限られます。またf/2.8は135mmとしては明るいものの、手ブレは出やすい領域です。ボディ内手ブレ補正のないZ 50などで使う場合は、シャッター速度を速めに設定してください。
中望遠3本は「寄れる距離」で使い分けが決まる
3本の性格を分けているのは、開放f値ではなく最短撮影距離です。85mm f/1.4Sが0.85m、105mm f/2.5Sが1m、135mm f/2.8Sが1.3m。この順番がそのまま「屋内で使いやすい順」になります。
理由は単純で、寄れない中望遠は下がるスペースを要求するからです。6畳の部屋で1.3mまでしか寄れない135mmを使うと、構図の自由度はほとんどありません。逆に屋外の公園や河川敷なら、下がるスペースは無限にあるので、135mmの圧縮効果が活きます。
最大撮影倍率も揃って小さく、105mm f/2.5Sで1/7.7倍、85mm f/1.4Sで1/7.9倍、135mm f/2.8Sで1/7.5倍です。花の接写や小物撮りには向かない数値なので、寄りたいならマクロを別に用意する前提で考えてください。
デメリットとして共通するのは、MFでの動体追従が難しいことです。歩いてくる人物にピントを合わせ続けるのは現行のAFレンズの仕事で、オールドレンズには荷が重い場面です。止まっている被写体、あるいは止まる瞬間がある被写体に絞って使うのが正解です。
広角・スナップ・マクロを1本ずつ埋める3本の選び方
AI Nikkor 28mm f/2.8S:0.2mまで寄れる広角という異色の設計
MFニッコールの広角で評価が高いのがAI Nikkor 28mm f/2.8Sです。レンズ構成8群8枚、画角74°(35mm判・FXフォーマット)、最短撮影距離0.2m、最大撮影倍率0.25倍、絞り羽根7枚、最小絞りf/22、質量約250g、寸法は約63mm(最大径)×44.5mm(長さ)。撮影距離情報は無限遠から0.2mまでと公式に明記されています。
この0.2mと0.25倍という数字が、ほかの広角と決定的に違う部分です。広角で20cmまで寄れると、手前の被写体を大きく、背景を広く写す「広角接写」が成立します。料理の皿に近づいて店内の空気ごと写す、花を手前に入れて山を背景に置く、といった撮り方が1本でできます。
中古の掲載価格はカメラのキタムラの状態Bで62,500円、状態Cで73,500円。MFの28mmとしては高い部類で、ここは正直に伝えておきます。近接性能の評価が定着しているぶん、相場が下がりにくくなっています。
妥協点は、開放f/2.8という控えめな明るさと、逆光耐性です。8群8枚という枚数は当時の広角としては多く、強い光源が画面に入るとゴーストが出やすくなります。日中の順光〜斜光で真価を発揮するタイプだと考えてください。
ニコンは公式Q&Aで、FTZ II経由でFマウントレンズを使う場合「レンズによっては画像周辺部に減光やケラレが生じたり、手ブレ補正の効果が充分に得られない場合があります」と案内しています。広角ほど周辺減光は目立ちます。フィルターの重ね付けは避け、購入後は空や白い壁を撮って四隅の状態を早めに確認してください。
AI Nikkor 35mm f/2S:約280gで0.3mまで寄れるスナップの主力
1本だけ持って街に出るならAI Nikkor 35mm f/2Sが扱いやすい選択です。レンズ構成6群8枚のレトロフォーカスタイプ、画角62°、最短撮影距離0.3m、最大撮影倍率1/5.7倍、絞り羽根7枚、最小絞りf/22、質量約280g、寸法は63mm(最大径)×51.5mm(長さ)。発売は1981年9月です。
35mmという画角が支持されるのは、目で見た範囲に近く、構図で悩む時間が短いからです。62°は広すぎず狭すぎず、人物を入れても背景の情報を切り捨てずに済みます。f/2の明るさがあるので、日が落ちた商店街でもISO感度を上げすぎずに撮れます。
