ニコン f1.8 35mmは3本ある|2.2万円のDXから9.7万円のZまで違いを徹底比較

ニコン f1.8 35mmは3本ある|2.2万円のDXから9.7万円のZまで違いを徹底比較のアイキャッチ画像

「ニコンのf1.8の35mmレンズが欲しいけれど、調べてみたら何本も出てきて、どれが自分のカメラに合うのか分からない」——そんな声をよく聞きます。実はニコンの「f1.8 35mm」には、いま現行で買える単焦点が3本あります。マウントもフォーマットも価格帯もバラバラで、約2.2万円から約9.7万円まで開きがあるのです。

結論から言うと、選び方は「自分のカメラのマウント」と「予算」でほぼ決まります。ミラーレスのZ機を使っているならZマウント用、一眼レフのフルサイズならFマウントのFX用、APS-C(DX)の一眼レフなら2万円台のDX用。ここを取り違えると、せっかく買ったレンズが付かない・本来の画角で写らない、という失敗につながります。

この記事では、ニコンの35mm f/1.8レンズ3本を、メーカー公式のスペックと実勢価格をもとに横並びで比較します。それぞれの描写の特徴・得意なシーン・妥協点を正直にお伝えしつつ、被写体別・予算別の選び方、単焦点を使いこなす設定まで一気に解説します。読み終えるころには、あなたが買うべき1本がはっきりするはずです。

📷 この記事でわかること

・ニコンのf1.8 35mm単焦点は現行で3本あり、マウントで選ぶこと
・3本のスペック・実勢価格を横並びで比較(約2.2万〜9.7万円)
・被写体別・予算別の選び方と、35mm単焦点を活かす絞り設定
・購入前に必ず確認したいマウント互換と中古チェックの注意点

目次

ニコンの「f1.8 35mm」は3本ある|まず違いを押さえよう

ニコンの「f1.8 35mm」は3本ある|まず違いを押さえようの解説画像

ニコンで「35mm F1.8」と検索すると複数の製品が並びます。これは型番が似ているだけの別物ではなく、対応するカメラの種類が違う3本です。まずはこの全体像を押さえると、以降の比較がすっきり頭に入ります。

Zマウント・FXのFマウント・DXのFマウント、3つの系統がある

現行で買えるニコンの35mm f/1.8単焦点は、ミラーレス用の「NIKKOR Z 35mm f/1.8 S」、フルサイズ一眼レフ用の「AF-S NIKKOR 35mm f/1.8G ED」、APS-C(DX)一眼レフ用の「AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8G」の3本です。Z用はZ6・Z f・Zfcなどのミラーレスに、FX用とDX用はD850・D750・D7500といった一眼レフに装着します。Z用は2018年9月、FX用は2014年2月、DX用は2009年3月と発売時期も大きく異なり、設計世代の差がそのまま描写やAFの素性に表れます。最初に確認すべきは「自分のカメラはZマウントか、Fマウントか」。ここを間違えるとそもそも装着できないため、レンズ選びの出発点はマウント確認だと考えてください。

35mmという画角は「見たまま」に近い使いやすさ

35mmは、フルサイズ換算で対角画角63°前後の準広角です。広角の24mmほど大げさにパースが付かず、標準の50mmより少し広く写るため、目の前の風景や人を「見たままに近い距離感」で切り取れます。スナップ・旅行・テーブルフォト・室内ポートレートと汎用性が高く、ズームを持ち歩かずこの1本で街歩きをこなす人も多い焦点距離です。注意したいのは、APS-C(DX)機にFX用やDX用を付けると35mm×1.5倍で52.5mm相当の標準画角になる点。「広く写したくて35mmを選んだのにDX機では標準レンズになる」という認識のズレが起きやすいので、自分のセンサーサイズと合わせて画角を理解しておくと失敗しません。

あわせて読みたい
焦点距離とは?14mmから600mmまで画角の違いと選び方を完全解説
カメラのレンズを選ぼうとすると、必ず目に入る「焦点距離」という数字。14mm、50mm、200mm……数字が並んでいるけれど、結局どれを選べばいいのかわからない…

