夏の夜空を彩る花火。せっかくならカメラでしっかり残したいと思っても、「シャッターを押したら真っ暗だった」「光の線がブレてぐちゃぐちゃになった」という経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、花火撮影は「ISO100・F11・バルブ撮影」の3つの設定と、三脚・レリーズの2つのアクセサリーさえ揃えれば、エントリークラスのカメラでも十分に美しい1枚が撮れます。特別な高級機材は必要ありません。
この記事では、花火撮影に必要な機材選びからカメラの設定値、レンズの選び方、花火の種類別の撮り方、さらにスマホでの撮影テクニックまで、花火撮影のすべてを数値と根拠つきで解説します。今年の花火大会に間に合うよう、ぜひ最後まで読んでみてください。
・花火撮影に必要な機材5つと予算の目安
・ISO・F値・シャッタースピードの具体的な設定値
・広角レンズと望遠レンズの使い分けと構図のコツ
・スマホでも花火をきれいに撮る設定方法
花火撮影に必要な機材は5つ|カメラ本体よりもアクセサリーで差がつく

花火撮影の成否を分けるのは、実はカメラ本体のグレードではありません。三脚やレリーズなどのアクセサリー類がしっかり揃っているかどうかで、写真のクオリティが大きく変わります。ここでは必要な機材を優先度順に紹介します。
三脚は花火撮影で唯一の「必須」アイテム
花火撮影では数秒〜数十秒のバルブ撮影(長秒露光)を行うため、手持ちではブレて花火の光跡がまともに写りません。三脚は最優先で用意してください。エントリークラスの2,000〜5,000円の三脚でも花火撮影には十分です。ただし、風が強い河川敷で使う場合は耐荷重2kg以上・センターポールにフック付きのモデルを選ぶと安定します。高さは目線の高さ(140〜150cm程度)まで伸びるものが使いやすく、混雑した会場で周囲の頭越しに撮影できます。注意点として、安価な三脚はパン棒(雲台のハンドル)がプラスチック製で折れやすいものがあるため、購入前にレビューを確認しましょう。
レリーズ(リモートスイッチ)でシャッターブレを完全に防ぐ
三脚にカメラを固定しても、シャッターボタンを指で押す瞬間に微振動が発生します。レリーズ(リモートスイッチ)を使えば、カメラに触れずにシャッター操作ができるため、この振動を完全に防げます。有線タイプなら1,000〜3,000円程度で購入可能です。バルブ撮影ではシャッターを押し続ける必要があるため、ロック機能付きのレリーズが特に便利です。レリーズがない場合は、カメラのセルフタイマー(2秒)を代用できますが、花火の打ち上げタイミングに合わせにくいというデメリットがあります。
レンズはキットレンズ(18-55mm)で十分に始められる
花火撮影に高級レンズは不要です。カメラ購入時に付属するキットレンズ(焦点距離18-55mm程度)があれば、花火の全景から少しアップの構図までカバーできます。花火会場の近く(打ち上げ地点から300〜500m程度)で撮影するなら、広角側の18〜24mmで空全体を入れた構図が定番です。逆に、会場から離れた場所で撮る場合や花火の造形をクローズアップしたい場合は、焦点距離80mm以上の望遠レンズが必要になります。初めての花火撮影なら、まずキットレンズ1本で挑戦し、「もっと寄りたい」「もっと引きたい」と感じた部分を次回の機材選びに活かすのが効率的です。
NDフィルターは「花火が重なる場面」で白飛びを防ぐ切り札
スターマインのように短時間に大量の花火が打ち上がるシーンでは、F16まで絞っても露出オーバー(白飛び)になることがあります。ND4(光量1/4)またはND8(光量1/8)のフィルターをレンズ前面に装着すれば、絞りを開けたまま光量を落とせるため、白飛びを防ぎつつ花火の光跡をしっかり残せます。価格はレンズのフィルター径によりますが、ND4で2,000〜4,000円程度です。初回の花火撮影では必須ではありませんが、2回目以降は持っておくと撮影の幅が広がります。

三脚使用禁止の花火大会や観覧エリアもあります。事前に大会の公式サイトで三脚の使用可否を確認しておきましょう。禁止エリアでは一脚やミニ三脚(卓上三脚)で代用する方法もあります。
