「大三元の標準ズームを買いたいけど、初代Sと新型S IIのどちらを選ぶべき?」「約33万円の価値はあるの?」——ニコンZマウントユーザーなら、一度はこの疑問にぶつかるはずです。
2025年9月に発売されたNIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S IIは、初代から130gの軽量化、AF速度5倍、インターナルズーム採用と、数字で見える進化を詰め込んだ1本です。ただし、希望小売価格371,800円という金額は決して安くありません。初代の中古なら半額以下で手に入る今、本当にS IIを選ぶべきなのか、判断に迷う方も多いでしょう。
この記事では、NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S IIのスペックを初代・競合レンズと数値で比較しながら、「どんな人に買い替えのメリットがあるのか」を具体的に解説します。
・NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S IIの主要スペックと初代からの進化点
・初代S vs S IIの具体的な数値比較と買い替え判断基準
・競合レンズ(24-120mm f/4 S・TAMRON・Sony GM II)との立ち位置
・被写体別のおすすめ設定と購入前の注意点
130g軽量化とインターナルズーム|S IIが標準ズームの常識を変えた3つの数字

675gはf/2.8標準ズームでクラス最軽量——他社との重量差はどのくらい?
NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S IIの重量は約675gで、f/2.8通しの標準ズームレンズとしてはクラス最軽量です。初代NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 Sが約805gだったので、同じマウント・同じF値で130gの軽量化を達成しています。
130gという数字はスペックシートだけ見ると地味に感じるかもしれません。しかし、カメラバッグにボディと大三元3本を入れて1日歩くシーンを想像してください。標準ズーム1本で130g減るだけで、ペットボトル半分以上の重さが消えます。Nikon Z8(約910g)と組み合わせた場合、システム重量は約1,585g。初代との組み合わせより確実に取り回しが軽くなります。
一方で、軽量化の代償としてレンズ構成が10群14枚と初代の15群17枚から3枚減っています。非球面レンズも4枚から3枚へ減少しており、ボケ質への影響を気にする声もあります。ただし、大口径両面非球面レンズを前玉に採用することで、少ないレンズ枚数でもS-Line最高クラスの解像力を維持しているというのがニコンの回答です。
| 焦点距離 | 24-70mm |
| 開放F値 | f/2.8(ズーム全域) |
| レンズ構成 | 10群14枚(EDレンズ2枚・非球面レンズ3枚) |
| 最短撮影距離 | 0.24m(24mm時)〜0.33m(70mm時) |
| 最大撮影倍率 | 0.32倍(70mm時) |
| フィルター径 | 77mm |
| 重量 | 約675g |
| AF駆動 | シルキースウィフトVCM(SSVCM) |
| ズーム方式 | インターナルズーム(全長固定) |
| 希望小売価格 | 371,800円(税込) |
| 発売日 | 2025年9月26日 |
インターナルズームで全長が変わらない——動画撮影とジンバルに効く設計
S IIの大きな変化のひとつが、f/2.8通し標準ズームでは珍しいインターナルズーム機構の採用です。24mm端でも70mm端でもレンズの全長が約142mmで固定されるため、ズーミング中に鏡筒が前後に動きません。
この設計が効くのは、まず動画撮影のシーンです。ジンバルに載せたときにズームしても重心が移動しないので、バランスが崩れにくくなります。初代はズーム操作で鏡筒が繰り出す設計だったため、ジンバル運用時にバランスの再調整が必要になることがありました。S IIではその手間がなくなります。
もうひとつのメリットは防塵・防滴性能の向上です。鏡筒が動かないぶん、外部からの粉塵や水滴が侵入するリスクが下がります。雨天の屋外撮影や砂浜での撮影で安心感が増すのは、実用面で見逃せないポイントです。
ただし、インターナルズームの構造上、レンズの最大径は約84mmと初代の約89mmより5mm細くなった一方で、全長は142mmと初代の126mmより16mm長くなっています。カメラバッグのレンズ収納スペースによっては収まり具合が変わるので、買い替え前にバッグとの相性を確認しておくと安心です。
フィルター径が82mmから77mmへ——買い替え時に見落としがちなコスト
初代のフィルター径は82mm、S IIは77mmです。ワンサイズダウンしたことで、PLフィルターやNDフィルターなどの光学フィルターがひと回り小さく・軽く・安くなります。77mmはカメラ用フィルターでは最も流通量が多いサイズ帯のひとつなので、選択肢が豊富なのもメリットです。
一方で、すでに初代に合わせて82mmフィルターを揃えている方は、S IIへの買い替え時にフィルターも77mmに買い直す必要があります。PLフィルター1枚で5,000〜15,000円程度するので、複数枚持っている場合のコストは無視できません。ステップアップリングで対応する方法もありますが、ケラレのリスクや見た目のバランスを考えると、素直に77mm径を新調するのが確実です。
また、NIKKOR Z 24-120mm f/4 Sも77mmフィルター径なので、この2本を使い分けるスタイルであればフィルターを共用できます。大三元のうちNIKKOR Z 14-24mm f/2.8 Sは112mmのレンズキャップフィルター方式、NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR Sは77mmフィルター径なので、S IIと70-200mmでフィルターを共有できるのは地味に便利です。
AF速度5倍の秘密|シルキースウィフトVCMで変わるピント精度
STMからSSVCMへ——AF駆動方式の世代交代で何が変わった?