なぜ「f1.8」がちょうどいいのか

f1.8という開放F値は、ボケと明るさ、そして価格と重量のバランスが取れた「実用ど真ん中」の数値です。F1.4やF1.2の大口径はボケ量と暗所性能で上回りますが、その分レンズが大きく重く、価格も数倍に跳ね上がります。一方F1.8なら、背景を大きくぼかしたポートレートも、室内でシャッタースピードを稼ぐ撮影も十分こなせて、なおかつ2万円台〜10万円弱で手に入ります。キットズームの開放がF3.5〜5.6であることを考えると、F1.8はおよそ2〜3段ぶん明るく、同じ暗さの場所でもISOを大きく下げられるのが効きます。「最初の単焦点」としてf1.8の35mmが定番なのは、この費用対効果の良さが理由です。

あわせて読みたい
F値とは?ボケ・明るさ・被写界深度の関係を数値で徹底解説
「F値って何?」「絞りを変えると写真がどう変わるの?」——カメラを手にしたばかりの方が最初にぶつかる壁のひとつが、このF値です。結論から言うと、F値は「ボケの量…

3本のスペック早見表【カメラのトリセツ調べ】

3本の主要スペックと実勢価格を一覧にまとめました。数値はすべてニコン公式の仕様と価格比較サイトの最安値(2026年6月時点)を反映しています。価格差・重量差がそのまま用途の違いに直結します。

📊 スペック比較
項目 Z 35mm f/1.8 S 35mm f/1.8G ED DX 35mm f/1.8G
対応マウント Zマウント(FX) Fマウント(FX) Fマウント(DX)
レンズ構成 9群11枚 8群11枚 6群8枚
絞り羽根 9枚(円形) 7枚(円形) 7枚(円形)
最短撮影距離 0.25m 0.25m 0.3m
質量 約370g 約305g 約200g
実勢価格(2026年6月) 約97,000円 約70,920円 約22,480円

ミラーレス時代の標準単焦点 NIKKOR Z 35mm f/1.8 S

いまニコンのZ機(ミラーレス)を使っているなら、35mm単焦点の本命はこのZ 35mm f/1.8 Sです。高画質を担保する「S-Line」に属し、3本のなかで最も新しい設計。価格は上がりますが、その分の中身があります。

📋 スペックカード|NIKKOR Z 35mm f/1.8 S
マウント / 対応 Zマウント / フルサイズ(FX)
レンズ構成 9群11枚(ED2枚・非球面3枚・ナノクリスタルコート)
最短撮影距離 / 倍率 0.25m / 0.19倍
フィルター径 / 質量 62mm / 約370g
実勢価格 約97,000円(2026年6月時点)

9群11枚+ナノクリスタルコートが効く高い解像感

Z 35mm f/1.8 Sは、EDレンズ2枚と非球面レンズ3枚を含む9群11枚という、3本のなかで最も贅沢な光学構成を採用しています。これは像面湾曲や色収差を抑えて画面の隅まで解像させるための物量で、開放F1.8から中心がしっかり写るのが持ち味です。ナノクリスタルコートは逆光時のゴーストやフレアを抑える反射防止コーティングで、夜景の点光源や朝夕の斜光でも安心して絞り開放を使えます。絞り羽根は9枚の円形絞りで、F2.8〜F4まで絞っても玉ボケが角張りにくく、点光源を背景にしたポートレートで形のきれいなボケが得られます。一眼レフ用のFX(7枚)やDX(7枚)より2枚多い点が、ボケの質に効いてきます。

スナップから室内ポートレートまで1本でこなす

このレンズが活きるのは、街歩きスナップ・旅行・カフェでのテーブルフォト・室内での家族写真といった日常シーンです。最短撮影距離0.25m・最大撮影倍率0.19倍まで寄れるので、料理や小物に近づいて背景を溶かす撮り方もできます。質量は約370gで、Z6シリーズなどのボディに付けても前重りしすぎず、一日持ち歩いても負担になりにくいバランスです。AFはステッピングモーター駆動で動作音が静かなため、動画撮影や静かな室内でも気兼ねなく使えます。Zマウントの単焦点をもう少し広く見渡したい人は、関連レンズの比較記事もあわせてどうぞ。

あわせて読みたい
zマウントの神レンズはこの7本|スペック・価格・用途別に徹底比較【2026年版】
「zマウントで評判の良いレンズを知りたい」「いわゆる神レンズと呼ばれるNIKKOR Zレンズはどれ?」——Nikon Zマウントに乗り換えた方や、これからレンズ…

