「カメラとレンズを安全に持ち運びたいけど、どのリュックを選べばいいかわからない」。カメラを始めたばかりの方も、機材が増えてきた中級者の方も、一度はこの悩みにぶつかるはずです。
結論から言うと、カメラ用リュック選びで重要なのは「容量」「気室構造」「アクセス方式」の3つです。この3つを押さえれば、予算1万円台でも十分に使えるモデルが見つかります。逆に、ここを見落とすと4万円のハイエンドモデルでも「なんか使いにくい……」という結果になりかねません。
この記事では、カメラ用リュックの選び方を5つの基準で整理し、1万円台〜4万円超の人気6モデルを容量・重量・価格で徹底比較します。撮影スタイル別のおすすめも紹介するので、あなたに合った1つが見つかるはずです。
・カメラ用リュック選びで失敗しないための5つの基準
・1万円台〜4万円超の人気6モデルのスペック比較
・撮影スタイル別(スナップ・登山・旅行)のおすすめモデル
・買ってから後悔しないための使い方とメンテナンスのコツ
カメラ機材の持ち運びにリュックが選ばれる3つの理由

カメラバッグにはショルダー・スリング・メッセンジャーなど複数のタイプがありますが、機材量がレンズ2本以上になるとリュックタイプが圧倒的に使いやすくなります。その理由を3つに分けて整理します。
両手が自由になるから撮影チャンスを逃さない
リュックタイプの最大のメリットは、両手が完全にフリーになることです。ショルダーバッグやメッセンジャーバッグは片手でストラップを押さえる必要があり、三脚のセッティングやレンズ交換のときに不便を感じる場面が多くなります。
リュックなら背負った状態で両手が使えるため、カメラの操作に集中できます。急に良い被写体が現れたときも、サイドアクセス機能があるリュックなら背負ったままカメラを取り出せます。特に動物や子どもなど、一瞬のシャッターチャンスが勝負になる被写体では、この「両手フリー」の恩恵は大きいです。
ただし、リュックを背負ったまま前面からカメラを出すのは構造上難しいモデルもあります。購入前に「どの方向からカメラにアクセスできるか」を必ず確認してください。
肩・腰への負担が分散されて長時間歩ける
カメラボディ1台とレンズ3本を持ち出すと、機材だけで2〜3kgになります。ここにバッテリー・SDカード・クリーニング用品・三脚を加えると、総重量は5kgを超えることも珍しくありません。
ショルダーバッグでこの重量を片肩で支えると、1〜2時間で肩が痛くなります。リュックは両肩と腰ベルトの3点で荷重を分散できるため、5kg以上の機材でも半日〜1日の撮影歩きに耐えられます。特にウエストベルト付きのモデルは、肩への負担をさらに30〜40%軽減できるとされています。
注意点として、リュック自体の重量も考慮が必要です。本体重量が2kgを超えるモデルだと、機材と合わせて7kg以上になり、軽量リュックのメリットが薄れます。後述する比較表で各モデルの重量を確認してください。
機材以外の荷物もまとめて1つに収まる
撮影に出かけるとき、カメラ機材だけを持っていく人は少数派です。財布・スマホ・飲み物・上着・ノートPCなど、日常の持ち物も一緒に運びたいのが本音でしょう。
2気室構造のカメラリュックなら、下段にカメラ機材、上段に日用品を分けて収納できます。容量20L以上のモデルであれば、フルサイズミラーレス1台+レンズ3本+13インチノートPC+着替えを1つのリュックにまとめられます。旅行や日帰り撮影で「カメラバッグ+普段のリュック」の2個持ちから解放されるのは、想像以上に快適です。
ただし、2気室構造はその分リュック本体が重くなりがちです。街歩きスナップでカメラ1台+レンズ1本しか持たないなら、1気室のコンパクトモデルのほうが取り回しやすいでしょう。
買ってから後悔しないための5つの選び方
カメラリュックは安いモデルでも1万円前後、高いものは4万円を超えます。一度買うと数年は使うアイテムなので、選び方の基準を明確にしてから比較検討することが大切です。
容量は「カメラ+レンズ何本」で逆算する