初代NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 Sに搭載されていたAF駆動はステッピングモーター(STM)でした。S IIではこれがシルキースウィフトVCM(SSVCM)に変更されています。SSVCMはニコンがZマウントレンズ向けに開発したボイスコイルモーター方式で、従来のSTMと比べてAF速度が約5倍に向上しました。
ボイスコイルモーターは磁石とコイルの電磁力でフォーカスレンズ群を直接駆動する仕組みです。ギアやカムを介さないダイレクト駆動のため、フォーカスの移動距離が長くても短くても一定の速度で応答できます。結果として、近距離から遠距離への大きなピント移動でも、微細なピント調整でも、レスポンスのばらつきが少なくなります。
注意点として、AF速度5倍という数字はニコンの社内テスト条件での比較値です。撮影環境やボディ側のAFアルゴリズムによって体感速度は変わります。とはいえ、初代のSTMが「遅い」と言われていたわけではなく、そこからさらに5倍速いという事実は、特に動体撮影で大きなアドバンテージになります。
SSVCMはSilky Swift Voice Coil Motorの略で、ニコンが開発したAF駆動用のボイスコイルモーターです。磁石とコイルの電磁力でレンズ群を直接動かす方式で、従来のステッピングモーター(STM)と比べて高速・高精度・低騒音を実現しています。NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S IIがズームレンズとして初めて搭載しました。
ズーム中のAF追従性能が60%向上——動体撮影で信頼できるか
SSVCMの恩恵はAF速度だけではありません。ニコンの公式発表によると、ズーミング中のAF追従性能が初代比で約60%向上しています。これは、ズームリングを回しながらでもピントが被写体を追い続ける能力が大幅に上がったことを意味します。
具体的にどんなシーンで効くかというと、たとえば子どもの運動会で走ってくる姿を24mmから70mmにズームしながら連写するケースです。初代ではズーム操作中にAFが一瞬迷うことがありましたが、S IIではSSVCMがズームによる焦点距離の変化に高速で追従するため、ピントが抜けにくくなります。
ウェディング撮影のように、チャペルの広い引きから新郎新婦のアップまでズームしながら撮る場面でも同様です。ズーム中にAFが安定するということは、「決定的瞬間でピントが合っていなかった」という失敗を減らせるということです。
ただし、AF追従性能はボディ側の演算能力にも依存します。Z9やZ8のような上位機との組み合わせでは最大限の性能を発揮しますが、Z5やZfcといったエントリー〜ミドル機では、ボディ側のAF処理速度がボトルネックになる可能性があります。レンズだけで完結する性能ではない点は理解しておきましょう。
瞳AF・被写体認識AFとの相性——Z9・Z8ユーザーが得る恩恵
ニコンのZマウント上位機(Z9、Z8、Z6III)は、人物の瞳AF、動物AF、乗り物AFなどの被写体認識機能を搭載しています。これらの機能はボディ側のAFアルゴリズムとレンズ側のAF駆動速度が連携して動くため、レンズのAF性能が向上するとシステム全体の追従精度が底上げされます。
S IIのSSVCMは、ボディからの「ここにピントを合わせろ」という指令に対する応答速度が速いため、瞳AFが被写体の瞳を検出してからピントが合うまでのタイムラグが短くなります。ポートレート撮影で瞳AFを常用する方にとって、これはピントの歩留まり向上に直結する進化です。
また、動物AFとの組み合わせでは、不規則に動くペットや野良猫の瞳を追い続ける場面で恩恵を感じられるでしょう。24-70mmの画角は動物撮影にはやや短いものの、室内でのペット撮影やドッグランなど、被写体との距離が近いシーンでは十分に守備範囲です。
デメリットとしては、S IIの能力をフルに引き出すにはZ9やZ8クラスのボディが望ましく、エントリー機では性能差を体感しにくいという点があります。ボディとレンズのトータル投資で考えると、システム全体で100万円を超える覚悟が必要です。
初代S vs S II|スペック比較で見える「買い替え」の判断基準

光学設計の違い——14枚 vs 17枚、解像力とボケ質はどう変わった?