中古の掲載はONE SCENEの状態Cで25,700円から、カメラのキタムラの状態Bで49,000円まで。33,700円や38,000円の個体も掲載されており、予算に応じて選べます。DXフォーマットのボディなら52.5mm相当となり、標準レンズとして使えます。
注意点は、開放f/2での周辺解像とコマ収差です。夜景の点光源が画面の隅で鳥が羽を広げたような形に伸びます。街灯を四隅に入れる構図を撮るなら、f/4程度まで絞るのが安全です。
AI Micro-Nikkor 55mm f/2.8S:0.51倍・15,120円からのマクロ
接写を1本で解決するならAI Micro-Nikkor 55mm f/2.8Sです。レンズ構成5群6枚、画角43°(FXフォーマットのデジタル一眼レフカメラ)、最短撮影距離0.25m、最大撮影倍率0.51倍、絞り羽根7枚、質量約290g、寸法は約63.5mm(最大径)×62mm(長さ)。接写リング PK-13を併用すれば1倍(等倍)撮影ができます。
強みは価格と守備範囲の広さです。価格.comの中古掲載はカメラのキタムラの15,120円から27,200円まで。CAM-ALLの19,800円、サイト・カメラの24,800円といった在庫もあります。標準域の画角を持ちながら0.25mまで寄れるので、料理・小物・花を1本でこなせます。
使用シーンで言えば、物撮りとテーブルフォトが主戦場です。0.51倍あれば、指輪やアクセサリーを画面いっぱいに近い大きさで写せます。等倍が必要になるのは昆虫の複眼を写すような用途で、多くの人には0.51倍で足ります。
妥協点は、開放f/2.8という明るさとヘリコイドの繰り出し量です。マクロ域まで繰り出すと鏡筒がかなり伸び、レンズ先端が被写体に近づくため自分の影が入りやすくなります。物撮りではライトの位置を横からにする、レフ板を使うなどの対策が要ります。
銘玉7本を数値で横並び|重さ・寄れる距離・中古価格の実額

7本のスペックと中古価格の比較表
ここまで挙げた7本を、公式スペックと価格.comの中古掲載価格でまとめます。価格は状態や在庫で動くため、執筆時点の掲載額であることを前提に見てください。
| レンズ | レンズ構成/絞り羽根 | 最短撮影距離 | 質量/フィルター径 | 中古価格 |
|---|---|---|---|---|
| AI Nikkor 50mm f/1.4S | 6群7枚/7枚 | 0.45m | 約250g/52mm | 21,200円〜38,200円 |
| AI Nikkor 50mm f/1.2S | 6群7枚/9枚 | 0.5m | 約360g/52mm | 48,000円〜84,100円 |
| AI Nikkor 105mm f/2.5S | 4群5枚/7枚 | 1m | 約435g/52mm | 中古掲載なし(買取上限21,000円) |
| AI Nikkor 85mm f/1.4S | 5群7枚/9枚 | 0.85m | 約620g/72mm | 71,800円〜84,600円 |
| AI Nikkor 135mm f/2.8S | 4群5枚/7枚 | 1.3m | 約435g/52mm | 16,100円(送料550円) |
| AI Nikkor 28mm f/2.8S | 8群8枚/7枚 | 0.2m | 約250g/52mm | 62,500円〜73,500円 |
| AI Nikkor 35mm f/2S | 6群8枚/7枚 | 0.3m | 約280g/52mm | 25,700円〜49,000円 |
| AI Micro-Nikkor 55mm f/2.8S | 5群6枚/7枚 | 0.25m(0.51倍) | 約290g/52mm | 15,120円〜27,200円 |
予算と被写体から逆算する組み合わせ
表を眺めるより、目的から逆算したほうが早く決まります。日常のスナップと家族写真が中心なら、50mm f/1.4Sと35mm f/2Sの2本で守備範囲はほぼ埋まります。中古掲載の下限で組むと21,200円と25,700円です。
