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スマホで撮った写真は確かにきれいなのに、なぜかもう一度見返したくならない。そんな気持ちからフィルムカメラを探し始めた人が、いま増えています。ただ、いざ調べると「2,990円の使い切り」から「1,100,000円のライカ」まで価格帯が100倍以上に散らばっていて、どこを基準に選べばいいのか分からなくなります。
結論から言うと、フィルムカメラ選びは値段ではなく「仕組み」で絞るのが最短ルートです。使い切りタイプか、フィルムを入れ替えて使うリユーザブルか、露出を自分で決める本格機か。この3つのどれを選ぶかで、必要な予算も、撮れる写真も、続けられるかどうかも決まります。
この記事では、2026年9月時点で新品が手に入る現行機7機種を、メーカー公式のスペックと実勢価格で比較します。あわせて本体代より効いてくる現像代のリアル、中古の名機を買う前の確認点まで、買ってから後悔しないための情報をまとめました。
・現行で買えるフィルムカメラ7機種の価格・重さ・仕様の違い
・ハーフサイズが「1本で72枚」撮れる仕組みと向き不向き
・フィルム代+現像代のランニングコスト(1本あたりの総額例)
・中古の名機を買う前に確認すべき電池とシャッターの話
おすすめフィルムカメラは「値段より仕組み」で選ぶと外さない

機種名から探し始めると必ず迷います。先に決めるべきは、自分がどのタイプの機械を使いたいかです。ここが決まれば候補は自然と2〜3機種に絞られます。
使い切り・リユーザブル・本格機の3タイプで予算が決まる
フィルムカメラは大きく3タイプに分かれます。1つ目は使い切りタイプ。フジカラー写ルンです 27枚撮りが代表で、公式直販価格は2,990円。フィルムが入った状態で売られていて、撮り終わったらそのまま現像に出します。2つ目はリユーザブル。KODAK M35のようにフィルムを自分で入れ替えて何度も使えるタイプで、本体は4,310円から。3つ目が露出やピントを自分で操作する本格機で、PENTAX 17の117,700円、Rollei 35AFの159,500円といった価格帯になります。
この差は「何回撮るか」で回収できるかどうかに直結します。使い切りを10本買う費用があれば、リユーザブル機の本体とフィルム10本分がまかなえる計算になります。逆に年に1〜2回しか撮らないなら、使い切りのほうが保管の手間もありません。
注意したいのは、本格機になるほど「撮れない写真」も増える点です。ゾーンフォーカスや目測ピントの機種は、被写体との距離を自分で見積もる必要があり、最初の1本は外すカットが出ます。オートフォーカス付きが欲しいならRollei 35AFのようなLiDAR測距搭載機まで価格が上がります。
ハーフサイズなら1本で72枚撮れる
もうひとつの大きな分岐がフォーマットです。通常の35mmフィルムは1コマを丸ごと使いますが、ハーフサイズは1コマを縦半分に割って2枚分として使います。KODAK EKTAR H35Nなら36枚撮りフィルムで72枚、24枚撮りで48枚。PENTAX 17も画面サイズ24×17mmのハーフサイズ機です。
フィルム1本あたりの単価が実質半分になるので、練習量を確保したい初心者ほど恩恵が大きい形式です。しかも画面が縦長になるため、スマホと同じ感覚で縦位置の写真が量産できます。
弱点は1コマの面積が小さいこと。同じフィルムでも引き伸ばすと粒状感が目立ちやすく、大きくプリントする用途には向きません。また現像後のデータ化やプリントの扱いは店によって異なるので、注文時に「ハーフサイズです」と伝えるのが確実です。
ハーフサイズ=35mmフィルムの1コマを縦半分に割って使う方式のこと。PENTAX 17の画面サイズは24×17mmで、撮影枚数はフィルム表記の2倍になります。
リユーザブル=フィルムを入れ替えて繰り返し使えるカメラ。使い切りカメラ(レンズ付きフィルム)との最大の違いです。
露出を自分で決めるか、カメラに任せるか
3つ目の分岐が露出制御です。写ルンですやKODAK M35は絞りF10固定、シャッタースピード1/120秒前後の固定式で、明るさの調整余地がありません。晴れた屋外に特化した設計だと考えてください。