リュックの容量はリットル(L)で表記されますが、この数字だけでは実際に何が入るかイメージしにくいものです。目安として、カメラ本体1台+レンズ2本なら15L前後、レンズ3〜4本+ストロボなら20L前後、大三元レンズ3本+ボディ2台なら25L以上が必要になります。
選び方のコツは、今持っている機材を全部テーブルに並べてみることです。「今の機材がギリギリ入る容量」ではなく、レンズ1〜2本分の余裕を持たせたサイズを選んでください。機材は増える一方なので、ジャストサイズを選ぶと半年後には容量不足になります。
逆に大きすぎるリュックを選ぶと、内部で機材が動いてレンズやボディにぶつかるリスクがあります。仕切り(ディバイダー)の調整幅が大きいモデルなら、機材量に合わせてスペースを最適化できます。
「15Lで十分」と思って買ったリュックに、後から購入した望遠レンズが入らないケースは多いです。70-200mm F2.8クラスの望遠ズームは単体で約1kgあり、レンズ長も20cm前後。15Lクラスのリュックでは物理的に収まらないことがあります。購入前に「将来使いたいレンズの最大サイズ」も考慮に入れてください。
1気室か2気室かで収納の自由度が変わる
カメラリュックの内部構造は、大きく分けて「1気室」と「2気室」の2タイプがあります。1気室はリュック全体が1つの空間で、カメラ機材だけを入れる設計です。2気室は上下(または前後)に仕切られていて、カメラ機材と日用品を分けて収納できます。
1気室のメリットは軽量でシンプルなこと。カメラ機材だけを効率よく収納したい人、別にデイパックを持つ人に向いています。2気室のメリットは1つのリュックで全ての荷物が完結すること。旅行や日帰り撮影では2気室のほうが便利です。
デメリットとして、2気室モデルは構造が複雑な分、本体重量が1.3〜1.6kg程度と重くなりがちです。1気室モデルなら0.8〜1.2kgに収まるものが多いので、「機材+リュック」の総重量で比較してください。
背面・側面アクセスの有無が撮影テンポを決める
カメラリュックのアクセス方式は「上部」「側面」「背面」の3タイプがあり、これが撮影現場での使い勝手を大きく左右します。
上部アクセスは最もシンプルですが、下に入れたレンズを取り出すには上の荷物をどかす必要があります。側面アクセスは、リュックを背負ったまま体の横からカメラを出し入れできるため、撮影テンポが格段に上がります。背面アクセスは、リュックの背中側が大きく開く構造で、全ての機材を一覧できるため整理しやすい反面、必ずリュックを地面に降ろす必要があります。
おすすめは「側面アクセス+背面アクセス」の両方を備えたモデルです。普段は側面から素早くカメラを出し入れし、レンズ交換や機材整理のときは背面を開ける——という使い分けが理想的です。Lowepro BP250AW IIIやEndurance HGなど、この両方を備えたモデルが1万円台〜2万円台で手に入ります。
PC収納と三脚ホルダーの有無を見落とさない
撮影後にカフェでRAW現像をする人、撮影スポットまで三脚を持ち歩く人にとって、PC収納スペースと三脚ホルダーは必須機能です。
PC収納は13インチ対応と15インチ対応で、リュックの幅と重量が変わります。13インチ対応なら幅30cm前後に収まりますが、15インチ対応だと幅33cm以上になり、小柄な方には大きく感じることがあります。自分のPCサイズを測ってから選んでください。
三脚ホルダーは「サイドストラップ式」と「底面取付式」の2種類があります。サイドストラップ式は手軽ですが三脚が横に張り出して歩きにくくなることがあります。底面取付式は安定感がありますが、対応する三脚の太さに制限があります。トラベル三脚(収納時40〜50cm)を使うなら、サイドストラップ式で十分対応できます。
注意点として、三脚ホルダーが「付属」ではなく「別売り」のモデルもあります。購入前にスペック表で確認しましょう。

【カメラのトリセツ調べ】人気6モデルのスペック一覧比較

ここからは、価格帯の異なる人気6モデルを横並びで比較します。容量・重量・アクセス方式・PC収納の4項目を基準に、どのモデルが自分の用途に合うか判断してみてください。