物撮りやハンドメイド作品の撮影が目的なら、Micro 55mm f/2.8Sの1本を先に買ってください。15,120円から掲載があり、0.25m・0.51倍という数値はこの価格帯では他に代えがききません。
ポートレートが主目的なら、85mm f/1.4Sか105mm f/2.5Sの二択です。予算が71,800円まで出せるなら85mm、それより抑えたいなら105mmを探す流れになります。
注意点として、最初から3本以上をまとめ買いするのは避けたほうが無難です。MFの操作に慣れるまでは歩留まりが落ちるため、1本を数週間使って「自分がMFで撮り続けられるか」を確かめてから増やすほうが、結果的に安く済みます。
| 撮影シーン | おすすめの1本 | 中古価格の下限 |
|---|---|---|
| 街スナップ・旅行 | AI Nikkor 35mm f/2S(約280g) | 25,700円 |
| 料理・物撮り | AI Micro-Nikkor 55mm f/2.8S(0.51倍) | 15,120円 |
| 屋内ポートレート | AI Nikkor 85mm f/1.4S(0.85m) | 71,800円 |
| 屋外の望遠・圧縮 | AI Nikkor 135mm f/2.8S(画角18°) | 16,100円 |
| 広角で寄る | AI Nikkor 28mm f/2.8S(0.2m) | 62,500円 |
実は、銘玉かどうかより個体の状態のほうが写りを左右する
意外と知られていないのですが、同じ型番のレンズでも、個体によって写りは変わります。設計が優秀でも、40年前後を経た個体のコンディションが結果を決めるからです。
典型例がクモリです。レンズ全体が白く霞んだ状態で、コーティングの劣化や内部の油分が原因になります。クモリのある105mm f/2.5Sと、状態の良い135mm f/2.8Sを逆光で撮り比べれば、評価の高い前者のほうがコントラストで負ける、ということが普通に起こります。しかもクモリはクリーニングで除去できません。
つまり、16,100円の状態の良い135mmと、名前で選んだ曇った105mmなら、前者を選ぶほうが満足度は高くなります。「銘玉リストの上から順に買う」のではなく、「予算内で状態の良い個体がある焦点距離を買う」のが、オールドレンズ選びの実践的な順序です。
注意点として、状態表記は店舗ごとに基準が違います。価格.comに並ぶ状態B・状態Cという表記も、店が違えば中身が違います。同じランクでも商品説明の文章を読み、クモリ・カビ・バルサム切れの記載があるかを個別に確認してください。
Zシリーズで使う手順|FTZ IIとレンズ情報手動設定で何が変わるか
マウントアダプター FTZ IIは約125g・30,000円の現行品
Zマウントのボディでこれらのレンズを使うには、マウントアダプター FTZ IIが必要です。質量は約125g、寸法は約70mm×70mm×36mm(突起部除く)、発売日は2021年12月24日。レンズ側がニコンFマウント、ボディ側がニコンZマウントという構成です。
価格はニコンダイレクトで30,000円(税込)、同ページの定価表記は33,000円です。価格.comの最安は29,000円となっています。オールドレンズ本体より高くつくこともありますが、1つ買えば手持ちのFマウントレンズすべてに使い回せるので、本数が増えるほど割安になります。
非CPUレンズ(AI-S・AI・AI改造)に対応しており、この記事で挙げた7本はすべて装着できます。ただし撮影モードはA(絞り優先)とM(マニュアル)のみ。PモードやSモードは使えません。
注意点は初代FTZとの違いです。FTZ IIは三脚座がなくなった形状で、ボディ側の三脚穴をそのまま使えます。中古で初代FTZを安く買う選択もありますが、三脚座の出っ張りが気になる人は現行のFTZ IIを選んでください。仕様はニコン公式の主な仕様ページに掲載されています。
手持ちのAiニッコールをZボディでそのまま使いたいなら、約125gで現行のこのアダプターが起点です▼
レンズ情報手動設定を登録すると3軸の手ブレ補正が効く