対してRollei 35AFは絞り優先オートとマニュアルの両方を備え、ISO25~3200のフィルムに対応します。ライカM6はTTL露出計を内蔵しつつ操作はマニュアルのみ。「露出計は参考、決めるのは自分」というスタイルです。
初めての1台で操作を学びたいなら、露出計が入った機種を選ぶと上達が早くなります。ただし露出計は電池で動くため、電池切れ=測光不能という弱点もセットです。
本体代より効いてくるのが現像代
見落とされがちなのが撮った後の費用です。カメラのキタムラのネガカラーフィルム現像料は950円。同時プリントはL判1枚63円、KG判79円、2L判170円。スマホ転送を付けると現像価格+880円、高画質なら+1,980円です。
つまり本体が2,990円でも、1本撮り切るたびに1,000円前後の追加費用が発生します。この構造を理解せずに買うと「思ったよりお金がかかる趣味」に見えてしまいます。逆に言えば、本体を多少奮発しても、撮る本数が同じなら総額はそれほど変わりません。
まずは3,000円以下から試せる、気軽な3機種
最初からPENTAX 17を買う必要はありません。フィルムという仕組みが自分に合うかどうかは、安い機種でも十分に判断できます。
フジカラー写ルンです 27枚撮り|2,990円で全部入り
迷ったらこれ、という基準機です。公式直販価格は2,990円で、フィルム(ISO400の135フィルム・27枚撮り)とフラッシュ用の電池まで内蔵済み。買ってすぐ撮れて、撮り終わったら箱ごと現像に出せます。
スペックはf=32mm F10のプラスチックレンズ1枚、シャッタースピード1/140秒の固定。質量90g、寸法W108.0×H54.0×D34.0mmとポケットに入るサイズです。撮影距離は1m~無限遠で、それより近づくとピントが合いません。
注意点は価格の推移です。富士フイルムは2025年4月1日にレンズ付きフィルム135を出荷価格ベースで約44%値上げしており、同時に名称も「写ルンです シンプルエース 27枚撮り」から「フジカラー写ルンです 27枚撮り」へ変更、外装も袋から紙箱に変わりました。安価な入門機という位置づけは、以前ほど当てはまらなくなっています(富士フイルムイメージングシステムズ公式のお知らせ)。
KODAK M35|4,310円で「繰り返し使える写ルンです」
使い切りの手軽さはそのままに、フィルムを入れ替えて何度でも使えるのがKODAK M35です。ヨドバシカメラの販売価格は4,310円、アサヌマネットショップでは5,500円。写ルンです2本分の予算で本体が手に入ります。
レンズは31mmの単層プラスチックレンズで絞りF10固定、シャッタースピード1/120秒。質量100g、寸法W114×H63×D35mm。内蔵フラッシュは単4形アルカリ電池1本で動き、撮影距離は1m~無限遠です。ファインダー視野率は70%なので、見えている範囲より少し広く写ると考えて構図を取ります。
弱点は写ルンですと同じく露出調整ができないこと。曇りや日陰では露出不足になりやすく、ISO400以上のフィルムを入れるのが現実的な対策です。それでも「フィルムを自分で巻き上げて、詰め替える」という一連の動作を体験できる価格としては最安クラスです。
4,310円でフィルムを入れ替えて何度も使える手軽な1台なら▼
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LomoApparat 21mm|13,800円で多重露光まで遊べる
同じ価格帯で「変わった写真を撮りたい」なら、ロモグラフィーのLomoApparat 21mmが候補になります。公式価格は13,800円(公式セール価格9,660円)。焦点距離21mmの超広角レンズを積み、絞りf10固定、シャッタースピードは1/100秒とバルブの2種類です。
特徴は付属アタッチメントの豊富さです。被写体を分割して多重露光できるSplitzer、万華鏡のように写るカレイドスコープ、最短20cmまで寄れるクローズアップアタッチメントが同梱され、フラッシュ用カラーフィルターで光に色を付けることもできます。多重露光に対応し、三脚穴もあるので長時間露光も可能です。電池は単3形電池1本(フラッシュ用)。
妥協点はピント調整がないことと、ISO感度の設定機構を持たないこと。どんなフィルムを入れても露出は同じなので、フィルム側の感度選びが結果を左右します。狙った通りに撮るカメラではなく、偶然を楽しむカメラです。