手ブレ補正は非搭載|暗所はボディ側でカバー

正直にお伝えすると、Z 35mm f/1.8 Sにレンズ内手ブレ補正(VR)は搭載されていません。暗い室内や夜のスナップでシャッタースピードが落ちる場面では、ボディ内手ブレ補正(IBIS)を持つZ6・Z f・Z8などと組み合わせるのが前提になります。IBIS非搭載のZfcやZ50のようなDXミラーレスに付ける場合は、シャッタースピードを1/焦点距離(目安1/60秒以上)に保つ意識が必要です。もう一点、実勢約97,000円という価格は、2万円台で買えるDX用と比べると4倍以上。「とりあえず単焦点デビュー」には少し敷居が高いので、描写性能にお金をかける価値を感じる人向けの1本だと割り切ると選びやすくなります。

一眼レフ派に効く AF-S NIKKOR 35mm f/1.8G ED

一眼レフ派に効く AF-S NIKKOR 35mm f/1.8G EDの解説画像

D850やD750といったフルサイズ一眼レフ(Fマウント)を使っているなら、選択肢はこのAF-S NIKKOR 35mm f/1.8G EDになります。フルサイズ対応のFマウント35mm単焦点としては、F1.4Gより手頃で軽い実用枠です。

📋 スペックカード|AF-S NIKKOR 35mm f/1.8G ED
マウント / 対応 Fマウント / フルサイズ(FX)
レンズ構成 8群11枚(ED1枚・非球面1枚)
最短撮影距離 / 倍率 0.25m / 約0.24倍
画角 / 質量 63°(FX) / 約305g
実勢価格 約70,920円(2026年6月時点)

フルサイズで35mmの画角がそのまま使える

このレンズの一番の価値は、フルサイズ一眼レフで「35mmを35mmとして」使えることです。同じ35mmでもDX用をフルサイズ機に付けると周辺がケラレるため、FXフォーマットのイメージサークルに対応したこの1本が必要になります。EDレンズ1枚と非球面レンズ1枚を含む8群11枚構成で、軸上色収差や歪曲を抑えた素直な描写。最短0.25mまで寄れて最大撮影倍率は約0.24倍と、3本のなかでは最も寄れる部類で、テーブルフォトや小物撮りでも背景を整理しやすいのが利点です。質量約305gはZ用より65g軽く、D750クラスのボディと合わせても取り回しは軽快です。

風景もポートレートもこなす万能準広角

得意なシーンは、旅行先の風景スナップ、街中のドキュメンタリー的な撮影、そして開放F1.8を活かした半身ポートレートです。35mmは背景を程よく入れながら主役を浮かせられるので、人物と場所の空気感を同時に写したいときに向きます。絞りをF5.6〜F8まで絞れば四隅までシャープになり、風景や建築でも使えます。なお絞り羽根は7枚で、Z用の9枚に比べると絞り込んだときの玉ボケがやや多角形になりやすい点は描写の個性として覚えておくとよいでしょう。ポートレートでの絞りと焦点距離の関係をもっと詰めたい人は、専用ガイドも参考になります。

あわせて読みたい
ポートレートの撮り方を完全解説|F値・焦点距離・光の使い方で写真が変わる
「人物をきれいに撮りたいけれど、なんだかパッとしない」「背景がごちゃごちゃして、被写体が目立たない」——そんな悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。ポー…

【失敗パターン①】マウント違いのレンズを買ってしまう

ここで多い失敗が「型番をよく見ずに35mm f/1.8を買ったら、自分のカメラに合わなかった」というケースです。具体的には、Zマウントのミラーレスを使っているのにFマウント用のこの35mm f/1.8G EDを買ってしまう、あるいは逆にフルサイズ機にDX用を付けてしまう、というパターン。FマウントレンズはマウントアダプターFTZを介せばZ機でも使えますが、アダプター代が別途かかり、AFや手ブレ補正の挙動も組み合わせ次第です。対策はシンプルで、購入前に「自分のカメラのマウント名(Z or F)とフォーマット(FX or DX)」を取扱説明書か製品ページで確認すること。レンズ名の頭にある「Z」「AF-S」「DX」の表記が、そのまま対応カメラを示しています。

⚠️ 購入前にチェック

レンズ名の「Z=Zマウント用」「AF-S(無印)=Fマウントのフルサイズ用」「AF-S DX=FマウントのAPS-C用」を必ず確認。Fマウントレンズをミラーレスで使うにはアダプターFTZが別途必要です。

2万円台で始める単焦点 AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8G

「まずは安く単焦点を試したい」「D5600やD7500などDXの一眼レフを使っている」という人の定番が、このAF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8Gです。実勢約22,480円という価格は、3本のなかで群を抜いて手頃です。