ISO100・F11・バルブが基本|花火撮影のカメラ設定を数値で解説
花火撮影のカメラ設定は、実は覚える数値が少なく、一度設定すれば撮影中にほとんど変更しません。ここでは各設定値の根拠と、状況に応じた微調整の方法を解説します。
ISO感度は100固定|花火は「見た目以上に明るい」被写体
花火は夜の暗闘で光るため「暗い被写体」と思いがちですが、実際は火薬の燃焼光なので光量は十分にあります。ISO感度はカメラの最低値であるISO100に固定してください。ISO100にする理由は2つあります。1つはノイズの抑制。ISO感度を上げるほど画像にザラつき(ノイズ)が出るため、最低感度が最も高画質です。もう1つは露出オーバーの防止。バルブ撮影では露光時間が長くなるため、ISO感度が高いとあっという間に白飛びします。「暗いからISO感度を上げよう」は花火撮影では逆効果です。
絞り(F値)はF11〜F13が万能|花火の種類で微調整する
絞りの目安はF11〜F13です。この範囲なら多くの花火を適正露出で撮影できます(タムロン公式の推奨値)。単発の大玉花火はF11で光跡をしっかり残し、スターマインのように連続で打ち上がる場面ではF13〜F16に絞って光量を抑えるのが基本的な使い分けです。F8以下に開くと花火の芯(中心部分)が白飛びしやすく、F16以上に絞ると花火の光跡が細く暗くなりすぎます。迷ったらF11で撮り始め、背面モニターで確認しながら調整しましょう。
シャッタースピードはバルブ(Bulb)一択|花火の「開き」に合わせる
花火撮影ではシャッタースピードを「バルブ(B)モード」に設定します。バルブ撮影とは、シャッターボタンを押している間だけシャッターが開き続ける撮影方法です。花火が打ち上がって空に広がり、消えるまでの3〜8秒程度をひと露光で捉えるのが基本です。レリーズのロックボタンを押してシャッターを開け、花火が開ききったタイミングでロックを解除してシャッターを閉じます。露光時間が短すぎると花火が途中で切れた写真になり、長すぎると煙が写り込んで花火がくすんで見えます。目安として、単発花火なら3〜5秒、複数の花火を重ねたい場合は5〜10秒程度です。

バルブ(Bulb)撮影=シャッターボタンを押し続けている間だけ露光する撮影モード。カメラのモードダイヤルを「M(マニュアル)」にし、シャッタースピードを最も遅い側に回すと「B」または「BULB」表示になります。
ホワイトバランスは「蛍光灯」か手動設定で色味を安定させる
オートホワイトバランス(AWB)のままだと、花火の色によってカメラがホワイトバランスを毎回変えてしまい、仕上がりの色味がバラバラになります。「蛍光灯」プリセットに固定するか、色温度を手動で3500K〜4500K程度に設定すると、花火本来の色を安定して再現できます。赤・オレンジ系の花火を暖色寄りに見せたいなら4000K〜4500K、青・緑系の花火を鮮やかに出したいなら3500K〜4000Kが目安です。RAWで撮影すれば後から自由に変更できるので、RAW撮影が可能なカメラならRAWで撮っておくと安心です。
ピントは打ち上げ前に合わせ終える|MFと無限遠の正しい使い方

花火撮影で意外と見落とされがちなのがピント合わせです。暗い夜空ではオートフォーカス(AF)がほぼ機能しないため、事前にマニュアルフォーカス(MF)でピントを合わせておく必要があります。
打ち上げ前に「遠くの光源」でピントを固定する手順
花火が始まる前に、会場周辺の街灯や建物の照明など、遠くにある光源にカメラを向けてAFでピントを合わせます。ピントが合ったら、レンズのフォーカスモード切替スイッチを「AF」から「MF」に切り替え、以後はフォーカスリングに触れないようにしてください。こうすることで、無限遠付近にピントが固定され、花火にもピントが合います。注意すべき点は、ズームリングを回すとピント位置がずれるレンズがあること(バリフォーカルレンズ)。焦点距離を変更したら必ずピントを再確認しましょう。
「無限遠=レンズの端」ではない点に注意
「無限遠に合わせる」と聞くと、フォーカスリングを端まで回しきればいいと思いがちですが、多くのレンズでは「∞マーク」の少し手前が本当の無限遠です。リングを端まで回すとオーバーインフィニティ(無限遠を超えた位置)になり、逆にピンボケします。必ずライブビュー画面を拡大表示にして、遠くの光源が最もシャープに見える位置で止めてください。この確認作業は明るいうちに済ませておくと余裕があります。