写ルンですのフラッシュ有効範囲は1m~3m。飲み会の席で対面の人を撮るぶんには届きますが、ライブ会場や広い室内で奥の被写体を狙うと光が届かず、真っ暗なコマが並びます。原因はフラッシュの到達距離であって、現像の失敗ではありません。対策は「フラッシュを光らせて、3m以内まで近づく」だけ。F10固定・1/120秒前後の固定式カメラでは、この距離感を守れるかどうかが歩留まりを決めます。
1本で倍撮れるハーフサイズ機という選択肢

「フィルム代が気になるけれど、たくさん撮って練習したい」という人に最も現実的なのがハーフサイズ機です。現行で選べるのは実質この2機種です。
KODAK EKTAR H35N|10,890円でスターフィルター内蔵
ヨドバシカメラでの販売価格は10,890円、価格.comでは本体のみの出品が9,801円から見つかります。レンズは22mm F8で、ガラスレンズ1枚+非球面アクリルレンズ1枚の構成。前モデルのEKTAR H35からガラスレンズ採用に変わった点が、H35Nの中身の進化です。
シャッタースピードは1/100秒に加えてバルブを搭載し、内蔵スターフィルターで街灯やイルミネーションに光条を出せます。質量110g、寸法W110×H62×D39mm、電池は単4形アルカリ電池1本。36枚撮りフィルムで72枚、24枚撮りで48枚という撮影枚数が最大の武器です。
妥協点は絞りF8固定でピント調整もないこと。夜景はバルブ+三脚が前提になり、手持ちの暗所撮影はフラッシュ頼みです。「安く、たくさん、雰囲気のある写真を撮る」目的に特化した機種だと考えるのが正解です。
PENTAX 17|117,700円、20年ぶりの国産新規フィルム機
リコーイメージングが2024年7月12日に発売した、ハーフサイズフォーマットのフィルムコンパクトです。メーカー希望小売価格は117,700円(税別107,000円)。価格.comの最安値は70,993円ですが、販売店によって開きが大きいため、実勢価格は購入時に必ず確認してください。
| レンズ | 25mm F3.5(35ミリ判換算37mm相当)3群3枚 |
| 画面サイズ | 24×17mm(ハーフサイズ) |
| シャッタースピード | 1/350秒~4秒、バルブ |
| ピント合わせ | ゾーンフォーカス(6ゾーン手動選択)/最短24cm |
| 質量・電源 | 290g(フィルムと電池を除く)/CR2リチウム電池1個 |
| 価格 | 117,700円(希望小売価格・税別107,000円) |
中身はトイカメラとは別物です。ボディはマグネシウム合金、対応ISO感度はISO50~3200、撮影モードはAUTO・スローシャッター・バルブ・日中シンクロなど7種類。フィルムの巻き上げはレバーによる手動で、アルバダ式ブライトフレームファインダーを覗いて撮ります。フィルター径40.5mmで、フィルターワークも楽しめます(リコーイメージング公式の仕様ページ)。
弱点はオートフォーカスがないこと。6つのゾーンから距離を選ぶ方式なので、被写体までの距離感を自分でつかむ必要があります。寸法は約127.0×78.0×52.0mmで、ポケットに入る大きさではありません。
ハーフサイズで後悔しないための確認点
ハーフサイズは「安く撮れる」代わりに、撮り切るまでが長くなります。36枚撮りを入れれば72枚。イベント1回で使い切るつもりが、半年カメラの中に入りっぱなし、というのはよくある話です。フィルムは入れたまま長期間放置すると劣化の影響を受けるので、撮り切る計画とセットで考えてください。
もうひとつは仕上がりサイズ。1コマが24×17mmと小さいため、L判程度なら問題なくても、大きく伸ばすと粒状感やシャープさの差が出ます。作品として大きくプリントしたい人は、最初からフルサイズ1コマの機種を選ぶほうが満足度は高くなります。
露出計もAFも欲しいなら、本格コンパクトへ
「ちゃんと写る」ことを最優先するなら、露出計とオートフォーカス、あるいは精密なレンジファインダーを積んだ機種に進みます。価格は一気に上がりますが、歩留まりも上がります。
Rollei 35AF|159,500円、LiDARでピントが合う
MiNT cameraが2024年11月22日に発売した現代版Rollei 35です。日本国内正規品の価格は159,500円で、日本語取扱説明書と国内保証書が付きます。レンズは35mm F2.8の5枚構成ガラスレンズ、ピント合わせはLiDAR方式オートフォーカスで測距範囲は70cm~無限遠です。