📋 スペックカード|AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8G
マウント / 対応 Fマウント / APS-C(DX)
レンズ構成 6群8枚(非球面1枚)
換算画角 / 倍率 52.5mm相当 / 0.16倍
フィルター径 / 質量 52mm / 約200g
実勢価格 約22,480円(2026年6月時点)

DXでは「52.5mm相当」の標準レンズになる

このレンズで最初に理解しておきたいのが、DX機に付けると35mm×1.5倍で52.5mm相当の標準画角になるという点です。フルサイズの50mm単焦点に近い、人の視野感覚にいちばん馴染む画角になります。画角は44°と、FXで使う35mm(63°)より狭く、その分だけ被写体に素直に向き合う「標準レンズ」的な性格です。スナップ・ポートレート・物撮りと用途は広く、キットズームの次に買う1本としても扱いやすい焦点距離。最短撮影距離は0.3mで、3本のなかではわずかに寄りが弱いものの、日常スナップで困る場面はほとんどありません。なお、このレンズをフルサイズ機やZ機(FTZ経由)に付けると自動でクロップされ、画素数が落ちる点は理解しておきましょう。

約200gの軽さと2万円台のコスパ

最大の魅力は、質量約200gという軽さと、約22,480円という価格のバランスです。Z用(約370g)やFX用(約305g)と比べても100g以上軽く、D3500やD5600といった軽量DX機に付ければ、システム全体を300g台に収められます。6群8枚と構成はシンプルですが、非球面レンズ1枚で歪曲を抑えており、開放F1.8でも実用十分な描写です。キットレンズのF3.5〜5.6から乗り換えると、背景ボケと暗所での明るさの差を体感しやすく、「単焦点って違うんだ」と最初に実感できる入門機材として長く支持されています。価格対効果を重視するなら、最初の1本としての完成度は高い選択です。

フルサイズでは四隅がケラレる|DX専用と割り切る

注意点は、このレンズがDX(APS-C)専用設計で、フルサイズ機では本来の画質を発揮できないことです。フルサイズ機に付けると周辺光量が大きく落ち、四隅がケラレるため、自動DXクロップ前提での使用になります。将来フルサイズへステップアップする予定があるなら、最初からFX用かZ用を選んでおくほうが買い直しを避けられます。また、絞り羽根は7枚・最小絞りF22で、Z用の9枚と比べると点光源のボケはやや角張りやすい個性があります。とはいえ、APS-C一眼レフで完結するなら、この価格でこの描写が得られる手頃さは大きな強みです。「DXで使い倒す」と割り切れる人に向いた1本といえます。

結局どれを選ぶ?マウントと予算で答えが変わる

3本を見てきましたが、選び方は難しくありません。順番に「マウント→予算→撮りたいもの」で絞り込めば、自然と1本に決まります。ここで判断軸を整理しておきましょう。

まず自分のカメラのマウントを確認する

最優先は、繰り返しになりますがマウント確認です。Z6・Z f・Zfc・Z50などミラーレスならZ 35mm f/1.8 S。D850・D780・D750などフルサイズ一眼レフならAF-S NIKKOR 35mm f/1.8G ED。D7500・D5600・D3500などAPS-C一眼レフならAF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8G。この時点で候補はほぼ1本に絞られます。ミラーレスでFマウントの安いDX用やFX用を使いたい場合は、マウントアダプターFTZ(別売)が必要で、合計金額と重量が増える点も計算に入れてください。「手持ちのボディで最も素直に使える組み合わせ」を選ぶのが、後悔しないいちばんの近道です。

予算別の選び方|2万円台から10万円弱まで

予算で見ると、約22,480円のDX用、約70,920円のFX用、約97,000円のZ用と、3本がきれいに価格帯を分けています。「単焦点を試してみたい・APS-C一眼レフで完結する」なら2万円台のDX用。「フルサイズ一眼レフで本格的に35mmを使う」なら7万円前後のFX用。「ミラーレスで隅まで写る最新描写が欲しい」なら約9.7万円のZ用。価格差はそのまま光学設計の世代差・ボケの質・解像感の差に対応しており、高いほうが新しく、隅の解像とボケの円さで上回ります。逆に言えば、用途が日常スナップ中心ならDX用でも満足度は高く、無理に上位を狙う必要はありません。