| 項目 | Lowepro BP250AW III | Endurance HG | HAKUBA PEAK 25 | Manfrotto Advanced2 | Peak Design 20L | Peak Design 30L |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 容量 | 20.5L | 大容量(可変) | 25L | 約17L | 20L | 30L |
| 重量 | 1.2kg | 約1.5kg | 約1.4kg | 1.2kg | 約1.5kg | 約1.66kg |
| 気室構造 | 2気室 | 2気室 | 3室 | 1気室 | 1気室(FlexFold) | 1気室(FlexFold) |
| PC収納 | 13インチ | 15インチ | なし | 14インチ | 13インチ | 16インチ |
| アクセス方式 | 側面・上部 | 側面・上部・背面 | 側面 | 上部・背面 | 上部・両側面 | 上部・両側面 |
| 実勢価格 | 約13,000円 | 約18,000円程度 | 約28,000円 | 約15,000円 | 約39,000円 | 約42,000円 |
6モデルの選定基準と価格帯の分布
今回比較する6モデルは、価格.comの売れ筋ランキングとマイベストの人気ランキング(2026年6月時点)を参考に、価格帯が偏らないよう1万円台・2万円台・4万円台から2モデルずつ選定しました。
選定の条件は「一眼カメラ+レンズ2本以上が収納できる」「レインカバーまたは撥水素材を採用」「現行モデルとして購入可能」の3点です。限定モデルや生産終了品は除外しています。
価格帯の分布を見ると、1万円台のLowepro・Manfrottoはコストパフォーマンスに優れたエントリーモデル、2万円台のEndurance HG・HAKUBAは機能と品質のバランスが取れたミドルレンジ、4万円台のPeak Designは素材・設計・使い勝手で妥協しないハイエンドモデルという位置づけです。
容量で選ぶなら20L以上が安心ライン
6モデルの容量を見ると、最小がManfrotto Advanced2の約17L、最大がPeak Design 30Lの30Lです。カメラ本体1台+レンズ3本+小物類を収納するなら、20L以上のモデルを選ぶのが安心です。
Endurance HGはロールトップ構造のため容量が可変で、荷物が少ないときはコンパクトに、多いときは上部を広げて容量を増やせます。「今はレンズ2本だけど、将来は増えるかもしれない」という方には柔軟性のあるロールトップ構造が便利です。
一方、HAKUBA GW-ADVANCE PEAK 25は25Lと大容量ですが、登山向け設計のため外寸が290×590×230mmとやや大きめです。日常使いには少しオーバースペックに感じるかもしれません。用途に合った容量選びが重要です。
重量1.5kg以下なら長時間の撮影歩きでもつらくない
リュック本体の重量は、撮影の快適さに直結します。6モデル中、最軽量はLowepro BP250AW IIIとManfrotto Advanced2の1.2kgです。フルサイズミラーレス(約600〜700g)+標準ズーム(約500g)+望遠ズーム(約1kg)の合計約2.2kgに、リュック本体1.2kgを加えても総重量は3.4kg。これなら半日の撮影歩きでも負担は少ないです。
Peak Design 30Lは仕切りなしでも1.66kgあり、6モデル中で最も重くなっています。ただし、その分素材の耐久性と仕切りの自由度が高いため、単純に「軽い=良い」とは言い切れません。リュックの重量は「許容できる総重量から機材重量を引いた残り」で判断するのが合理的です。
目安として、体重の10%を超える荷物を長時間背負うと疲労が蓄積しやすくなります。体重60kgの方なら総重量6kgが目安。リュック本体が1.5kg以下なら、4kg分の機材を入れても余裕を持てる計算です。