露出は絞り優先オートとマニュアルの両対応、中央重点測光、絞りはF2.8からF16まで6段。シャッタースピードはマニュアルで1/500~1秒、長時間露光は2~60秒まで設定できます。対応ISO感度はISO25~3200でDXコードにも対応。内蔵フラッシュはF2.8時の有効距離3.5m、セルフタイマーは10秒。質量は約242g、寸法は約104×75×56mmです。
ここまで揃って約242gという軽さが最大の価値で、旅行やスナップで持ち歩く前提なら現行機の中で最もバランスが取れています。妥協点は価格。同じ金額でフルサイズのデジタル機が狙える水準なので、「フィルムで撮りたい」という動機がはっきりしている人向けです。
ライカM6|1,100,000円という到達点
2022年にライカMPの技術をベースに復刻され、2026年9月時点でもライカオンラインストアで1,100,000円(税込)で販売されています。0.72倍のブライトフレームファインダー、布幕フォーカルプレーンシャッターは機械式で1秒~1/1000秒、フラッシュ同調速度は1/50秒。TTL露出計を内蔵し、対応ISO感度はISO6~6400です。
真鍮製のトップカバーとベースプレートを持つフルメタルボディで、質量575g(電池別)、寸法138×77×40mm。電池はSR44またはCR1/3Nで、電池が切れても機械式シャッターは動きます。公式ページには入荷まで時間がかかる場合があると明記されているので、在庫状況は事前確認が必要です(ライカオンラインストア)。
価格はRollei 35AFの約7倍。この差は写りの優劣というより、レンジファインダーの精度、交換レンズ資産、そして長く使い続けられる修理体制に対する投資だと考えるのが実態に近いです。1台目に選ぶ機種ではありません。
価格差7倍の中身を並べてみる
| 項目 | PENTAX 17 | Rollei 35AF | ライカM6 |
|---|---|---|---|
| フォーマット | ハーフ(24×17mm) | 35mm判 | 35mm判 |
| レンズ | 25mm F3.5固定 | 35mm F2.8固定 | 交換式(Mマウント) |
| ピント | ゾーンフォーカス6段 | LiDAR方式AF | レンジファインダー手動 |
| 質量 | 290g | 約242g | 575g |
| 価格 | 117,700円 | 159,500円 | 1,100,000円 |
表にすると、Rollei 35AFが「軽さ+AF+露出オート」を1台にまとめた特異な立ち位置だと分かります。PENTAX 17はハーフサイズゆえにランニングコストが半分で済み、ライカM6はレンズを交換して長く使う前提。同じ価格帯の比較ではなく、役割が違う3台です。
現行7機種の横並び比較と、予算別の結論
ここまでの機種を1枚にまとめます。価格は2026年9月時点で確認した公式価格・販売店価格です。
| 機種 | タイプ | 質量 | 価格 |
|---|---|---|---|
| フジカラー写ルンです 27枚撮り | 使い切り | 90g | 2,990円 |
| KODAK M35 | リユーザブル | 100g | 4,310円 |
| KODAK EKTAR H35N | ハーフサイズ | 110g | 10,890円 |
| LomoApparat 21mm | 超広角トイ | 公表なし | 13,800円 |
| PENTAX 17 | ハーフサイズ本格機 | 290g | 117,700円 |
| Rollei 35AF | AFコンパクト | 約242g | 159,500円 |
| ライカM6 | レンジファインダー | 575g | 1,100,000円 |
予算1万円以下・1万円台・10万円以上の3分岐
予算1万円以下なら、選択肢はフジカラー写ルンです 27枚撮り(2,990円)かKODAK M35(4,310円)です。繰り返し使うならM35一択で、2本目のフィルムから元が取れ始めます。
1万円台まで出せるなら、KODAK EKTAR H35N(10,890円)かLomoApparat 21mm(13,800円)。前者はランニングコストを半分にする方向、後者は表現の幅を広げる方向で、性格が正反対です。