実は、最新の高級レンズだけが正解ではない

意外と知られていませんが、35mm f/1.8クラスは「いちばん安いDX用でも写りに不満が出にくい」焦点距離です。広角ズームのような周辺画質の崩れや、望遠のような手ブレのシビアさが少なく、開放から扱いやすいため、2万円台のDX用でも背景ボケと明るさのメリットは十分得られます。Z用の9群11枚やナノクリスタルコートが効くのは、夜景の点光源・逆光・四隅まで均一に解像させたい風景といった条件の厳しい場面です。日中のスナップや人物中心なら、価格差ほどの「写真の差」は出にくいのが実際のところ。予算を描写に全振りするより、浮いたぶんを三脚やバッグなど周辺機材に回したほうが、撮影体験全体は良くなることも多いのです。

🎯 シーン別・予算別おすすめ
タイプ おすすめの1本 価格目安
APS-C一眼レフ・入門 AF-S DX 35mm f/1.8G 約2.2万円
フルサイズ一眼レフ AF-S 35mm f/1.8G ED 約7.1万円
ミラーレス・高画質重視 Z 35mm f/1.8 S 約9.7万円

f1.8 35mm単焦点を使いこなす設定と撮り方

せっかく明るい単焦点を買っても、設定が合っていないと持ち味を活かせません。35mm f/1.8を買ったら、まず押さえたい絞りとピントの考え方を解説します。

絞りで描写を変える|F1.8・F2.8・F5.6の使い分け

同じレンズでも、絞り値を変えると写りは大きく変わります。背景を大きくぼかして主役を浮かせたいポートレートやテーブルフォトならF1.8〜F2.2の開放付近。人物の全身や複数人で「目から手前までピントを残したい」ならF2.8〜F4。風景や建築で四隅までシャープにしたいならF5.6〜F8が目安です。開放のF1.8はピントの合う範囲(被写界深度)が数センチと浅いため、近距離で人物を撮ると睫毛にピントが合って鼻先がボケる、ということも起きます。「ボケれば良い」ではなく、見せたい範囲に応じて絞るのがコツ。F値と被写界深度の関係を数値で押さえると、狙い通りのボケをコントロールできるようになります。

あわせて読みたい
F値とは?ボケ・明るさ・被写界深度の関係を数値で徹底解説
「F値って何?」「絞りを変えると写真がどう変わるの?」——カメラを手にしたばかりの方が最初にぶつかる壁のひとつが、このF値です。結論から言うと、F値は「ボケの量…
📖 用語チェック

被写界深度=ピントが合って見える前後の範囲のこと。F値が小さい(開放)ほど浅くなり背景が大きくボケ、F値を大きく(絞る)ほど深くなり手前から奥までシャープに写ります。

最短撮影距離を活かして寄りで撮る

35mm f/1.8の3本は、最短撮影距離0.25〜0.3mと、標準的な単焦点としてはよく寄れます。Z用とFX用が0.25m、DX用が0.3m。被写体に近づくほど背景は大きくぼけるので、料理・花・アクセサリーなどを撮るときは、まず最短付近まで寄ってからF1.8〜F2.8で背景を整理すると、スマホでは出せない立体感が生まれます。ただし寄りすぎるとピント面が極端に薄くなるため、近距離ではF2.8前後まで絞ってピントの歩留まりを上げるのが安全です。AF-Sなど単写のフォーカスモードで、ピントを合わせたい一点をしっかり指定するのも、近接撮影では効いてきます。

【失敗パターン②】暗所で手ブレして歩留まりが落ちる

もう一つ多い失敗が、「明るいレンズだから室内でも大丈夫だと思ったのに、写真の半分が手ブレでボケていた」というケースです。原因は、暗い場所でシャッタースピードが落ちているのに、それに気づかず撮り続けてしまうこと。とくにZ 35mm f/1.8 SやFX用にはレンズ内手ブレ補正がなく、IBIS非搭載の一眼レフやDXミラーレスと組み合わせると、暗所では1/30秒や1/15秒まで落ちてブレやすくなります。対策は、シャッタースピードを「1/焦点距離」、35mmなら最低1/60秒以上に保つこと。足りなければISO感度を上げて明るさを補います。ISOを上げるとノイズは増えますが、手ブレで全ボツになるより歩留まりは確実に上がります。設定の優先順位を理解しておくのが失敗回避の近道です。

あわせて読みたい
ISO感度の目安はいくつ?シーン別の設定値と画質を守る5つのコツ
「ISO感度って何?」「どの数値に設定すればいいの?」カメラを始めると最初にぶつかる壁のひとつが、このISO感度です。結論からお伝えすると、ISO感度は「カメラ…