1万円台で手に入るリュック|価格以上の実力を持つ2モデル
「最初の1つだから、あまりお金をかけたくない」という方に向けて、1万円台で購入できる2モデルを詳しく紹介します。
Lowepro ファストパック BP250AW III|20.5Lで約13,000円の高コスパ
Lowepro ファストパック BP250AW IIIは、容量20.5L・重量1.2kgのバランスが光る2気室リュックです。実勢価格約13,000円(2026年6月時点)で、1万円台前半という手頃さが魅力です。
最大の特徴は「QuickDoor」システム。側面のジッパーを開くだけで、背負ったままカメラを素早く取り出せます。上部の荷室は日用品、下部はカメラ機材と分けて使えるため、日帰り撮影にちょうどいい設計です。13インチノートPCの収納スペース、レインカバー(AW Cover)、三脚取付ベルトも標準装備で、この価格帯では機能の充実度が際立ちます。
弱点は13インチまでしかPCが入らない点と、外寸31.5×20×54cmとやや縦長なため、身長160cm未満の方には大きく感じる可能性がある点です。15インチPCを使っている方は、上位モデルのファストパック プロ BP250 AW III(25L)も検討してください。
| 容量 | 20.5L |
| 重量 | 1.2kg |
| 外寸 | 31.5×20×54cm |
| 気室構造 | 2気室(上部:日用品 / 下部:カメラ機材) |
| PC収納 | 13インチ対応 |
| 防水性能 | 撥水コーティング+AW Cover(レインカバー付属) |
| 実勢価格 | 約13,000円(2026年6月時点) |
Manfrotto Advanced2 Active|都会的デザインで重量わずか1.2kg
Manfrotto Advanced2 Active(MB MA2-BP-A)は、カメラ三脚メーカーとして知られるManfrottoが設計した1気室リュックです。外寸43×28×19cmとコンパクトで、重量も1.2kgと軽量。通勤や街歩きでも違和感なく使えるシンプルなデザインが特徴です。
内部は引き出し式のカメラ収納で、レンズ付きカメラ1台+交換レンズ2〜3本に対応します。14インチノートPC収納とレインカバーも付属。Manfrotto製の小型三脚やJOBY三脚を外付けできるストラップも備えています。
デメリットは、1気室構造のため日用品とカメラ機材を完全に分離できない点です。また、側面アクセスがないため、カメラを取り出すにはリュックを降ろして上部または背面を開ける必要があります。「撮影場所に着いたらじっくり撮る」スタイルの方に向いています。
SDカードの書き込み速度不足で連写データが消える失敗を防ぐ
リュック選びとは直接関係ないように見えますが、カメラ機材を一式揃えるタイミングで見落としがちなのがSDカードの性能です。せっかく良いリュックに機材を詰めて撮影に出かけても、SDカードの書き込み速度が遅いと連写時にバッファが詰まり、シャッターが切れなくなります。
具体的には、秒間10コマ以上の連写性能を持つカメラには、書き込み速度90MB/s以上のUHS-II対応SDカードが推奨されます。UHS-I(最大104MB/s)でも動作はしますが、連写後の書き込み待ちが長くなり、撮影テンポが落ちます。
リュックの小物ポケットにUHS-II対応の予備SDカードを1枚入れておく習慣をつけると、現場での「カードがいっぱい」「書き込みが遅い」というトラブルを防げます。カメラリュックを買うタイミングで、SDカードのスペックも一緒に見直してみてください。
2〜3万円台の本格派3モデルを比較する
予算に少し余裕があるなら、2〜3万円台のモデルは機能・耐久性・使い勝手のバランスが大きく向上します。ここでは、タイプの異なる3モデルを紹介します。
Endurance HG|ロールトップで容量を柔軟に変えられる
Endurance HGは、プロカメラマン中原一雄氏が監修したカメラリュックで、実勢価格約18,000円程度(2026年6月時点、時期によって変動)です。最大の特徴はロールトップ構造を採用した2気室設計で、荷物の量に応じて上部の容量を自在に調整できます。