初代NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 Sは15群17枚、S IIは10群14枚。レンズ枚数が3枚減っています。枚数が減った=画質が落ちた、とは限りません。S IIでは大口径両面非球面レンズを前玉に採用し、EDレンズと非球面レンズの配置を最適化することで、少ない枚数でS-Line最高クラスの光学性能を維持しています。
MTF曲線を比較すると、中心部の解像力はI型もII型もきわめて高く、実写で差を感じるのは難しいレベルです。ただし、非球面レンズが4枚から3枚に減ったことで、点光源のボケに「玉ねぎボケ」と呼ばれる同心円状の模様が出やすくなる可能性があります。イルミネーションや夜景の玉ボケにこだわる方は、レビュー作例を確認してから判断するのが安全です。
コーティングはS IIでメソアモルファスコートとアルネオコートを採用し、逆光時のゴースト・フレア耐性が強化されています。初代のナノクリスタルコート+アルネオコートと比較して、より幅広い入射角の光に対してフレアを抑制できる設計です。逆光の風景撮影やウェディングのバックライトシーンでは、S IIのコーティングが有利に働きます。
| 項目 | NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S(初代) | NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S II |
|---|---|---|
| 発売日 | 2019年2月 | 2025年9月 |
| レンズ構成 | 15群17枚(ED2枚・非球面4枚) | 10群14枚(ED2枚・非球面3枚) |
| 重量 | 約805g | 約675g |
| 最短撮影距離 | 0.38m | 0.24m(24mm時) |
| 最大撮影倍率 | 0.22倍 | 0.32倍 |
| AF駆動 | ステッピングモーター(STM) | シルキースウィフトVCM(SSVCM) |
| ズーム方式 | 繰り出し式 | インターナルズーム(全長固定) |
| フィルター径 | 82mm | 77mm |
| 最大径×長さ | 約89mm × 126mm | 約84mm × 142mm |
| 希望小売価格 | 生産終了(中古15〜18万円程度) | 371,800円(税込) |
最短撮影距離0.24mの使い勝手——テーブルフォトも守備範囲に
S IIの最短撮影距離は24mm時で0.24m、70mm時で0.33mです。初代の0.38mから大幅に短縮されました。最大撮影倍率も0.22倍から0.32倍に向上しており、より被写体に寄れるレンズになっています。
0.24mという距離は、レンズ先端から被写体まで実質10cm程度ということです。料理やアクセサリーのテーブルフォト、花のクローズアップなど、これまでマクロレンズが必要だったシーンの一部をカバーできます。標準ズーム1本でここまで寄れるのは、荷物を減らしたい旅行撮影やカフェでのスナップで重宝するはずです。
ただし、24mm端で最短撮影距離0.24mまで寄ると、広角特有のパースペクティブ(遠近感の強調)がかなり強く出ます。料理撮影で皿全体をバランスよく撮るなら、35〜50mm程度にズームして少し距離を取ったほうが歪みの少ない自然な描写になります。寄れるからといって常に最短で撮るのではなく、被写体に合わせて焦点距離と距離を調整することが重要です。
価格差は約15〜18万円——初代の中古相場と天秤にかける
S IIの実勢価格は約33万円前後(2026年6月時点)、希望小売価格は371,800円です。一方、初代NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 Sは生産終了となり、中古市場では15〜18万円程度で流通しています(時期によって変動)。
価格差は約15〜18万円。この差額で何が手に入るかを整理すると、130gの軽量化、AF速度5倍、インターナルズーム、最短撮影距離の短縮(0.38m→0.24m)です。これらの進化に15万円以上の価値を感じるかどうかが、買い替えの判断基準になります。
写真撮影メインでスタジオやロケで使う方なら、初代の光学性能は今でも十分に高く、AF速度も実用上問題ないレベルです。一方、動画撮影を頻繁に行う方や、ジンバル運用が多い方は、インターナルズームとSSVCMの恩恵が大きいので、S IIへの投資は合理的です。
実は、初代を中古で買って浮いた15万円で別のレンズ(たとえばNIKKOR Z 50mm f/1.8 Sや85mm f/1.8 S)を追加するという選択肢も十分にアリです。レンズ1本の完成度を求めるか、システム全体の充実度を優先するかで答えは変わります。