テープでフォーカスリングを固定すると安心
せっかく合わせたピントも、撮影中にフォーカスリングに手が触れてずれてしまうことがあります。ピント合わせ後にマスキングテープやパーマセルテープでフォーカスリングを固定するのは、プロカメラマンも使うテクニックです。100円ショップのマスキングテープで十分なので、カメラバッグに1つ入れておくと安心です。レンズを傷つけないよう、粘着力が弱めのテープを選んでください。

レンズの焦点距離で花火の印象はまるで変わる|広角と望遠の使い分け
同じ花火でも、使うレンズの焦点距離によって写真の印象はまったく別物になります。ここでは広角と望遠、それぞれの特徴と使いどころを整理します。
広角レンズ(24mm以下)は会場の臨場感ごと切り取れる
焦点距離24mm以下の広角レンズを使うと、花火だけでなく水面への反射、観客のシルエット、周囲のビル群など、花火大会の「場の空気」を1枚に収められます。特に河川敷や海上の花火大会では、水面に映る花火の反射を入れた構図が定番で、広角レンズの独壇場です。超広角(16mm以下)を使えばさらにダイナミックな構図になりますが、花火が画面内で小さくなるため、前景(橋・建物・人影など)を入れて構図のバランスを取る必要があります。広角側は歪みが出やすいので、花火を画面の中央付近に配置すると自然に仕上がります。
望遠レンズ(80mm以上)は花火の「造形美」を際立たせる
焦点距離80mm以上の望遠レンズを使うと、花火の1発1発の造形をクローズアップで撮影できます。花火の細かい色の変化や、火花が散る瞬間の繊細なディテールを写し止めるなら、望遠レンズが有利です。望遠になるほどファインダー内で花火を追いかけるのが難しくなるため、事前に打ち上げ位置を確認し、画角を固定しておくのがコツです。200mm以上の超望遠は花火全体が画面に収まらないリスクが高いので、初めての花火撮影には不向きです。まずは70-200mmクラスのズームレンズがあると、広角レンズとの2本体制で幅広い表現ができます。
実は「標準ズーム1本」が最もバランスがいい理由
意外と知られていないのですが、キットレンズに多い標準ズーム(24-70mmや18-55mm)は、花火撮影において最もバランスのいい選択肢です。広角端で全景を押さえ、望遠端で少しアップの構図も狙えるため、1本で2つの表現ができます。プロは広角・望遠の2台体制で撮影することもありますが、荷物が増えるうえに三脚も2本必要になります。「レンズ交換の手間」も花火撮影では大きなリスクです。レンズ交換中にクライマックスのスターマインを逃した、という話は珍しくありません。1本で完結させたいなら、標準ズームが最も実用的です。
| 焦点距離 | 得意なシーン | 注意点 |
|---|---|---|
| 16mm以下(超広角) | 花火+前景の風景写真 | 花火が小さくなるため前景が必須 |
| 24〜35mm(広角) | 花火全景+会場の雰囲気 | 定番の構図。迷ったらこの範囲 |
| 50〜70mm(標準) | 花火メインのバランス構図 | 打ち上げ位置が近いと収まらない場合あり |
| 80〜200mm(望遠) | 花火の造形クローズアップ | 画角が狭く花火を追いにくい |
花火の種類で撮り方を変える|単発・スターマイン・仕掛け花火の違い
花火大会では複数の種類の花火が打ち上がります。種類ごとに最適な撮影設定と構図が異なるため、事前に知っておくと現場で慌てません。
単発打ち上げ花火は「1発の完成形」を狙うのが王道
大きく1発ずつ打ち上がる花火は、花火撮影の基本形です。打ち上げ音が聞こえたらレリーズを押し、花火が空で完全に開ききったタイミングでレリーズを離します。露光時間は3〜5秒が目安。F値はF11で十分です。構図は花火を画面の上半分に配置し、下半分に地上の前景(建物・木々・水面)を入れると安定感が出ます。単発花火は軌道が予測しやすいので、初心者はまず単発花火で設定と構図の感覚をつかんでから、スターマインなどの複雑な花火に挑戦しましょう。