下部のカメラ室にはフルサイズ一眼+大三元レンズを収納可能。上部には着替えや雨具も入るため、日帰りの撮影旅行で荷物が多いときも1つにまとまります。側面・上部・背面の3方向からアクセスでき、三脚ホルダーも2箇所装備。メッシュバックパネルで夏場の蒸れも軽減されます。
注意点は、ロールトップ構造のため上部へのアクセスにやや手間がかかること。頻繁に財布やスマホを出し入れするなら、上部にファスナーポケットがあるかどうかを確認してください。また、Endurance HGは公式サイトやAmazon等での取り扱いが中心で、量販店の店頭では試せないケースがあります。

HAKUBA GW-ADVANCE PEAK 25|登山にも対応する25Lの本格派
HAKUBA GW-ADVANCE PEAK 25 E1は、登山用バックパックの構造を取り入れたカメラリュックです。容量25L、重量約1,400g、希望小売価格約28,620円(税込)。日本人の体型に最適化されたハーネス設計が特徴で、背面長に合わせたフィッティングが得られます。
3室構造(上部+下部カメラ室+大型フロントポケット)で、カメラ収納部の内寸は220×220×120mm。フルサイズミラーレス+標準ズーム+単焦点レンズ程度が収まります。サイドアクセスでリュックを降ろさずにカメラを取り出せるのも登山中には助かるポイントです。インナーボックスを外せば通常の登山リュックとしても使えます。
弱点は、PC収納スペースがない点です。登山・アウトドア特化の設計なので、撮影後にカフェでRAW現像する用途には向きません。また、外寸290×590×230mmと大きめなので、電車移動がメインの街中撮影には大げさに感じるでしょう。
リュックを降ろさないとカメラが出せない——アクセス方式の確認不足を防ぐ
カメラリュックの失敗パターンで意外と多いのが、「デザインと容量だけで選んだら、毎回リュックを地面に降ろさないとカメラが取り出せなかった」というケースです。特に背面アクセスのみのモデルは、必ず地面に降ろす動作が発生します。
雨の日や泥道では地面にリュックを置きたくないですし、混雑した観光地では降ろすスペースがないこともあります。結局「面倒だからカメラをリュックに入れずに首からぶら下げたまま歩く」となり、リュックの意味が半減します。
購入前に「どの方向からカメラにアクセスできるか」をメーカーの公式サイトで必ず確認してください。Lowepro公式サイトやManfrotto公式サイトでは、アクセス方式の図解が掲載されています。
店頭やオンラインで購入する前に、以下を確認してください:
・アクセス方式(上部・側面・背面のどれに対応しているか)
・仕切り(ディバイダー)は自由に配置変更できるか
・レインカバーは「付属」か「別売り」か
・自分のカメラ+レンズの最大構成が収まるか(内寸で確認)
4万円超のPeak Design Everyday Backpackは価格に見合うのか
Peak Design Everyday Backpack V2は、カメラリュックの中でも高価格帯に位置するモデルです。20Lが約39,000円、30Lが約42,000円(いずれも2026年6月時点)。この価格差の正体は何なのかを検証します。
MagLatchとFlexFold仕切りが生む圧倒的な使い勝手
Peak Design Everyday Backpack V2の最大の特徴は、独自の「MagLatch」と「FlexFold」仕切りです。MagLatchは磁石で固定されるフラップで、片手でワンタッチ開閉が可能。従来のバックルやジッパーと比べて、開閉スピードが格段に速くなります。
FlexFold仕切りは、折り紙のように折りたためる可動式ディバイダーです。カメラ機材の形状に合わせて仕切りの角度や高さを変えられるため、「大きいレンズが1本と小さいレンズが2本」のような不規則な組み合わせにも柔軟に対応します。仕切りを全て外せば通常のバックパックとしても使えるので、撮影に行かない日でも出番があります。