買い替えるべき人・初代で十分な人——用途で線引きする
S IIへの買い替えをおすすめできるのは、以下のような方です。動画撮影でジンバルを使う頻度が高い方、子どもやペットなど動く被写体を24-70mmで追うことが多い方、そして1日中機材を担いでロケに出る方。これらの方はインターナルズーム・SSVCM・軽量化の恩恵を日常的に受けられます。
逆に、初代で十分なのはこんな方です。主に写真撮影で、三脚を据えた風景・建築撮影が中心の方。AFの追従速度よりも解像力やボケ質を重視する方。初代の805gという重量が気にならない方。これらの方にとっては、初代の中古を選んで浮いた予算を別の機材に回すほうが合理的です。
まだニコンの大三元標準ズームを1本も持っていない方は、迷わずS IIを選んでください。初代を今から新品で買うことはほぼできませんし、中古で買っても数年後にはさらに世代の差が広がります。これから長く使う1本として投資するなら、最新設計のS IIを選ぶのが結局はコスパに優れます。
競合レンズ3本と数値で比較|このレンズの立ち位置が見える
NIKKOR Z 24-120mm f/4 Sとの使い分け——ボケか焦点距離か
同じニコンZマウントで最も比較されるのが、NIKKOR Z 24-120mm f/4 Sです。実勢価格は約14万円前後(2026年6月時点)で、S IIの約33万円と比べると19万円ほど安い。重量は約630gで、S IIの約675gとほぼ同等。フィルター径も同じ77mmです。
焦点距離は24-120mmと24-70mmで、望遠端に50mmの差があります。120mmまでカバーできれば、ちょっとしたポートレートや発表会のステージ撮影でもレンズ交換なしで対応できます。旅行やイベントで「1本で済ませたい」ならZ 24-120mm f/4 Sのほうが守備範囲は広いです。
一方、f/2.8とf/4では2段分のボケ量と光量の差があります。70mm f/2.8で撮るポートレートと120mm f/4で撮るポートレートでは、背景のボケ方がまったく違います。暗所でのISO感度も、f/2.8なら1段低く抑えられるため、画質面で有利です。
結論として、「ボケと暗所性能」ならS II、「焦点距離の汎用性と予算」ならZ 24-120mm f/4 S。両方持つのが理想ですが、1本目の標準ズームとしてどちらを選ぶかは、撮影ジャンルで判断してください。ポートレートやウェディングならf/2.8、旅行やスナップならf/4が正解に近いです。

「標準ズーム1本でどこまでカバーできるか」は、レンズ選びで誰もが一度はぶつかる壁です。広角から望遠まで幅広く撮りたいけれど、描写が甘くなるのは避けたい。そんな欲…
TAMRON 28-75mm F/2.8 Di III VXD G2との差——価格と描写のバランス
サードパーティ製の対抗馬として名前が挙がるのが、TAMRON 28-75mm F/2.8 Di III VXD G2です。ニコンZマウント版も展開されており、実勢価格は約9〜10万円前後と、S IIの3分の1以下で買えるf/2.8通しズームです。重量は約540gで、S IIより135g軽い。
ただし、広角端が28mmと24mmで4mmの差があります。この4mmは風景や建築の撮影では意外と大きく、24mmのほうが明らかに広い画角を確保できます。また、TAMRONのVXDモーターは高速ですが、ニコン純正のSSVCMほどのAF追従精度はボディとの最適化の面で及ばない場面があります。
描写面では、中心解像力はTAMRONも優秀ですが、周辺部の解像力とフレア耐性ではS-Lineの純正レンズに軍配が上がります。逆光耐性に関しては、S IIのメソアモルファスコート+アルネオコートが頭ひとつ抜けています。
予算を抑えてf/2.8の世界を試したい方、サブ機用に軽いf/2.8が欲しい方にはTAMRONは良い選択です。しかし、メイン機で本気の撮影に使うなら、AF精度・逆光耐性・ニコンボディとの最適化でS IIが確実です。価格差の約23万円をどう評価するかは、撮影の頻度と本気度で決めてください。
Sony FE 24-70mm f/2.8 GM IIとのクラス対決——他マウントからの参考値
マウントが異なるため直接の比較対象にはなりませんが、同クラスの指標としてSony FE 24-70mm f/2.8 GM IIは参考になります。重量は約695gで、S IIの約675gとほぼ同等。Sonyも軽量化に注力した設計で、両者ともにf/2.8標準ズームの「700g切り」を実現しています。
AF駆動はSonyがXDリニアモーター×2基、ニコンがSSVCMと、方式は異なりますがどちらも最新世代のリニア駆動系です。AF速度の公称値は直接比較できませんが、どちらも各社のフラッグシップボディと組み合わせれば不満のないAF性能を発揮します。