10万円以上の本格機に進むのは、「フィルムを続けると決めた後」で構いません。PENTAX 17(117,700円)は現行で唯一の国産新規設計機で、修理やサポートの安心感を重視する人向け。Rollei 35AFはAFと軽さ、ライカM6はレンズ交換と長期使用が選ぶ理由になります。
| 使いたいシーン | おすすめ機種 | 価格 |
|---|---|---|
| 旅行や飲み会で1回だけ | フジカラー写ルンです 27枚撮り | 2,990円 |
| 日常スナップを量で撮る | KODAK EKTAR H35N | 10,890円 |
| イルミネーション・夜遊び | KODAK EKTAR H35N(スターフィルター内蔵) | 10,890円 |
| 人物をきちんとピントよく | Rollei 35AF | 159,500円 |
| 操作を学びながら長く使う | PENTAX 17 | 117,700円 |
実は、高い機種ほど写真が良くなるわけではない
意外と知られていないのですが、フィルム写真の「雰囲気」を決めているのは本体よりもフィルムと光です。KODAK EKTAR H35Nの22mm F8固定レンズで撮った夕方の光と、ライカM6で撮った同じ夕方の光は、プリントを並べて初めて差が分かる程度のこともあります。
価格差が効いてくるのは、暗い場所、動く被写体、正確なピントが必要な場面です。F2.8の明るいレンズと測距機構があれば撮れるカットが、F8固定の機種では撮れません。逆に言えば、晴れた日の屋外スナップという条件なら、10,890円の機種で十分に戦えます。
だからこそ最初の1台は安い機種で構いません。撮れなかったカットが出てきたとき、その理由(暗さなのか、ピントなのか、画角なのか)が具体的に分かります。その不満こそが、次に買うべき機種を正確に教えてくれます。
中古の名機を狙う前に知っておきたい2つの壁
フィルムカメラは中古市場のほうが選択肢が圧倒的に多く、価格も現行機より抑えられることがあります。ただし、40年前の機械を買うということは、現行品を買うのとは別の判断が必要です。
機械式と電子制御式、電池が切れたときに差が出る
中古の定番機には、大きく2つの系統があります。ニコン New FM2は1984年発売で、チタン幕縦走りの機械式シャッターを搭載。最高シャッタースピードは1/4000秒、フラッシュ同調速度は1/250秒です(FM2は1/2000秒・1/200秒)。機械式なので、電池がなくてもシャッターは切れます(ニコン公式のカメラクロニクル)。
対してCanon AE-1は1976年4月発売、世界初のマイコン内蔵シャッター優先AE一眼レフで、シャッターは布幕横走行フォーカルプレーンの全速電子制御式。2秒~1/1000秒とBを備え、電源は6Vの4G-13型酸化銀電池または4LR44アルカリマンガン電池1個です。発売時価格はFD50mm F1.4 S.S.C.付きで81,000円でした(キヤノンカメラミュージアム)。
この違いは実用上とても大きな差になります。電子制御式は電池が切れた瞬間にシャッターが動かなくなる一方、機械式は露出計が死んでも撮影自体は続けられます。旅先で電池が手に入らない状況を想定するなら、機械式を選ぶ理由があります。
水銀電池MR-9の問題は今も続いている
古い機種の露出計には、かつて水銀電池MR-9が使われていました。この電池は環境規制で製造終了しており、現在は入手できません。代わりにSR44やLR44を装着するための変換アダプターが市販されています。
ただし電圧が問題になります。MR-9は1.35V、現行のSR44・LR44は1.5V。電圧が違うと露出計の指示値がずれるため、電圧変換回路を内蔵したアダプターを使う方法があります。該当するのはオリンパスOM-1、オリンパスPEN FT、キヤノンFTシリーズ、ミノルタSRTなどです。
中古を検討するときは、購入前に「この機種は何の電池で動くか」を必ず調べてください。本体が安くても、アダプターや電池の手配が必要な機種は、使い始めるまでに余分な時間とコストがかかります。
中古で電子制御式の機種を買い、旅行当日に持ち出したらシャッターが切れない——という事態は珍しくありません。全速電子制御式のCanon AE-1は、電池が切れると動作しません。購入時に新品電池が入っていたとしても、店頭で数年眠っていた個体なら残量は期待できません。対策は「購入時に電池を新品に交換し、フィルムを入れる前に空シャッターを全速度で切ってみる」こと。これだけで、当日に気づく事故のほとんどを防げます。
