フィルムカメラの露出計が動かない、単体露出計の表示がなんだかおかしい。電池室を開けてみたら「SR44」と刻印された小さな銀色のボタン電池が入っていて、家電量販店に行くと隣に「LR44」が半額以下で並んでいる。見た目も大きさも同じなのに、この2つは何が違うのでしょうか。
結論から言うと、違いは中身の化学系です。SR44は酸化銀電池で公称電圧1.55V、LR44は二酸化マンガンを使うアルカリボタン電池で公称電圧1.5V。マクセルの法人向け技術ページによると容量はSR44SWが165mAh、LR44が120mAhです。外形寸法はどちらもΦ11.6×5.4mmで完全に同じなので、物理的には入れ替えられます。それでもカメラの露出計にはSR44が選ばれてきた理由が、電圧の下がり方にあります。
この記事では、メーカー公式スペックの数値だけを根拠に、2つの電池の違いと使い分けを整理します。A76・AG13・357・303といった紛らわしい互換型番の読み方、フィルム一眼や単体露出計で実際に指定されている電池、そして液もれ・廃棄まで、電池室を開ける前に知っておきたいことをまとめました。
・LR44とSR44の公称電圧・容量・価格の差を公式スペックの数値で把握できる
・電圧の下がり方の違いが、カメラの露出計にどう影響するかがわかる
・A76・AG13・357・303など互換型番の対応関係と、間違えやすい型番の見分け方がわかる
・フィルム一眼・単体露出計・6V機・水銀電池機、それぞれの正解がわかる
LR44とSR44の違いは「0.05Vと45mAh」に集約される

2つの電池のスペックを並べると、差は驚くほど小さく見えます。しかし、その小さな差が精密機器では効いてきます。まずは数字で全体像をつかみましょう。
| 項目 | LR44(アルカリ) | SR44(酸化銀) | 差 |
|---|---|---|---|
| 公称電圧 | 1.5V | 1.55V | 0.05V |
| 容量(マクセル) | 120mAh | 165mAh(SR44SW) | 45mAh |
| 外形寸法 | Φ11.6×5.4mm | Φ11.6×5.4mm | なし |
| 質量(パナソニック) | 約2g | 約2.2g(SR44P) | 約0.2g |
| 価格(マクセル公式ショップ) | 2個パック 税込380円 | 1個パック 税込750円 | 1個あたり約3.9倍 |
中身は「二酸化マンガン」と「酸化銀」|正極材の違いがすべての起点
LR44とSR44を分けているのは、正極に何を使っているかです。LR44は二酸化マンガンを使うアルカリボタン電池で、型番の頭文字「L」がアルカリ系を表します。SR44は酸化銀を正極に使う酸化銀電池で、頭文字「S」がシルバー(銀)を意味します。IEC型番の1文字目を見るだけで、中身の化学系が判別できる仕組みです。
この材料差が、公称電圧の0.05V差として表に出ます。マクセルの法人向け技術ページでは、SR系の公称電圧を1.55V、LR系を1.5Vと明記しています。0.05Vは電池1個あたりの差ですから、2個直列で使う機器なら3.0V対1.1Vではなく3.0V対3.1Vの差、つまり0.1Vの差になります。
使用シーンで言えば、電圧の絶対値そのものが問題になる場面はほとんどありません。多くの機器は多少の電圧差を吸収する設計です。差が効くのは、この後に説明する「使い込んだときの電圧の落ち方」のほうです。
注意点として、銀は材料コストが高く、それがそのまま販売価格に反映されます。マクセル公式ショップの価格を見ると、LR44は2個パックで税込380円(1個あたり190円)、SR44は1個パックで税込750円(いずれも2026年8月時点)。1個あたりで約3.9倍の開きがあります。
容量は120mAhと165mAh|同じ機器なら理論上1.4倍長持ちする
容量の差は45mAh。マクセルの法人向けページによると、LR44が120mAh、SR44SWが165mAhです。同じ電流を流す機器に入れた場合、単純計算で約1.4倍の持ちになります。
この数字が生きるのは、電池交換の手間がかかる機器です。フィルムカメラの電池室は底面のネジ式キャップになっていることが多く、コインやドライバーが必要な機種もあります。年に何度も開け閉めするより、1回あたりの単価が高くても長持ちする電池を入れておくほうが結果的に手間が減ります。
ただし、容量の数値をメーカーをまたいで単純比較するのは避けてください。エナジャイザーの公式データシートでは、アルカリのA76(IEC LR44)の代表容量を150mAh(0.9Vまで、7.5kΩ連続放電・21℃)としており、同社の酸化銀357/303(IEC SR44)も150mAhと記載されています。測定条件が違えば数値も変わるという例です。
注意点は、容量が大きいこと自体は「電池切れの予兆が読みやすくなる」ことを意味しない点です。むしろ酸化銀電池は最後まで電圧を保つぶん、切れるときは一気に切れます。予備を1個持ち歩くほうが現実的な対策です。
サイズは完全に同じΦ11.6×5.4mm|だから入れ替えられてしまう