ニコンユーザーがこの比較を気にする必要はありませんが、「他社と比べてニコンの大三元は見劣りしないのか?」という不安に対しては、重量・AF性能・光学性能のいずれも同クラスかそれ以上と言えます。インターナルズーム機構はS IIの独自の優位点で、GM IIは繰り出し式です。
| 項目 | NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S II | NIKKOR Z 24-120mm f/4 S | TAMRON 28-75mm F/2.8 G2 |
|---|---|---|---|
| 焦点距離 | 24-70mm | 24-120mm | 28-75mm |
| 開放F値 | f/2.8 | f/4 | f/2.8 |
| 重量 | 約675g | 約630g | 約540g |
| フィルター径 | 77mm | 77mm | 67mm |
| 最短撮影距離 | 0.24m | 0.35m | 0.18m |
| 実勢価格(税込) | 約33万円 | 約14万円 | 約9〜10万円 |
被写体別おすすめ設定|24-70mm f/2.8の守備範囲を最大化する
ポートレート|70mm端でf/2.8は背景がどこまでボケる?
NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S IIの70mm端・f/2.8は、バストアップのポートレートで背景を十分にボカせる組み合わせです。被写体との距離を1.5〜2m程度に取り、背景との距離が3m以上あれば、背景はしっかりとボケて被写体が浮き上がります。
ただし、85mm f/1.4や105mm f/2.8のような専用ポートレートレンズと比べると、ボケの量も質も一歩譲ります。f/2.8の70mmは「きれいにボケる」レベルですが、「背景が完全に溶ける」レベルではありません。ポートレート専門で撮るなら、S IIに加えて単焦点を1本持っておくのが理想です。
S IIの強みは、24mmの全身〜環境ポートレートから70mmのバストアップまでズーム1本でカバーできる利便性です。ロケ撮影やウェディングスナップでは、レンズ交換の時間がないシーンが多く、この「1本で画角を変えられる」メリットは大きいです。f/2.8通しなので、どの焦点距離でも同じ露出設定で撮り続けられるのも実務では助かります。
設定の目安としては、屋外ポートレートならf/2.8〜f/4、ISO 100〜400、シャッタースピード1/250秒以上。室内ならf/2.8、ISO 800〜3200、シャッタースピード1/125秒以上を基準にしてみてください。

「人物をきれいに撮りたいけれど、なんだかパッとしない」「背景がごちゃごちゃして、被写体が目立たない」——そんな悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。ポー…
| 撮影シーン | 焦点距離 | F値 | ISO目安 |
|---|---|---|---|
| ポートレート(バストアップ) | 50-70mm | f/2.8〜f/4 | 100〜400 |
| 風景・建築 | 24-35mm | f/8〜f/11 | 100〜400 |
| テーブルフォト・物撮り | 35-50mm | f/4〜f/8 | 100〜800 |
| ウェディング・イベント | 24-70mm全域 | f/2.8〜f/5.6 | 400〜6400 |
| 子ども・ペット(室内) | 35-70mm | f/2.8〜f/4 | 800〜3200 |
風景・建築|24mm端でf/8〜f/11に絞ったときの解像感
風景・建築撮影では、S IIの24mm端をf/8〜f/11に絞って使うのが王道です。この絞り値では画面全体にわたってシャープな描写が得られ、周辺光量落ちもほぼ解消されます。S-Lineレンズの光学性能がもっとも安定する絞り域と言ってよいでしょう。
24mmは35mmフルサイズで画角約84°と、建物の全景や広い風景を収めるのに十分な広角です。ただし、超広角(14-20mm)ほどのダイナミックなパースペクティブは出ないため、空と地面の比率を意識した構図が重要になります。
三脚を使った撮影では、インターナルズームの恩恵はあまり感じません。むしろ全長が142mmと初代より16mm長いぶん、雲台との重心バランスが若干変わります。風景撮影メインで三脚常用の方は、S IIのメリットが「軽量化」と「コーティングの逆光耐性」に限定されることを理解しておいてください。
注意点として、f/11を超えて絞ると回折の影響で解像力がやや低下し始めます。パンフォーカスを狙う場合でもf/11程度にとどめ、必要に応じて前ピン・後ピンのフォーカスブラケットで対応するのが画質を最大化するコツです。
テーブルフォト・物撮り|最短撮影距離0.24mを活かす構図