FTZ IIを付けただけでは機能は半分です。カメラのセットアップメニューにある「レンズ情報手動設定」で、使うレンズの焦点距離と開放絞り値を登録してください。これで焦点距離と開放絞り値が撮影情報として記録されます。
実利が大きいのは手ブレ補正です。ニコンの公式Q&Aによれば、非CPUレンズでも焦点距離を設定してボディ内手ブレ補正をONにすると、3軸(Pitch・Yaw・Roll)で補正されます。手ブレ補正を持たない40年前のレンズが、ボディ側の補正を受けられるようになるわけです。
使用シーンで差が出るのは、夕暮れのスナップと室内です。135mm f/2.8Sのような望遠ほど手ブレの影響は大きく、補正の有無で歩留まりが変わります。登録は本数ぶん行えるので、手持ちのレンズを最初にまとめて入れておくと運用が楽になります。
注意点は、ボディ内手ブレ補正を搭載していない機種では当然効かないことです。ニコンの案内でもZ 50は非搭載と明記されています。オールドレンズ前提でボディを選ぶなら、ボディ内手ブレ補正の有無を先に確認してください。
使えなくなる機能を先に知っておく
非CPUレンズを使うと、カメラ側の一部の補正機能が使えなくなります。ニコンが挙げているのは、ヴィネットコントロール、自動ゆがみ補正、回折補正(静止画・動画とも)です。
理由は、これらの補正がレンズ個別の光学データを前提にしているからです。電子接点のないレンズはカメラに素性を伝えられないため、補正の計算ができません。
実際の影響は、周辺光量落ちとゆがみがそのまま写るという形で出ます。ただしこれは欠点とも言い切れません。周辺が落ちた画は被写体が中央に引き締まって見えるため、あえて残す人もいます。気になる場合はRAWで撮り、現像ソフト側で補正するのが定石です。
もう1つの注意点として、ニコンは「レンズによっては画像周辺部に減光やケラレが生じたり、手ブレ補正の効果が充分に得られない場合があります」と案内しています。すべてのレンズで完全に動くわけではないという前提で、購入後は早めに試写して挙動を確かめてください。
失敗パターン②:非AIレンズを買ってしまいカメラに付かない
中古で最も痛い失敗が、非AI方式のレンズを買ってしまうケースです。オークションで「ニッコール 50mm」とだけ書かれた古いレンズを落札したら、Zボディに付かなかった、という事故が起きます。
原因はマウントの世代差です。ニコンは公式Q&Aで、AI方式レンズには露出計連動ガイドが付き、露出計連動爪に穴があいている一方、非AI方式には連動ガイドがなく、連動爪にも穴がないと説明しています。非AI方式は、カメラ側の露出計連動レバーを跳ね上げられない機種では絞りリングが干渉して装着できません。デジタル一眼レフでは連動レバーが固定式の機種が多く、Dfのような例外を除いて装着できないのが実情です。
対策は単純です。購入前に商品写真でマウント面を確認し、露出計連動爪に穴があいているかを見てください。判別に自信がなければ、型番に「Ai」または「Ai-S」の表記がある個体に絞るのが安全です。見分け方はニコン公式のQ&A「AI方式レンズと非AI方式レンズの見分け方」で写真つきで説明されています。
なお「AI改造」と書かれた個体は、非AIレンズをAI方式に加工したものです。FTZ IIの対応レンズにも含まれていますが、加工の精度は業者や年代によって差があります。中古で買うなら、加工内容の記載がある店舗を選んでください。

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中古で失敗しないためのチェックリスト|光学系と機構系を分けて見る
光学系で見るのはカビ・クモリ・バルサム切れの3つ
中古のオールドレンズで確認すべき光学系の症状は3つに絞られます。カビ、クモリ、バルサム切れです。この3語を商品説明で検索するだけで、地雷の大半は避けられます。