混乱の最大の原因が、寸法が1mmも違わないことです。パナソニックの公式仕様ページでは、アルカリボタン電池LR44が約Φ11.6×5.4mm、酸化銀電池SR44Pも約Φ11.6×5.4mmと記載されています。電池室に入れてしまえば、外から見分けることはできません。
質量にわずかな差はあります。パナソニックの公式値でLR44が約2g、SR44Pが約2.2g、時計用のSR44Wが約2.4g。銀を使うぶん酸化銀電池のほうが重くなりますが、0.2〜0.4gの差を指先で判別するのは現実的ではありません。判断はパッケージの型番表示で行ってください。
互換性についてはメーカーも公式に認めています。マクセルのFAQは「SRボタン電池はLRボタン電池と同じ1.5V系の電池で互換性があります。LRボタン電池はSRボタン電池の廉価版として商品化された電池です」と明記しています。つまり入れ替えは想定内の使い方です。
注意点として、互換性があることと、どの機器でも同じ結果になることは別です。マクセル公式ショップのLR44の商品ページには「本製品の3個以上の直列使用は避けてください。機器を破損させるおそれがあります」という注記もあります。取扱説明書に指定型番がある機器では、まず指定に従うのが安全です。
価格差は1個あたり約560円|2個使う機器なら1回の交換で1,120円の差
コストで判断したい人のために、実際の金額を出しておきます。マクセル公式ショップの2026年8月時点の価格で、LR44は2個パック税込380円、SR44は1個パック税込750円。1個あたりに換算すると190円対750円で、差は560円です。
フィルム一眼の露出計はSR44やLR44を2個使う機種が多いため、1回の交換で1,120円の差が出ます。年1回交換なら年間1,120円、5年で5,600円。金額の絶対値としては大きくありませんが、複数台持っている人には無視できない差になります。
使用シーンで割り切るなら、常用機にはSR44、たまにしか出さないサブ機にはLR44という配分が合理的です。特に「露出計の精度で1/3段を詰めたい機体」と「フィルムのラチチュードに任せる機体」では、求める安定度が違います。
注意点は、安いからと大量に買い置きしないことです。マクセルの公式製品ページによると、アルカリボタン電池LR44の使用推奨期限は製造後2年間。10個入りを買っても使い切れずに期限を過ぎれば、単価のメリットは消えます。
電池が減ったとき、写真の露出が狂うのはどっち?
スペック表では0.05Vの差でしかない2つの電池が、カメラの世界で明確に区別されてきた理由がここにあります。問題は「新品時の電圧」ではなく「使い込んだときの電圧の落ち方」です。
放電特性=電池を使っていったときに、電圧がどのように下がっていくかを示す性質のこと。終わりまで電圧が平坦に近い電池を「フラットな放電特性」、使うほど右肩下がりに落ちる電池を「傾斜のある放電特性」と呼び分けます。マクセルはSR(酸化銀)電池の特長として「放電時の作動電圧が安定」と公式に記載しています。
アルカリは使うほど電圧が下がる|露出計が少しずつ嘘をつき始める
LR44の弱点は、放電が進むにつれて端子電圧がじわじわ下がることです。新品時は1.5Vでも、使い込むほど電圧は低下していきます。この特性は、電圧を基準に測光値を算出する古い露出計と相性がよくありません。
1970年代以前の指針式露出計は、電池電圧を前提に回路が組まれています。電圧が下がると針の振れ方が変わり、実際の明るさより暗い(または明るい)方向に指し示すようになります。しかも一気に壊れるわけではなく、少しずつずれていくため、撮影者が異変に気づきにくいのが厄介です。
比較すると、SR44は放電の終盤まで1.55V付近を保ち、切れるときに急に落ちます。露出計にとっては「正しいか、動かないか」の二択になるため、誤った値を信じ続けるリスクが小さくなります。マクセルもSR系の特長として作動電圧の安定を挙げています。
デメリットも正直に書いておくと、SR44の「終盤まで粘って急に落ちる」特性は、撮影中の突然死につながります。電池残量計のない機械式カメラでは予兆がありません。フィルム1本を撮り切る途中で露出計が沈黙する可能性を考えると、予備電池の携行はSR44を使う場合こそ必要です。
【失敗パターン①】現像したら全カットがアンダー|原因は電池だった
フィルムカメラでよくあるトラブルが、「露出計の指示どおりに撮ったのに、上がってきたポジが全部アンダー(または全部オーバー)」というものです。レンズも現像所も変えていないのに一定方向にずれている場合、電池の電圧低下が原因になっているケースがあります。
起きる仕組みはシンプルです。電圧が下がった状態のLR44を入れたまま使い続けると、露出計の出力が本来の値から一定量ずれます。撮影者はその値を信じてシャッター速度と絞りを決めるため、ずれがそのままフィルムに焼き付きます。1本まるごと同じ方向にずれるのが特徴です。
対策は3つあります。第一に、指定がSR44の機体には酸化銀電池を使うこと。第二に、電池を入れてからの経過期間を記録しておくこと。第三に、スマートフォンの露出計アプリや単体露出計と数値を突き合わせ、2段以上の差がないか年に1回チェックすることです。