S IIの最短撮影距離0.24m(24mm時)は、テーブルフォトや商品撮影でかなり使えるスペックです。カフェでラテアートを撮る、アクセサリーを接写する、手帳やガジェットをフラットレイで撮る——こうしたシーンで「もう少し寄りたい」に応えてくれます。
35〜50mmの焦点距離でf/4〜f/5.6に設定すると、被写体にピントを合わせつつ背景に適度なボケが出て、物撮りらしい仕上がりになります。f/2.8まで開けるとピントの合う範囲が狭くなりすぎるので、被写体の全体にピントを合わせたい場合はf/5.6〜f/8が無難です。
24mm端で被写体に寄ると、先述の通りパースペクティブが強く出ます。靴やバッグなど奥行きのある被写体では、手前が大きく・奥が小さく歪む描写になるので注意してください。歪みを活かしたダイナミックな表現には使えますが、ECサイトの商品写真のように形状を正確に見せたい場合は50mm前後のほうが適しています。
ここで覚えておきたい失敗パターンがあります。テーブルフォトでISO感度をオートにしたままf/2.8で撮影したところ、ISO 100まで下がってシャッタースピードが遅くなり、手ブレした——というケースです。室内の物撮りでは三脚を使うか、ISO 400〜800に固定してシャッタースピード1/125秒以上を確保するようにしましょう。
ウェディング・イベント|暗所でISO感度を抑えるf/2.8の強み
ウェディングやイベント撮影は、NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S IIがもっとも力を発揮するジャンルのひとつです。チャペルの暗い室内、披露宴会場のスポットライト、二次会の薄暗い照明——照度が目まぐるしく変わる環境で、f/2.8通しの明るさは大きな武器になります。
f/4通しのレンズと比べると、f/2.8は1段分多く光を取り込めるため、同じシャッタースピードでもISO感度を半分に抑えられます。たとえばISO 6400が必要なシーンでISO 3200に抑えられれば、高感度ノイズの差は歴然です。暗所画質にこだわるプロカメラマンがf/2.8大三元を選ぶ理由のひとつがこれです。
S IIのインターナルズームは、会場内を移動しながらズーミングしても鏡筒が伸びないため、ゲストの間を縫って撮影する際に鏡筒がぶつかるリスクも減ります。地味なメリットですが、実務では案外重要なポイントです。
デメリットは望遠端が70mmまでということ。ステージ上のスピーチやケーキカットを離れた位置から撮るには足りません。ウェディング撮影では70-200mm f/2.8との2本体制が基本で、S II 1本で完結させるのは難しい点は理解しておきましょう。
購入前に知っておくべき3つの注意点
手ブレ補正はボディ側に依存——レンズ内VRは非搭載
NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S IIにはレンズ内手ブレ補正(VR)が搭載されていません。手ブレ補正はボディ側のセンサーシフト式VRに完全に依存します。Z9で6.0段、Z8で6.0段、Zfで8.0段(CIPA基準)のボディ内手ブレ補正が利用できますが、Z50IIやZfcなどDXフォーマット機はシンクロVR非対応のため、レンズ側VRがないことが直接影響します。
風景や建築で三脚を使う方、または動画撮影でジンバルを使う方は問題ありません。しかし、手持ちで低速シャッターを切るシーンが多い方は、ボディ側の手ブレ補正性能を必ず確認してください。特にZ5はボディ内VRが5.0段と上位機より控えめなので、焦点距離70mm×低速シャッターの手持ち撮影ではブレに注意が必要です。
70-200mm f/2.8 VR Sにはレンズ内VRが搭載されている(それゆえ型番にVRが入っている)のに対し、24-70mm f/2.8 S IIにはVRがない。この違いは大三元を3本揃える際に見落としがちなポイントです。
・NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S IIにはレンズ内手ブレ補正(VR)が非搭載。手ブレ補正はボディ側のVRに依存します
・Z50IIやZfcなどのDXフォーマット機ではシンクロVR非対応のため、手ブレ補正の効きが限定的です
・フィルター径が初代の82mmから77mmに変更。既存の82mmフィルターは使えないため、買い替えコストを予算に組み込んでおきましょう
・全長が初代の126mmから142mmに伸びています。カメラバッグの収納スペースとの相性を確認してください
SDカードの書き込み速度不足で連写が止まる——失敗を防ぐカード選び