また、両側面に設けられたUltraZipは天候に強い止水ジッパーで、側面から直接カメラにアクセスできます。デュアルサイドアクセスのため、右利きでも左利きでも自然な動作でカメラを出し入れできるのは、他のモデルにない強みです。
20Lと30Lのどちらを選ぶべきか
Peak Design Everyday Backpack V2は20Lと30Lの2サイズ展開です。20Lは13インチPC対応で重量約1.5kg、30Lは16インチPC対応で重量約1.66kg(仕切りなし)。価格差は約3,000円です。
20Lが向いているのは、カメラ1台+レンズ2〜3本の構成で、普段のバックパックとしても違和感なく使いたい方。30Lが向いているのは、カメラ1〜2台+レンズ4本以上、またはドローンや大型三脚も持ち運ぶ方です。30Lの外寸は56.5×21×30cm(MagLatch上部時)で、日常使いにはやや大きく感じる方もいます。
迷ったら20Lをおすすめします。実は多くのユーザーが「30Lは大きすぎた」と感じるケースが多く、20Lでもフルサイズ一眼+レンズ3本+13インチPCは十分に収まります。「大は小を兼ねる」は、背負って歩くリュックでは必ずしも正解ではありません。
高価格モデルの意外な弱点も知っておく
Peak Designは素材・設計・機能で間違いなくトップクラスですが、弱点もあります。まず、1気室構造のため日用品とカメラ機材を物理的に分離できません。FlexFold仕切りで区切れますが、2気室のような「完全な隔離」ではない点は理解しておく必要があります。
次に、重量です。30Lモデルは仕切り込みで2.01kgあり、6モデル中最も重い数値です。ここにフルサイズ一眼+レンズ3本(合計約3kg)を入れると総重量5kgを超えます。長時間の登山や街歩きでは疲労を感じやすくなるでしょう。
もう1つ、価格の壁です。約42,000円は「レンズがもう1本買える」金額です。予算に制限がある方は、1〜2万円台のモデルで浮いた差額をレンズやアクセサリーに回すという判断も合理的です。リュックにこだわるより、撮影の幅を広げるほうが写真の満足度が上がるケースも少なくありません。
撮影スタイル別|あなたに合うのはどのタイプ?
スペックだけでは選べないのがカメラリュックの難しいところです。ここでは撮影スタイル別に「どんなモデルが合うか」を整理します。
| 撮影スタイル | おすすめモデル | 予算目安 |
|---|---|---|
| 街歩きスナップ | Manfrotto Advanced2 Active / Peak Design 20L | 15,000〜39,000円 |
| 風景・登山 | HAKUBA GW-ADVANCE PEAK 25 | 約28,000円 |
| 日帰り撮影旅行 | Lowepro BP250AW III / Endurance HG | 13,000〜18,000円 |
| 海外旅行・長期旅 | Peak Design Everyday Backpack 30L | 約42,000円 |
街歩きスナップ派は軽量コンパクトが正解
街中でのスナップ撮影がメインなら、リュックに求めるのは「軽さ」と「見た目の自然さ」です。いかにもカメラバッグというゴツい外観は、街中では目立ちすぎて盗難リスクも上がります。
Manfrotto Advanced2 Active(約15,000円・1.2kg)は、カメラバッグに見えないシンプルなデザインで、通勤バッグとしても使えます。Peak Design Everyday Backpack 20L(約39,000円・約1.5kg)は価格が高い分、素材の質感やMagLatchの操作性が上回ります。どちらもカメラ1台+レンズ2〜3本の「軽装スナップ」に最適です。
街歩きスナップでは「カメラ+単焦点レンズ1本」だけという方も多いでしょう。その場合、カメラ専用リュックではなく通常のリュックにインナーケース(クッション入りのカメラ用仕切り、2,000〜3,000円程度で購入可能)を入れる方法もコスパが良いです。