注意点として、露出のずれは電池だけが原因とは限りません。受光素子の劣化、CdSセル特有の反応の鈍り、ミラー周りの調整ずれなども同じ症状を出します。電池を新品のSR44に替えてもずれが残るなら、修理業者の点検対象と考えたほうが確実です。
デジタル表示の機器では「表示が薄くなる」前に交換する
液晶表示のある機器では、症状の出方が変わります。電圧が下がると液晶のコントラストが落ち、数字が薄く見えるようになります。これはLR44を入れた場合に起きやすい現象で、表示の見づらさが交換サインとして機能します。
マクセルの技術情報によると、酸化銀電池にはW系とSW系の区分があり、W系は「大きな電力を短期間に使う機器」向けで、デジタル時計や医療機器が用途として挙げられています。バックライトやアラームのように瞬間的に電流を必要とする機器には、この負荷特性が効いてきます。
使用シーンで言えば、単体露出計やデジタルタイマーのように表示と演算を常時行う機器はW系の得意分野です。一方、アナログ時計のように微弱な電流を長期間流し続ける機器にはSW系が向いており、マクセルはSW系の耐漏液寿命がW系の約2倍としています。
注意点は、W系とSW系の区別を過度に気にしすぎないことです。パッケージにSR44としか書かれていない製品も流通しており、一般的な用途では大きな問題になりません。時計店で交換を頼む場合はプロが型番を選んでくれるので、指定があるかどうかだけ確認すれば十分です。
電池を入れっぱなしにするリスクはLR44のほうが高い
もうひとつの実務的な差が、液もれへの強さです。マクセルは酸化銀電池SR44の特長として「液もれ防止設計」を掲げ、さらにSR電池を対象とした液もれ補償制度を公式に用意しています。アルカリボタン電池のLR44にはこの補償制度の記載がありません。
補償の中身は具体的です。使用推奨期限内で警告・注意事項を守った上で液もれが起きた場合、電池交換または機器の修理・交換に対応し、修理・交換ができない機器では故障部分の修理代金を査定して補償するとされています。連絡先はマクセル製品お客様ご相談センターです。
フィルムカメラの多くは半年、1年と使わない期間が生まれます。電池室の中で液もれが起きれば端子が腐食し、修理費は電池代の何十倍にもなります。長期保管する機体ほど、液もれ耐性と補償の有無は実利のある判断材料です。
注意点として、補償には除外規定があります。使用推奨期限を過ぎての液もれ、使用方法の誤りに起因する液もれ、一般家庭用品以外での使用、現物調査ができない場合などは対象外で、補償は日本国内で発生した損害に限られます。補償があるから入れっぱなしでよい、という話ではありません。
A76・AG13・357・303…型番の暗号を3分で読めるようにする

売り場で混乱する最大の原因が、同じ電池に何種類もの型番が付いていることです。国やメーカーによって呼び名が違うだけなので、対応表さえ頭に入れば怖くありません。
LR44の別名はA76・AG13・L1154など|すべて同じアルカリ
マクセルの公式製品ページは、LR44のサイズ互換品としてA76・PX76A・GPA76・L1154・AG13・G13Aを挙げています。海外パッケージやノーブランド品ではこれらの表記のほうが目立つことも多く、「LR44と書いていないから別物」と判断すると買い逃します。
覚え方は、頭文字を見ることです。「A」で始まるA76はアルカリ(Alkaline)由来、「AG」はアルカリのボタン電池に付けられる汎用番号で、AG13がLR44に対応します。数字の並びは各社の社内番号なので、意味を解読しようとせず対応表として覚えるのが早道です。
使用シーンとしては、通販でまとめ買いするときに効いてきます。「AG13 20個入り」といった商品はLR44相当で、単価が下がることがあります。おもちゃやLEDライトなど精度を求めない機器の消耗品として買うなら現実的な選択肢です。
注意点は、互換表記の商品では使用推奨期限やメーカー保証が読み取りにくいことです。カメラや露出計のように腐食の被害が大きい機器には、期限表示のある国内メーカー品を使うほうがリスクを抑えられます。
SR44の別名は357・303・SR44SW|数字型番は酸化銀の目印
酸化銀側はさらに型番が多彩です。パナソニックの公式仕様ページによると、SR44Pの相当品は357・D357H・RS76・RW42・V76PX・V13GS・V357・541・BSR44H・S1154・G13・MS76・SR76E。時計用のSR44Wの相当品としては357が挙げられています。
エナジャイザーが「357/303」という2つの数字を併記して製品を出しているのも同じ理由です。同社の製品ページには代替表記としてSR1154SW・SR44SW・SR44Wなどが並んでおり、容量は150mAh、直径11.6mm×高さ5.4mmと案内されています。保存状態では最大5年電力を保持するとしています。
使い分けの目安はシンプルで、時計店やカメラ店の店頭で「357」と書かれた電池を見たらSR44だと考えてかまいません。逆に「A76」ならLR44です。3桁の数字型番=酸化銀、A/AG系=アルカリ、と覚えておけば売り場で迷いません。