これはレンズの問題ではなくシステム全体の問題ですが、S IIのSSVCMを活かして動体の連写撮影を行うなら、メモリーカードの書き込み速度にも気を配る必要があります。Z8やZ9でRAW+JPEGの連写を行うと、1枚あたり50〜60MBのデータが高速で書き込まれます。書き込み速度が遅いカードでは、バッファが詰まって連写が途中で止まります。
Z9はCFexpress Type Bカード、Z8はCFexpress Type BとSDカード(UHS-II)のダブルスロットです。CFexpressスロットには書き込み速度1,000MB/s以上のカード、SDスロットにはUHS-II対応(書き込み速度90MB/s以上)のカードを入れておきましょう。UHS-I規格のSDカードでは書き込みが追いつかず、せっかくの高速AFが無駄になります。
意外と多い失敗パターンが、「カメラとレンズは最新にしたのに、SDカードは昔の安いUHS-Iのまま」というケースです。カード1枚で連写の歩留まりが大きく変わるので、S IIを購入するタイミングでメモリーカードも見直すことをおすすめします。
77mmフィルターへの買い替えコスト|初代からの乗り換え組は要注意
前述の通り、フィルター径が82mmから77mmに変更されています。初代NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 Sに合わせて82mmのPLフィルターやNDフィルターを揃えていた方は、S IIへの乗り換え時に77mmへの買い替えが必要です。
主要なフィルターの77mm版の価格目安は、PLフィルター(C-PLフィルター)が5,000〜15,000円、可変NDフィルターが8,000〜20,000円、保護フィルターが2,000〜6,000円です。PLとNDと保護を揃えると、安くても15,000円〜、こだわると40,000円以上の出費になります。
82mm→77mmのステップダウンリングを使えば82mmフィルターをS IIに装着すること自体は可能ですが、フィルターがレンズより大きくなるため、レンズフードとの干渉やバランスの悪さが気になります。実用的にはおすすめしません。
逆に、これからフィルターを一から揃える方にとっては、77mmは82mmより選択肢が豊富で平均単価も安いため、ランニングコストではむしろ有利です。NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR Sも77mm径なので、大三元2本でフィルターを共用できるのも大きなメリットです。

📷 この記事でわかること ・ズームレンズの種類(標準・望遠・広角・高倍率)と、それぞれの得意シーン ・F値「通し」と「変動」の違いが撮影にどう影響するか ・焦点…
よくある質問5選|購入前の疑問をスペックで解決
Z5やZfでも性能を活かせる?——ボディとの相性を考える
Z5やZfはニコンZマウントのフルサイズ機として人気のあるモデルですが、S IIの性能をどこまで引き出せるかはボディのAF演算能力次第です。光学性能——解像力、ボケ、逆光耐性——はボディに関係なく享受できるため、Z5やZfでもS IIの描写の恩恵は十分にあります。
AF速度については、Z5はEXPEED 6世代のAFアルゴリズムを使用しており、Z8やZ9のEXPEED 7世代と比べるとAF演算の処理速度に差があります。SSVCMの5倍速いAF駆動をフルに活かすには、ボディ側の処理が追いつく必要があるため、Z5では「初代より明らかに速い」レベルにとどまる可能性があります。
ZfはEXPEED 7を搭載しているため、Z8に近いAF性能を引き出せます。瞳AFや被写体認識の精度もZ8と同世代なので、S IIとの組み合わせは実用上十分に快適です。Zfの手ブレ補正は最大8.0段(CIPA基準)と強力で、S IIにレンズ内VRがない弱点を十分にカバーしてくれます。
結論として、S IIの光学性能だけでも投資に見合う価値がありますが、AF性能のすべてを引き出したいなら、EXPEED 7世代以降のボディとの組み合わせが望ましいです。
動画撮影でフォーカスブリージングは気になる?——インターナルズームの動画適性
フォーカスブリージングとは、ピント位置を移動させたときに画角がわずかに変わる現象です。写真では気にならなくても、動画ではフォーカス送り(ラックフォーカス)の際に画面が「伸び縮み」して見えるため、映像の品質を下げる原因になります。
S IIはフォーカスブリージングを抑制した光学設計になっています。加えて、Z8やZ9にはボディ側でフォーカスブリージングを電子的に補正する機能が搭載されているため、レンズの光学補正とボディの電子補正のダブル効果でブリージングはほぼ気にならないレベルになります。
インターナルズームとの組み合わせで、S IIは「ズーミングしても全長が変わらない」「フォーカスしても画角が変わらない」という、動画に求められる2つの安定性を同時に実現しています。シネマレンズほどの精度ではありませんが、ハイブリッド(写真+動画)撮影用レンズとしては高い動画適性を持っています。