買う場所で変わる安心感
中古カメラは、動作保証と返品条件のある専門店で買うのが基本です。フリマアプリは価格が抑えられる一方、シャッター精度や露出計の動作、光線漏れの有無は出品者の自己申告に頼ることになります。金額差だけで判断すると、修理代で逆転することがあります。
フリマアプリでの中古カメラの買い方を具体的に知りたい人は、こちらの記事が参考になります。

「同じ機種なのに、メルカリだと中古専門店より2万円安い」。カメラを探していてこの価格差に気づくと、そのまま買っていいのか迷いますよね。安い理由がわからないまま数…
フィルム代と現像代のリアルな金額
フィルムカメラは本体を買って終わりではありません。むしろ、ここからが本番です。
フィルム1本の価格は2,000円前後が相場
定番のカラーネガフィルムで見てみます。KODAK GOLD 200 36枚撮りはヨドバシカメラで2,260円、KODAK ColorPlus 200 36枚撮りは1,920円。どちらもISO200の35mmカラーネガです。
この価格は以前と比べて上がっています。富士フイルムは2025年4月1日にカラーネガフィルム135を出荷価格ベースで約21~22%値上げしており、理由として部材・原材料価格と輸送コストの高騰を挙げています。「昔は1本数百円だった」という記憶のまま予算を立てると、確実にずれます。
フィルムの銘柄ごとの発色の違いは、仕上がりを大きく左右します。銘柄選びで迷ったら、こちらで整理しています。

「フィルムカメラを手に入れたけれど、どのフィルムを買えばいいのか分からない」——お店のフィルム棚の前で固まってしまう方は多いです。カラーネガ、リバーサル、モノク…
現像とデータ化にいくらかかるか
カメラのキタムラの料金で計算してみます。ネガカラーフィルム現像料は950円。プリントするならL判1枚63円、KG判79円、2L判170円。スマホに転送するなら現像価格+880円、高画質なら+1,980円です。仕上がりは最短1時間(対応は店舗による)で、35mm・APS・レンズ付きフィルムに対応しています(カメラのキタムラ公式の料金ページ)。
プリントを全部作るのか、データ化だけで済ませるのかで総額は変わります。まず全コマをデータ化して、良かったカットだけプリントする流れが、無駄が出にくい使い方です。
1本撮り切るまでの総額はこうなる
実際の金額を組み合わせてみます。KODAK ColorPlus 200 36枚撮り1本+現像なら2,870円。これにスマホ転送を足すと3,750円。フィルムをKODAK GOLD 200 36枚撮りに変えて現像+スマホ転送まで付けると4,090円です(プリント代は別途)。
月に1本のペースで撮るなら、1年の合計ではカメラ本体の価格より現像代とフィルム代のほうが大きくなります。この構造を「高い」と感じるなら、ハーフサイズ機で1本を2倍使う戦略が効きます。EKTAR H35NやPENTAX 17なら、同じフィルム1本で72枚撮れるので、1枚あたりのコストは半分になります。
まとめ:最初の1台は「仕組み」で選び、次の1台は不満で選ぶ
フィルムカメラ選びで多くの人がつまずくのは、機種名のリストを眺めて比較しようとするからです。先に「使い切りか、リユーザブルか、本格機か」を決めれば、候補は2〜3機種に減ります。そして本体価格より、撮り切るたびに発生する現像料950円とフィルム代のほうが長期的には効いてきます。ここまで把握したうえで、最初の一歩としておすすめしたいのは、KODAK M35(4,310円)にKODAK ColorPlus 200 36枚撮り(1,920円)を1本入れて、週末に街へ持ち出すことです。撮り切って現像に出し、上がってきた36枚を見れば、自分がもっと明るいレンズを欲しがっているのか、ピント精度を求めているのかがはっきりします。その答えが出てから、PENTAX 17やRollei 35AFに進んでも遅くありません。
※価格や取り扱い状況は変動します。購入前に各メーカー・販売店の公式サイトで最新情報をご確認ください。

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