買う前に知っておきたいQ&Aと中古の注意点

最後に、35mm f/1.8レンズを買う前によくある疑問と、中古で狙う場合のチェックポイントをまとめます。納得して選ぶための最終確認に使ってください。

よくある質問|単焦点デビューの不安を解消

Q 単焦点は1本だけだとズームできず不便では?
A 35mmは自分が前後に動いて構図を作る「足ズーム」がしやすい画角です。最初は不便に感じても、画角が固定されることで構図の判断が速くなります。スナップや旅行ならこの1本でほぼ完結します。
Q 50mm f/1.8とどちらを先に買うべき?
A 背景を整理して人物を大きく写したいなら50mm、風景や室内も含めて広く撮りたいなら35mmが向きます。DX機なら35mmが換算52.5mmで標準画角になるため、DXユーザーはまず35mmが扱いやすい選択です。

フィルター・フードなど周辺アクセサリーの確認

レンズ本体だけでなく、フィルター径も合わせて確認しておくと買い足しがスムーズです。Z 35mm f/1.8 Sは62mm、DX 35mm f/1.8Gは52mmと径が異なるため、保護フィルターやNDフィルターを使い回す場合は注意が必要です。レンズフードは各レンズに付属しますが、紛失時の別売型番もレンズごとに違います。とくに逆光で撮る機会が多い人は、ナノクリスタルコート搭載のZ用でもフードを併用するとフレア低減に役立ちます。保護フィルターは常用すると画質に影響が出る場面もあるため、逆光や夜景では一時的に外すなど、用途で使い分けると描写を引き出せます。

中古を選ぶときのチェックポイント

FX用は約35,000円から、DX用は約12,700円からと、中古なら新品よりさらに安く狙えます。中古を選ぶときは、まずレンズ前後玉のキズとコーティングの状態、そして内部のカビ・クモリの有無を確認しましょう。光に透かして白い曇りや黒い点状のカビが見えるものは避けるのが無難です。次にAF動作の確認。電源を入れてピントが前後にスムーズに動くか、異音がしないかをチェックします。絞り羽根に油染みがないかも見ておきたいポイントです。なお、中古レンズの状態は個体差が大きいため、保証付きのカメラ店で実機を確認して買うのが安心です。価格の安さだけで通販の現状渡し品に飛びつくと、結果的に修理費がかさむこともあります。

まとめ|ニコンのf1.8 35mmはマウントで選べば失敗しない

ニコンの「f1.8 35mm」は現行で3本あり、選び方の答えは「自分のカメラのマウントと予算」でほぼ決まります。ミラーレスならZ 35mm f/1.8 S、フルサイズ一眼レフならAF-S 35mm f/1.8G ED、APS-C一眼レフならAF-S DX 35mm f/1.8Gという棲み分けを押さえれば、選択を間違えることはありません。価格差は光学設計の世代差・ボケの質・隅の解像に対応しており、高いほど新しく描写は上がりますが、日常スナップ中心なら2万円台のDX用でも満足度は高いのが実際です。

  • Z 35mm f/1.8 S:Zマウント(FX)・9群11枚・約370g・実勢約97,000円。ミラーレスの高画質本命
  • AF-S 35mm f/1.8G ED:Fマウント(FX)・8群11枚・約305g・実勢約70,920円。フルサイズ一眼レフ用の万能枠
  • AF-S DX 35mm f/1.8G:Fマウント(DX)・6群8枚・約200g・実勢約22,480円。換算52.5mmの標準で単焦点入門に最適
  • 35mmはフルサイズで画角63°の準広角、DX機では52.5mm相当の標準画角になる
  • 手ブレ補正は3本とも非搭載。暗所はボディ内手ブレ補正かISO・シャッタースピード管理でカバー
  • 背景を大きくぼかすならF1.8〜F2.2、風景で隅まで写すならF5.6〜F8が目安
  • 購入前は必ずマウント(Z/F)とフォーマット(FX/DX)を確認すること

最初の一歩としては、まず手持ちのカメラのマウントを取扱説明書で確認してください。そのうえでDXの一眼レフユーザーなら、約2.2万円のAF-S DX 35mm f/1.8Gがいちばん始めやすい1台です。明るい単焦点の世界を、まずはこの1本から体験してみてください。なお、価格・在庫・仕様は変動するため、最新情報は各メーカー公式サイトでご確認ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

カメラ歴8年、ミラーレス一眼を中心に撮影テクニックやカメラ選びの情報を発信しています。初めてカメラを買う方にもわかりやすい比較記事や、シーン別の撮影のコツなど、「撮ることがもっと楽しくなる」記事を目指しています。

コメント

コメントする

目次