注意点として、フォーカスブリージング補正をONにすると画角がやや狭くなる(クロップされる)ため、構図が変わります。撮影前にON/OFFを確認し、構図を調整しておきましょう。
大三元3本揃えるなら予算はいくら?——システム投資の全体像
ニコンZマウントの大三元レンズ3本を揃える場合、2026年6月時点の実勢価格の目安は以下の通りです。NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 Sが約28万円、NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S IIが約33万円、NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR Sが約32万円。合計で約93万円前後の投資になります。
ボディを含めると、Z8(約48万円)とのシステムで約141万円、Z9(約68万円)とのシステムで約161万円。大三元フルセットは文字通り「プロの仕事道具」の価格帯です。
いきなり3本揃える必要はありません。まずS IIの24-70mm 1本で標準域をカバーし、次に撮影ジャンルに応じて14-24mmか70-200mmを追加するのが現実的です。ポートレートやスポーツが多い方は70-200mm、風景や建築が多い方は14-24mmを優先するとよいでしょう。
予算を抑えたい場合は、14-24mm f/2.8 Sの代わりにNIKKOR Z 14-30mm f/4 S(約15万円程度)、70-200mm f/2.8 VR Sの代わりにNIKKOR Z 70-180mm f/2.8(約16万円程度)を選ぶと、大三元に近い画角を半額以下でカバーできます。

「Nikon の70-200mm f/2.8が欲しいけれど、Zマウントの新型と初代、Fマウントの旧モデルで何がどう違うの?」と迷っていませんか。大三元レンズの望…
まとめ|NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S IIは「持ち出す大三元」の新基準
NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S IIは、初代NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 Sの光学性能を維持しながら、130gの軽量化・AF速度5倍・インターナルズーム・最短撮影距離の短縮という4つの進化を盛り込んだレンズです。実勢価格約33万円(2026年6月時点)は安くありませんが、ニコンZマウントの大三元標準ズームとして、写真にも動画にも対応できる万能性は唯一無二です。
初代との最大の違いは「動かしながら使う場面」での性能向上です。ズーム中のAF追従60%向上、インターナルズームによるジンバル適性、675gの軽量ボディは、フィールドで積極的に持ち出すレンズとして設計されています。スタジオで三脚に据えるだけなら初代でも十分ですが、ロケ・イベント・動画撮影で使うならS IIの優位性は明確です。
この記事の要点を整理します。
- 重量は約675gでクラス最軽量。初代から130g軽量化し、Z8との組み合わせで約1,585g
- AF駆動はSSVCM搭載で初代比5倍の速度。ズーム中のAF追従も60%向上
- インターナルズーム採用で全長142mm固定。動画・ジンバル運用に最適
- 最短撮影距離0.24m(24mm時)、最大撮影倍率0.32倍でテーブルフォトもカバー
- フィルター径は82mmから77mmに変更。70-200mm f/2.8 VR Sとフィルター共用可能
- レンズ内VR非搭載。手ブレ補正はボディ側依存のため、ボディ選びが重要
- 初代の中古(15〜18万円程度)との差額は約15〜18万円。動画・動体撮影メインならS IIへの投資は合理的
これからニコンZマウントで大三元を始める方は、迷わずS IIを選んでください。初代を持っている方は、動画撮影の頻度とジンバル運用の有無で判断するのが合理的です。まずはニコン公式サイトでスペック詳細を確認し、可能であれば店頭でインターナルズームの操作感を試してみてください。
NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S IIは「軽い・速い・伸びない」の三拍子がそろった大三元標準ズームです。写真も動画もこの1本で標準域をカバーしたい方、ジンバルやイベント撮影でストレスなく使いたい方に最適な選択肢です。

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