注意点として、W系(SR44W)とSW系(SR44SW)はどちらも357や303に紐づけられることがあり、パッケージ表記だけでは区別しきれない場合があります。用途がアナログ時計ならSW系、デジタル機器ならW系が本来の想定ですが、SR44としか書かれていない製品も一般用途では実用上問題になりません。
型番の「44」は大きさの記号|1130や41と間違えないために
LR44の「44」はIEC規格で定められたサイズの記号です。国内の別表記であるL1154やSR1154の「1154」は、直径11.6mm・高さ5.4mmに由来するとされ、数字を見れば寸法が推測できる仕組みになっています。マクセルもLR44の互換品としてL1154を掲載しています。
紛らわしいのがLR1130(AG10)です。直径はLR44と同じ11.6mmですが高さが低く、別サイズの電池になります。パッケージを並べると厚みの違いが見えますが、バラで置かれた状態では判別しにくいのが実情です。
使用シーンとして、家にある古いボタン電池のストックから「たぶんこれ」と選んで入れるのが一番危険です。電池室の刻印か取扱説明書で型番を確認し、パッケージのIEC型番(LR44 / SR44)と1文字ずつ照合してから買ってください。
【失敗パターン②】直径だけ見てLR1130(AG10)を買ってしまい、電池室に入れても厚みが足りずに接触せず、露出計が反応しない——これはボタン電池で最も多い買い間違いです。原因は「直径11.6mmが共通で、見た目が似ている」こと。対策は、店頭でパッケージのIEC型番を指差し確認すること。刻印が読めない古い機体では、電池室の深さと合わせて2点で判断してください。
W・SWの枝番は「電流の使い方」を表す|どちらを買うべきか
SR44の後ろに付くWやSWは、放電特性の違いを示す枝番です。マクセルの技術情報によると、SW系は小さな電力で長期間使う機器向け、W系は大きな電力を短期間に使う機器向けで、デジタル時計や医療機器がW系の用途に挙げられています。
容量の数値は共通です。マクセルの資料ではSR44SWが165mAhで、SR44Wも同容量ながら放電特性が異なると説明されています。同じ体積の電池を、どんな流し方に最適化するかという設計思想の差だと考えるとわかりやすくなります。
耐漏液性能には差が示されています。SW系はW系の約2倍の耐漏液寿命とされており、長期間入れっぱなしになりやすい機器ではSW系が有利です。アナログ時計にSW系が使われてきたのは、この性質と用途が噛み合っているためです。
注意点は、店頭で枝番まで指定して買えるとは限らないことです。マクセル公式ショップではSR44Wの1個パック(SR44W 1BT A、税込503円・公称電圧1.55V・金コーティング採用)が掲載されていますが、同ページには販売終了の表示があります。枝番にこだわるより、入手しやすいSR44を使い、交換周期を守るほうが現実的です。
カメラで使うならどっち?機種別に答えを出す
ここからは実機の話です。手持ちの機材がどの電池を要求しているのか、代表的な4パターンで整理します。
フィルム一眼の露出計は2個使い|SR44指定ならSR44で揃える
1970〜1980年代のフィルム一眼は、露出計の電源にSR44またはLR44を2個使う機種が多く存在します。ニコンのFM2系やFE2もこの構成で知られており、電池を使うのは露出計だけです。FM2のような機械式シャッター機は、露出計を使わなければ電池なしでも撮影できます。
選ぶ基準は明快です。取扱説明書や電池室にSR44と刻印されている機体なら、酸化銀のSR44に揃えてください。電圧が終盤まで安定するため、露出計の指示値が使用期間を通じてぶれにくくなります。
比較として、LR44を入れても動作はします。マクセルのFAQが互換性を明記しているとおり、物理的にも電気的にも成立する組み合わせです。フィルムのラチチュードに任せる撮り方なら実用上の支障は出にくく、この使い方をする人も少なくありません。
注意点は、2個を必ず同じ種類・同じ時期のもので揃えることです。片方だけ新品にしたり、LR44とSR44を1個ずつ混ぜたりすると、電圧の異なる電池が直列につながって特性が読めなくなります。交換は2個同時が原則です。

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単体露出計はスペック表に明記されている|VC-Meter IIの例
外付けの単体露出計も、LR44/SR44を使う代表的な機材です。コシナのフォクトレンダー VC-Meter IIは、公式仕様で「LR44型アルカリ電池またはSR44酸化銀電池2個」と両方を明記しています。メーカー自身が2択を認めているケースです。
| 製品名 | Voigtländer VC-Meter II(コシナ) |
| 使用電池 | LR44型アルカリ電池 または SR44酸化銀電池 2個 |
| 測光範囲 | EV1(1秒・F1.4)〜EV20(1/2000秒・F22) |
| ISO感度 | ISO 25/15°〜3200/36° |