スターマインは「露光時間の短縮」と「NDフィルター」で白飛びを防ぐ
スターマインは短時間に大量の花火を連続で打ち上げる演出で、花火大会のクライマックスに多い見せ場です。単発花火と同じ設定で撮ると、光量が多すぎて確実に白飛びします。対策は3つ。①F値をF13〜F16に絞る、②露光時間を2〜3秒に短縮する、③NDフィルター(ND4〜ND8)を装着する。この3つを組み合わせて調整してください。スターマインは花火が画面全体を覆うため、広角レンズ(24mm以下)で撮影すると迫力のある1枚になります。ただし、煙が大量に出るため風下側から撮ると煙に花火が隠れるリスクがあります。風上側の場所取りが重要です。
仕掛け花火(ナイアガラ・文字花火)は横構図と長秒露光で撮る
ナイアガラ(滝のように火花が流れ落ちる仕掛け花火)は、カメラを横構図にして幅全体を収めるのがポイントです。打ち上げ花火と違って地上近くで展開するため、三脚の高さを低めに設定する場合もあります。露光時間は5〜15秒と長めに取り、火花が滝のように流れ落ちる光跡を全部記録します。F値はF11〜F13で、打ち上げ花火よりやや開け気味にするのがコツです。文字花火やキャラクター花火は一瞬で消えるため、打ち上げのタイミングを逃さないよう、プログラムで登場順を事前に確認しておくと安心です。
| 花火の種類 | ISO | F値 | 露光時間 |
|---|---|---|---|
| 単発打ち上げ | 100 | F11 | 3〜5秒 |
| スターマイン | 100 | F13〜F16 | 2〜3秒 |
| ナイアガラ | 100 | F11〜F13 | 5〜15秒 |
| 複数重ね撮り | 100 | F13 | 5〜10秒 |
スマホでも花火はきれいに撮れる|iPhone・Android別の設定方法
一眼カメラがなくても、スマホのカメラ機能を正しく使えば花火をきれいに撮影できます。ポイントは「オート任せにしない」ことです。
iPhoneは「Live Photos」+長時間露光エフェクトが手軽で高画質
iPhoneで花火を撮る最も簡単な方法は、Live Photos(ライブフォト)で撮影し、後から「長時間露光」エフェクトを適用することです。カメラアプリで画面上部のLive Photosアイコン(同心円マーク)をオンにして花火を撮影します。撮影後、写真アプリで画像を開き、左上の「LIVE」をタップして「長時間露光」を選ぶと、花火の光跡が合成された写真が自動生成されます。この方法なら三脚なしの手持ちでも、光跡がブレにくい仕上がりになります。ただし、手ブレが大きいと背景の夜景がブレるため、スマホ用三脚やミニ三脚があるとさらにきれいに撮れます。
Androidは「プロモード」でISO・シャッタースピードを手動設定する
Galaxy・Xperia・Pixelなどの主要Androidスマホには、「プロモード」や「マニュアルモード」が搭載されています。ISO感度を最低値(50〜100)、シャッタースピードを1/4〜2秒程度に設定し、フォーカスを手動で無限遠に合わせます。Samsung Galaxyの場合はカメラアプリ→「その他」→「プロ」から設定可能です。Pixel系はGoogleカメラアプリに「夜景モード」があり、花火にも対応できます。いずれの場合も、スマホ用三脚で固定すると成功率が上がります。スマホ用三脚は1,000〜3,000円程度で購入できるので、手持ちより圧倒的にきれいに撮れます。
デジタルズームは使わない|花火撮影ではトリミングが正解
スマホで花火を大きく撮りたいとき、ピンチアウトでズームしがちですが、デジタルズームは画質が大幅に低下します。特に夜間撮影ではノイズが目立ち、花火の光跡もぼやけてしまいます。花火はなるべく広角(ズームなし)で撮影し、後からトリミング(切り抜き)で構図を整えるのが正解です。最近のスマホは4,800万〜2億画素の高解像度センサーを搭載しているため、トリミングしても十分な画質が残ります。光学ズーム(iPhone 16 Proなら5倍など)が搭載されている機種は光学ズームの範囲内なら画質劣化なしで撮影できます。
・iPhone:Live Photos → 長時間露光エフェクト。手持ちでも光跡が残る