カビは、ガラス面に白い繊維状の模様が見える状態です。周辺部の小さなカビは写りへの影響が限定的ですが、放置すると広がり、ガラスのコーティングを侵食します。保管環境の悪い個体は他の症状も抱えている確率が高いので、価格が安くても慎重に。
クモリはレンズ全体が白く霞む症状で、逆光でコントラストが大きく落ちます。前述のとおりクリーニングでは取れません。バルサム切れは貼り合わせレンズの接着剤が劣化し、虹色のムラや泡が見える状態で、修理は基本的にできないと考えてください。105mm f/2.5Sのような4群5枚の貼り合わせを含む設計では、この症状が出ていないか特に確認したい項目です。
確認方法は、明るい方へレンズを向けて前玉側と後玉側から覗くだけです。通販なら商品ページの拡大写真と説明文、可能なら「逆光でのコントラスト低下の有無」を問い合わせてください。
機構系は絞りの粘りとヘリコイドの感触を見る
光学系が無事でも、機構系が死んでいれば実用になりません。見るべきは絞り羽根の粘り、ヘリコイドの回転、絞りリングのクリック感の3点です。
絞り羽根の粘りは、羽根に油がにじんで動きが鈍くなる症状です。MFニッコールはボディ側と機械的に連動して絞りが動くため、羽根の動作が遅れると露出が安定しません。店頭なら絞りリングを回して羽根がパチパチと素早く動くかを確認します。
ヘリコイドは、無限遠から最短撮影距離まで滑らかに回るかを見ます。重すぎる個体はグリスが固着しており、軽すぎてガタがある個体は摩耗しています。MFはこの回転の手応えが操作性そのものなので、実用重視なら妥協しないほうがいい部分です。
注意点として、絞りリングのクリック感が甘い個体は、撮影中に意図せず絞り値が変わることがあります。Aモードで撮っていると気づきにくいので、購入後は撮影情報に記録された絞り値を数カット確認しておくと安心です。
どこで買うか:保証と返品条件で選ぶ
買う場所は、価格だけでなく保証と返品条件で選んでください。価格.comに掲載されている店舗ではカメラのキタムラ、ONE SCENE、Five Star Camera、アローカメラなどの名前が並び、送料も表示されています(たとえばカメラのキタムラは550円)。
中古カメラ専門店を推す理由は、状態ランクの基準が公開されていて、返品期間が設定されているからです。ONE SCENEの掲載には13日以内の返品可能といった条件が記載されています。フリマアプリは相場より安く出ることもありますが、クモリやバルサム切れが未記載のまま届くリスクを自分で負うことになります。
実店舗が近くにあるなら、店頭で実物を確認して買うのが最も確実です。ヘリコイドの感触と絞りの動きは、写真では判断できません。
妥協点として、専門店の価格はフリマより高めです。たとえば50mm f/1.4Sなら、掲載されている21,200円と38,200円の差は状態と店舗の差でもあります。安い個体を引いてハズレを掴むか、高めの個体で確実を取るか。オールドレンズは修理できない症状が多いので、初めての1本は後者をおすすめします。
まとめ:ニコンのオールドレンズ銘玉は52mm径の6本から始めると失敗しない
ここまで7本を数値で見てきましたが、最初の一歩はシンプルです。中古掲載が21,200円からあり、球数も多いAI Nikkor 50mm f/1.4Sを、状態の記載がしっかりした専門店で1本買ってください。FTZ IIと合わせても、現行のZマウント単焦点1本ぶんの予算で収まります。そこでMFの手応えが気に入ったら、寄りたいならMicro 55mm f/2.8S、広く撮りたいなら35mm f/2Sと足していけば、フィルターもキャップも52mmのまま増やせます。ピント合わせに不安があるなら、まずはカメラ側でピーキングを「2(標準)」に設定し、拡大表示ボタンを押す癖をつけるところから始めてみてください。
※価格は執筆時点で確認した掲載額です。中古品は在庫と状態で変動するため、購入前に各店舗と公式サイトで最新情報をご確認ください。

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