| サイズ・重量 | W42.5×D37×H20.1mm(突起部含む)/33.5g |
| 希望小売価格 | 33,800円(税別、2026年8月時点) |
この露出計はEV1からEV20までの広い測光範囲をカバーし、暗所ではEV1(1秒・F1.4相当)まで対応します。低照度で測るときほど回路にかかる負担は大きくなるため、電圧の安定した酸化銀電池のメリットが出やすい使い方です。
注意点として、33.5gという軽さは常時ホットシューに載せておける利点である反面、電源の切り忘れに気づきにくいという裏返しでもあります。使い終わったらスイッチを確認する習慣をつけると、電池の消耗を抑えられます。
キヤノンAE-1系は6V|LR44を4個積んだ4LR44を使う
同じ「LR44」の名前が付いていても、まったく別サイズの電池があります。4LR44は、LR44相当のセルを4個直列にした6Vの電池です。パナソニックの公式仕様によると4LR44Pは公称電圧6V、外形寸法は約Φ13.0×25.1mm、質量は約10gで、主な用途として「カメラ」が挙げられています。
キヤノンAE-1をはじめとする1970年代の電子制御一眼は、この6V電池を電源にしています。相当品型番はA544・PX28A・V4034PX・B4LR44・L1325・4AG13。売り場でこれらの表記を見かけたら、すべて同じ6V電池だと考えて問題ありません。
酸化銀版の4SR44も存在し、こちらは酸化銀セルを4個直列にした構成です。露出計の安定性を優先するなら酸化銀版、コストを優先するならアルカリ版という選び分けは、単セルのLR44とSR44の関係とまったく同じ構図になります。
注意点として、4LR44は円筒形で背が高く、単セルのLR44とは互換性がありません。「4LR44が売り切れていたのでLR44を4個買った」では機器に入りません。中古カメラを買うときは、電池室の形状と指定型番を必ず先に確認してください。

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水銀電池指定の機体は変換アダプターで1.35Vを作る
1970年代以前の機体には、水銀電池MR-9(PX625相当)を指定するものがあります。水銀電池は1.35Vと電圧が低く、しかも現在は製造されていません。ここに1.55Vの酸化銀電池をそのまま入れると、露出計の指示が本来の値からずれます。
解決策が電圧変換アダプターです。関東カメラサービスのMR-9(H-D)アダプターは、酸化銀電池SR43を内蔵し、その1.55Vを約1.35Vに変換して水銀電池MR-9に近い電圧でカメラを作動させます。フジヤカメラでの販売価格は税込3,300円(2026年8月時点)です。
比較すると、アダプターを使わずにISO設定をずらして補正する方法もありますが、補正量は機体ごとに実測が必要で、露出計の直線性が保証されません。3,300円で電圧そのものを合わせられるなら、手間と精度の両面で分がある選択です。
注意点は適用範囲です。同アダプターの製品情報には、大電流が必要な機種(キヤノンEFやチェッカーランプ等)では使用できず、ランプが暗くなったり点灯しない場合があるという注記があります。手持ちの機体が対象かどうか、購入前に販売店へ確認してください。
メーカー3社を横並びにするとLR44とSR44の違いが数字で見える
ここまでの公式スペックを、メーカー別に一覧化します。同じ規格の電池でも、公表される数値や測定条件は各社で異なります。
| 項目 | マクセル | パナソニック | エナジャイザー |
|---|---|---|---|
| アルカリ側の型番 | LR44 | LR44 | A76(IEC LR44) |
| アルカリの容量 | 120mAh | 公式ページに記載なし | 150mAh(0.9Vまで/7.5kΩ) |
| 酸化銀側の型番 | SR44/SR44W/SR44SW | SR44P(カメラ・電卓)/SR44W(時計) | 357/303(IEC SR44) |
| 酸化銀の容量 | 165mAh(SR44SW) | 公式ページに記載なし | 150mAh |
| 公表されている寸法 | SR44SWは直径11mm表記 | 約Φ11.6×5.4mm(LR44・SR44P共通) | 11.6mm×5.4mm |
マクセルは容量を公表している|数値で比較したい人向け
3社の中で、アルカリと酸化銀の容量を同じ土俵で公表しているのがマクセルです。法人向け技術ページでLR44を120mAh、SR44SWを165mAhと明記しており、45mAhの差=約1.4倍という比較ができます。
加えて、W系とSW系の設計思想や、SW系の耐漏液寿命がW系の約2倍であることまで公開しています。ボタン電池は情報が少ない製品カテゴリーですが、選定の根拠になる数値を確認したいならマクセルの資料が起点になります。
製品面では、SR44に液もれ防止設計と液もれ補償が付く点が特徴です。マクセル公式ショップの価格はSR44の1個パックが税込750円、LR44の2個パックが税込380円(2026年8月時点)で、どちらも入手性は良好です。