・Android:プロモード(ISO最低値・シャッタースピード1/4〜2秒・MF無限遠)
・共通:デジタルズーム不使用。スマホ用三脚で固定。後からトリミングで構図調整
花火撮影でやりがちな失敗5つと現場でできるリカバリー
花火大会は基本的にやり直しがきかない一発勝負です。よくある失敗パターンと、その場でできる対処法を事前に知っておけば、本番での成功率が格段に上がります。
失敗①「全部白飛び」はISO感度の上げすぎが原因
撮った写真を確認したら花火が真っ白に飛んでいた——これは花火撮影で最も多い失敗です。原因のほとんどはISO感度を上げすぎていること。「夜だから」とISO800やISO1600に設定すると、バルブ撮影で長時間露光するため光量が過剰になり、花火の色が消えて白い塊になります。対策はシンプルで、ISO100固定にするだけです。それでも白飛びする場合は、F値をF13→F16に絞るか、露光時間を短くしてください。撮影中に背面モニターでヒストグラムを確認し、右端(ハイライト側)にグラフが張り付いていたら露出オーバーのサインです。
失敗②「ピンボケ写真を量産」はAFモードのまま撮影した結果
暗い夜空にAF(オートフォーカス)を向けても、カメラはピントを合わせる対象を見つけられず、フォーカスが迷い続けます。結果として、シャッターが切れてもピントが合っていない写真になります。前述の通り、花火撮影では必ずMF(マニュアルフォーカス)に切り替え、事前に無限遠付近にピントを固定してください。「AFで撮って1枚もピントが合っていなかった」は、初めての花火撮影で最もショックの大きい失敗です。MFへの切り替えだけで防げるので、必ず打ち上げ前に確認しましょう。
失敗③「煙で花火が見えない」は風向きの確認で回避できる
花火は火薬を使うため、打ち上げるたびに大量の煙が発生します。風下で撮影すると、煙が花火にかぶって花火がぼんやり霞んだ写真になってしまいます。これは設定では対処できず、撮影場所の選定で決まります。花火大会当日の風向きを天気予報で確認し、できるだけ風上側の場所を確保してください。会場に着いてから風向きが変わることもあるので、可能であれば左右に移動できる余裕のある場所を選ぶと安心です。また、花火と花火の間に煙が流れるタイミングを待ってからシャッターを切ることも有効です。
失敗④「SDカードの書き込みが追いつかない」はカードの速度不足
RAWで撮影している場合、1枚あたりのファイルサイズが20〜50MB程度になります。SDカードの書き込み速度が遅いと、撮影後の書き込み中に次のシャッターチャンスを逃してしまいます。花火撮影ではUHS-I(最低書き込み速度30MB/s以上)のSDカードを推奨します。UHS-II対応のカードならさらに高速で、書き込み待ちのストレスがなくなります。連写を多用する場合や高画素機(4,000万画素以上)を使う場合は特に注意してください。古い低速カードを「まだ使える」と持ち出して、花火大会で初めて書き込みの遅さに気づくケースは意外と多い失敗です。
失敗⑤「花火の位置がフレーム外」は事前ロケハンで防ぐ
いざ花火が上がったら、想定より高い位置に打ち上がってフレームから切れていた——という失敗も多いです。花火の打ち上がる高さは花火のサイズ(号数)によって異なり、大玉の10号(尺玉)は高度約330mまで上がります。撮影場所を決めたら、まず広角側で数枚テスト撮影し、花火がフレーム内に収まることを確認してからズーム調整するのが確実です。大会プログラムに号数が記載されていれば、大玉の前に広角側に戻す準備ができます。余裕があれば、開始直後の小さい花火でフレーミングを確認し、本番に備えましょう。
□ カメラ本体(バルブ撮影対応)
□ 三脚(耐荷重2kg以上推奨)
□ レリーズまたはリモートスイッチ
□ 予備バッテリー(長秒露光はバッテリー消費が激しい)
□ 予備SDカード(UHS-I以上推奨)
□ NDフィルター(ND4〜ND8)
□ マスキングテープ(フォーカスリング固定用)
□ ペンライト(手元確認用・赤色推奨)
□ レジャーシート・虫除けスプレー
花火撮影は場所取りが9割|撮影スポット選びの5つの基準