注意点として、公表されている寸法表記はページによって粒度が違います。時計用SR44SWの製品ページでは直径11mmという丸めた表記が使われており、Φ11.6mmという精密な数値はパナソニックやエナジャイザーの仕様ページのほうが読み取りやすくなっています。
パナソニックは用途で型番を分けている|SR44Pはカメラ用途と明記
パナソニックの特徴は、同じSR44でも用途別に製品を分けていることです。公式仕様ページによると、SR44Pは主な用途が「カメラ、電卓」で質量は約2.2g、SR44Wは主な用途が「時計」で質量は約2.4g。どちらも公称電圧1.55V、外形寸法Φ11.6×5.4mmです。
カメラで使う電池を探しているなら、用途欄に「カメラ」と書かれたSR44Pがそのまま答えになります。メーカーが想定用途を明示している製品を選ぶのは、迷いを減らす最短ルートです。
相当品の情報量でも優れています。SR44Pのページには357・D357H・RS76・RW42・V76PX・V13GS・V357・541・BSR44H・S1154・G13・MS76・SR76Eという13種類の相当品が並び、海外製品との照合表として使えます。
注意点は、公式ページに容量(mAh)の記載がないことです。持ちを数値で比較したい場合は、マクセルやエナジャイザーの資料を併用する必要があります。パッケージは1個入りブリスターが基本で、まとめ買いには向きません。
エナジャイザーはデータシートが読める|測定条件まで公開
海外メーカーの強みは、技術データシートが公開されていることです。エナジャイザーのA76(IEC LR44)は公称電圧1.5V、代表容量150mAh、測定条件は7.5kΩ連続放電・21℃・0.9Vまでと明記され、ANSI/NEDA 1166A、化学系は二酸化マンガンと記載されています。
酸化銀の357/303(IEC SR44)も容量150mAh、直径11.6mm×高さ5.4mmで、保存時は最大5年電力を保持するとされています。用途としてキッチンスケール、電卓、キーレスエントリー、血糖値計や心拍計といった医療機器が挙げられています。
ここで注目したいのは、同社の資料ではアルカリと酸化銀の容量がどちらも150mAhになっている点です。容量だけを見れば差はなく、選ぶ理由は放電カーブの形と保存性にある——という構図が、数字から読み取れます。
注意点として、測定条件が違う数値をメーカー間で並べても意味のある比較にはなりません。マクセルの120mAhとエナジャイザーの150mAhは、どちらが優れているという話ではなく、条件が違うだけです。比較は同一メーカー内で行ってください。
2026年3月に供給元が変わった|店頭の顔ぶれが変わる可能性
ボタン電池の供給地図は動いています。村田製作所と東北村田製作所のマイクロ一次電池事業(コイン形二酸化マンガンリチウム電池、酸化銀電池、アルカリボタン電池)が、譲渡額80億円でマクセルに移管されました。譲渡予定日は2026年3月1日と発表されています。
対象事業の売上高は約100億円規模。これまでmuRataブランドで流通していた酸化銀電池が、今後はマクセルの製品体系に統合されていくことになります。時計店やカメラ店の店頭ラインナップも、順次入れ替わっていく可能性があります。
撮影者にとっての影響は限定的です。IEC型番(SR44 / LR44)が同じであれば規格上の互換性は保たれるため、ブランドが変わっても機器側の対応は変わりません。パッケージのデザインが変わっただけで別物と考える必要はありません。
注意点は、在庫処分品の使用推奨期限です。ブランド切り替えの時期は旧在庫が安く出回ることがありますが、期限が近い電池を買い込むと液もれリスクが上がります。パッケージの期限表示を確認してから購入してください。
実は、LR44で十分な場面のほうが多い
ここまで酸化銀電池の優位性を数値で見てきましたが、すべての機器にSR44を入れるのが合理的とは限りません。意外と知られていないのは、メーカー自身が「LRはSRの廉価版」と位置づけて互換性を認めていることです。
メーカーが互換を明言している|過度に神経質になる必要はない
マクセルのFAQは、SRボタン電池とLRボタン電池について「同じ1.5V系の電池で互換性があります」「LRボタン電池はSRボタン電池の廉価版として商品化された電池です」と回答しています。この一文が、選択のハードルを大きく下げてくれます。
つまり、SR44指定の機器にLR44を入れることはメーカーの想定内です。露出計の精度が最優先でない機材、あるいは電圧変動が結果に出にくい機器では、価格差の560円を節約する判断に十分な根拠があります。
実例として、コシナのVC-Meter IIのようにメーカー公式仕様が「LR44型アルカリ電池またはSR44酸化銀電池2個」と両方を並べている製品もあります。設計側が両対応を前提にしているなら、使う側が悩む必要はありません。
注意点は、この互換性が「電気的に成立する」ことを意味するのであって、「同じ性能が出る」ことを保証するものではない点です。取扱説明書がSR44を単独指定している機体では、まず指定に従うのが基本です。
用途で割り切る|おもちゃ・LEDライトはLR44の独壇場
マクセルの技術情報は、LR系の用途としてLEDライト、玩具、防犯ブザー、体温計、Bluetooth機器を挙げています。いずれも電圧のわずかな変動が結果を左右しない機器です。ここに750円の酸化銀電池を入れる必然性はありません。
一方、SR系の用途として挙げられているのはアナログ時計、医療機器、Bluetooth Low Energy機器、体温計、測定工具。共通しているのは「表示された数値そのものが意味を持つ」機器であることです。カメラの露出計はまさにこの分類に入ります。
使い分けの判断軸は「数値を読む機器かどうか」。露出計、キッチンスケール、ノギスのような測定機器は酸化銀。光る、鳴る、動くだけの機器はアルカリ。この一線を引くだけで、ほとんどの場面で迷わなくなります。
注意点として、同じ機器でも使い方によって答えが変わります。年に数回しか使わない機材なら、容量よりも液もれ耐性と使用推奨期限のほうが重要です。用途と使用頻度をセットで考えてください。
| 使うシーン | おすすめの電池 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| フィルム一眼の露出計(常用機) | SR44を2個で揃える | 1,500円(税込750円×2) |
| たまに出すサブ機・防湿庫の在庫機 | LR44(使う直前に入れる) | 380円(2個パック) |
| 単体露出計(低照度で使う) | SR44を2個 | 1,500円 |
| キヤノンAE-1系の6V機 | 4LR44(相当品A544・PX28A) | 機種の指定型番を確認 |
| 水銀電池MR-9指定の機体 | MR-9(H-D)アダプター+SR43 | 3,300円+電池代 |
買い置きは「2年で使い切れる量」だけ|期限切れは損になる
通販では20個入りや50個入りのLR44が安く売られていますが、買い置きの量には上限を設けたほうが得です。マクセルの公式製品ページによると、アルカリボタン電池LR44の使用推奨期限は製造後2年間。手元に届いた時点で残り期間はさらに短くなっています。
計算してみると、露出計1台で年1回交換(2個使用)なら2年で4個。20個入りを買えば10年分になり、期限内に使い切ることはできません。単価が安くても、使えない電池を抱えるなら意味がありません。
現実的な買い方は、2個パックか5個パックを必要になったタイミングで買うことです。特にSR44は液もれ補償が使用推奨期限内であることを条件にしているため、期限切れの電池はコストだけでなく補償の面でも不利になります。
注意点として、パッケージの期限表示は「その期間内に使い始めれば規定の性能を満たす」という意味です。期限を1日過ぎたら使えないわけではありませんが、カメラの電池室に長期間入れる用途では、期限内の新しいものを使ってください。
予算別の考え方|差額でフィルムが1本買える
金額を撮影者の感覚に置き換えてみます。SR44を2個(1,500円)とLR44を2個(380円)の差額は1,120円。カラーネガフィルム1本分に相当する金額です。この1,120円を電池に払うか、フィルムに払うかという選択になります。
常用機で年間20本撮る人なら、露出の安定に1,120円を払う価値があります。露出計のずれで1本まるごと失敗すれば、フィルム代と現像代で同額以上が飛ぶからです。撮影量が多いほど、酸化銀電池のコストは相対的に小さくなります。
逆に年に2〜3本しか撮らない使い方なら、LR44で運用し、撮影前に単体露出計やスマートフォンのアプリと突き合わせるほうが合理的です。年間の総露出リスクが小さいので、電池に投資する優先度は下がります。
注意点は、複数台持ちの場合です。5台の機体すべてに酸化銀電池を2個ずつ入れると7,500円になります。全台に入れっぱなしにするより、使う機体にだけ電池を入れ、残りは電池を抜いて保管するほうが、金額面でも液もれ対策の面でも合理的です。
液もれ・保管・廃棄で差がつく|入れっぱなしにしない
電池選び以上に機材を守るのが、保管と廃棄の作法です。小さな電池ですが、扱いを誤ると機材の修理費や事故につながります。
使わない機体は電池を抜く|端子の腐食は修理代が跳ね上がる
長期保管する機材から電池を抜くのは、フィルムカメラ運用の基本動作です。電池室の中で液もれが起きると、電解液が端子やバネを腐食させます。腐食が進めば接点の交換が必要になり、修理費は電池代の何十倍にもなります。
マクセルは酸化銀電池SR44に液もれ防止設計を採用し、SR電池を対象とした液もれ補償制度を設けています。ただし補償の条件は使用推奨期限内で警告・注意事項を遵守していること。「入れっぱなしでも補償される」という制度ではありません。
使い分けの目安として、3か月以上使わない機体は電池を抜いて別保管にしてください。抜いた電池は絶縁テープを貼って、機体と一緒の袋に入れておくと次に使うときに迷いません。
注意点として、電池を抜くと露出計の設定が飛ぶ機種、日付機能がリセットされる機種があります。抜く前に設定内容を控えておくと、復帰時の手間が減ります。