どんなに設定が完璧でも、撮影場所が悪ければいい写真は撮れません。花火撮影の成否は、実は現場に到着する前にほぼ決まっています。
打ち上げ地点からの距離は300〜800mが撮影しやすい
打ち上げ地点に近すぎると花火を見上げる角度がきつくなり、首が痛くなるだけでなく花火がフレームに収まりません。逆に離れすぎると花火が小さくなり、周囲の建物に隠れるリスクも出ます。花火撮影に最も適した距離は打ち上げ地点から300〜800m程度です。この距離なら標準ズームレンズ(24-70mm相当)で花火全景からアップまで自由に狙えます。多くの花火大会は公式サイトに打ち上げ地点の地図を公開しているので、Googleマップで距離を測り、候補のスポットを2〜3か所ピックアップしておくと確実です。
風上かつ高台を選ぶと「煙かぶり」を回避できる
前述の通り、風下で撮影すると煙が花火にかぶります。風向きは当日の天気予報(風向き予報)で確認できますが、河川敷や海沿いでは局所的に風向きが変わることもあります。可能であれば、花火の打ち上げ地点より高い位置(橋の上、ビルの展望台、丘の上など)を選ぶと、煙の影響を受けにくくなります。高台から見下ろす構図は、花火と街の夜景を絡めた写真が撮れるため、作品としてもクオリティが上がりやすいポジションです。ただし、高台のスポットは人気が高いため、開場の1〜2時間前には到着しておく必要があります。
前景に「何を入れるか」で写真の印象が決まる
花火だけが写った写真と、手前に橋やビル群、水面の反射が入った写真では、印象がまるで違います。花火撮影のスポット選びでは「前景に何が入るか」を必ずチェックしてください。水面に花火が反射する河川敷・湖畔・海辺は最も人気の高い前景です。東京湾や隅田川の花火大会では、ビル群と花火の組み合わせが定番の構図になっています。前景を活かすには広角レンズ(24mm以下)が必要になるため、スポットとレンズの組み合わせをセットで考えましょう。
三脚を立てられるスペースと周囲への配慮を忘れない
花火大会は混雑するため、三脚を広げられるスペースを確保できるかは重要なチェックポイントです。一般観覧エリアでは三脚使用が禁止されていたり、人が密集して三脚を立てる余地がなかったりします。撮影目的で行くなら、有料の撮影席(あればですが)、少し離れた公園、対岸のスポットなど、スペースに余裕がある場所を選びましょう。周囲の観覧客の視界を三脚や体で遮らないよう、後方や端のポジションを取るのがマナーです。
まとめ|花火撮影は「準備8割・現場2割」で成功率が上がる
花火撮影は、事前の機材準備とカメラ設定、そして撮影場所の選定さえしっかり行えば、カメラの機種やグレードに関係なく美しい写真を撮ることができます。花火は毎年決まった時期にしか撮れない被写体だからこそ、本番までに準備を万全にして臨みましょう。
花火は「暗い場所の撮影」ではなく「明るい光源の長秒露光」です。この認識を持つだけで、ISO100に設定する理由もバルブ撮影を選ぶ理由も自然に理解できます。機材も設定もシンプルで、特別な高級機材は必要ありません。
最後に、この記事のポイントを整理します。
- 必須機材は三脚とレリーズの2つ。合計3,000〜8,000円で揃えられる
- カメラ設定はISO100・F11〜F13・バルブ撮影の3つを固定するだけ
- ピントはMF(マニュアルフォーカス)で無限遠付近に固定し、テープで動かないようにする
- レンズは標準ズーム(24-70mm / 18-55mm)1本で広角〜中望遠をカバーできる
- スターマインはF13〜F16に絞るかNDフィルターで白飛びを防ぐ
- 風上・高台・前景のある場所を選ぶと写真のクオリティが上がる
- スマホはiPhoneならLive Photos+長時間露光、AndroidならプロモードでISO最低値に設定
まずは三脚とレリーズを用意して、カメラをISO100・F11・バルブに設定するところから始めてみてください。今年の花火大会で、夜空に咲く大輪の花をしっかりカメラに残しましょう。
※花火の打ち上げ時間・会場ルール(三脚使用の可否など)は大会ごとに異なります。最新情報は各花火大会の公式サイトでご確認ください。

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