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捨てるときは端子にテープ|ボタン電池回収缶へ持ち込む
使い終わったボタン電池は、自治体の一般ごみではなく回収ルートに乗せます。一般社団法人電池工業会の案内によると、アルカリボタン電池(LR)・酸化銀電池(SR)・空気亜鉛電池(PR)は、電極にテープを貼ってから、電気店・時計店・カメラ店などに設置された「ボタン電池回収缶」に入れます。
テープを貼る理由は短絡の防止です。使用済みでも電気は残っており、金属と接触すれば発熱の原因になります。持ち運ぶ間や回収缶の中でショートしないよう、プラス・マイナス両面を絶縁してから持ち込んでください。
回収された電池は収集運搬業者を通じてリサイクラーに送られ、適正に処理・リサイクルされます。電池工業会は、このルートでは最終の埋め立て処分は発生しないと説明しています。回収協力店はボタン電池回収サイトで検索できます。
注意点として、店舗によっては回収缶の設置場所がレジ裏になっていることがあります。持ち込むときは店員に声をかけてください。カメラ店なら電池を買うついでに古い電池を渡せるので、交換と廃棄をワンセットにすると忘れません。
子どもの誤飲リスク|電池は撮影バッグの中でも管理する
ボタン電池で最も重大なリスクが誤飲です。日本中毒情報センターの解説によると、電池を飲み込むと体内で電流が流れ、周囲の組織が損傷します。実際の事例として、6時間後に胃壁へ強く付着した状態で見つかったケースが紹介されています。
予防策として同センターが挙げているのは、電池室のふたを固定すること、子どもの手の届かない場所に保管すること、廃棄時は端子にテープを貼ること、2歳以上の子どもには電池が危険であることを教えることの4点です。
撮影者が見落としがちなのが、カメラバッグの中です。予備電池をポーチに裸で入れておくと、子どもが開けたときに手が届きます。ジッパー付きの小袋に入れる、あるいは元のブリスターパックのまま持ち歩くだけでリスクは下がります。
注意点は、誤飲が疑われる場合は自己判断で様子を見ないことです。時間の経過とともに損傷が進むため、速やかに医療機関を受診してください。何を飲み込んだか(型番・サイズ)を伝えられると診断の助けになります。
2個使う機器では必ず同時交換|混ぜて使わない
SR44やLR44を2個使う機器では、交換は必ず2個同時に行ってください。片方だけ新しくすると、電圧の異なる電池が直列につながり、古いほうに負担が集中します。液もれのリスクが上がる典型的なパターンです。
種類の混用も避けます。1.5VのLR44と1.55VのSR44を1個ずつ入れると、合計電圧は3.05Vになりますが、放電特性の異なる電池が直列になるため、どちらが先に消耗するかが読めなくなります。2個ともSR44、2個ともLR44と揃えるのが原則です。
メーカーや購入時期を揃えることも有効です。同じパッケージから取り出した2個を使えば、製造ロットと使用推奨期限が揃い、消耗のタイミングも近くなります。SR44の2個パックが便利なのはこの理由です。
注意点として、交換した日付をメモしておくと管理が楽になります。マスキングテープに日付を書いて電池室のふたの裏や機材ケースに貼っておけば、次の交換時期の判断材料になります。露出のずれを疑ったとき、経過期間がわかるだけで原因の切り分けが早く進みます。
まとめ|電圧の安定を買うか、価格を取るか
LR44とSR44の違いは、正極材が二酸化マンガンか酸化銀かという1点に集約されます。そこから公称電圧1.5V対1.55V、マクセル公表値で容量120mAh対165mAh、そして放電時の電圧の安定度という差が生まれます。外形寸法はΦ11.6×5.4mmで完全に共通なので、物理的にはどちらも入りますし、マクセル自身がFAQで互換性を認めています。
カメラで意味を持つのは、電圧の下がり方です。LR44は使うほど電圧が落ち、電圧を基準に測光する古い露出計では指示値が少しずつずれます。SR44は終盤まで1.55V付近を保つため、露出の再現性が保たれます。フィルム1本まるごとアンダーになる失敗を避けたいなら、常用機にはSR44を選ぶ価値があります。
一方で、すべての機材に酸化銀電池を入れる必要はありません。年に数本しか撮らないサブ機、光る・鳴るだけの機器、短期間で使い切る用途ならLR44で十分です。1個あたり190円と750円の差は、複数台持ちになると効いてきます。
最初の一歩として、まず手持ちの機材の電池室と取扱説明書で指定型番を確認してください。SR44指定でよく使う機体なら、マクセルのSR44(1個パック税込750円)を2個。しばらく使わない機体なら、電池を抜いて絶縁テープを貼り、防湿庫やケースで別保管に。この2つを今日やっておくだけで、露出のずれと液もれという2大トラブルの大半は防げます。
※価格・仕様は2026年8月時点のメーカー公式サイトおよび販売店ページに基づく情報です。最新情報は各メーカーの公式サイトでご確認ください。

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