風景・登山派は防水性と背面長で選ぶ
山岳撮影や風景撮影では、天候の急変と長時間の歩行に耐える設計が求められます。この用途ではHAKUBA GW-ADVANCE PEAK 25(約28,000円・約1,400g・25L)が最有力候補です。
登山向けリュックを選ぶポイントは3つ。第一に防水性:レインカバー付属は最低条件で、本体素材にも撥水加工が施されているかを確認します。第二に背面長のフィット:荷重が腰に乗らないリュックは、登山道で体力を消耗します。HAKUBA GW-ADVANCE PEAKシリーズは日本人体型に合わせたハーネス設計で、背面長のフィット感に定評があります。第三にサイドアクセス:山道でリュックを降ろすのは面倒なだけでなく、地面が不安定な場所では危険です。
注意として、登山用カメラリュックでもPC収納がないモデルが多い点は覚えておいてください。HAKUBA GW-ADVANCE PEAK 25もPC収納はありません。山小屋でRAW現像をする予定がなければ問題ありませんが、下山後にカフェで作業したい方は別途PCスリーブを用意する必要があります。
旅行派はセキュリティ機能と容量を両立させる
海外旅行や長期の撮影旅行では、「盗難対策」と「大容量」の両立が課題になります。背面アクセスのリュックは、背負った状態では第三者がジッパーを開けにくい構造なので、セキュリティ面で優れています。
Peak Design Everyday Backpack 30L(約42,000円・30L)は、止水ジッパーのUltraZipが側面アクセスと防犯性を両立しています。MagLatchは外部からの開閉がしにくい構造で、混雑した観光地でも安心感があります。30Lの容量があれば、カメラ機材に加えて1〜2泊分の着替えも入ります。
ただし、30Lリュックに機材と着替えを詰め込むと総重量7〜8kgに達することもあります。航空機の機内持ち込みサイズ(多くの航空会社で3辺合計115cm以内)に収まるかどうかも、旅行用リュックでは必ず確認してください。Peak Design 30Lは外寸56.5×21×30cmで3辺合計107.5cm。多くの航空会社の基準に収まります。
実はカメラ専用リュックが不要なケースもある
意外と知られていないことですが、カメラ専用リュックが必ず必要というわけではありません。カメラ1台+レンズ1本の「ミニマル構成」なら、普段使いのリュックにインナーケースを入れるだけで十分に保護できます。
インナーケース(クッションボックス)は2,000〜3,000円程度で購入でき、手持ちのリュックやトートバッグに入れるだけでカメラバッグに変身します。HAKUBAやエツミなどから多数のサイズが出ており、自分のカメラに合ったサイズを選べます。
この方法のメリットは、カメラを持たない日はインナーケースを外すだけで通常のリュックに戻せること。カメラ専用リュックを別に持つ必要がなく、荷物の総量も減ります。逆に、レンズ3本以上を持ち歩く、三脚を外付けしたい、登山で使うといったケースでは、やはり専用設計のカメラリュックのほうが安全で快適です。

カメラリュックを長く使うためのメンテナンスと保管のコツ
せっかく選んだカメラリュックも、手入れを怠ると防水性能が落ちたり、内部にカビが発生したりします。長く快適に使うためのポイントを押さえておきましょう。
使用後は中身を出して風通しの良い場所で乾燥させる
撮影から帰ったら、まずカメラ機材を全て取り出してください。機材を入れたまま保管すると、汗や湿気がリュック内部にこもり、カビやにおいの原因になります。特に夏場は背面パネルに汗が染み込みやすいため、帰宅後すぐに中身を出すことが大切です。
乾燥方法はシンプルで、ジッパーを全開にして風通しの良い日陰に半日〜1日置くだけです。直射日光は生地の色褪せや劣化を招くため避けてください。レインカバーを使った場合は、カバーも別に広げて乾かします。
定期的に(月1回程度)仕切りを外して内部を掃除機やブロアーでクリーニングすると、ホコリや砂の蓄積を防げます。カメラ機材にとってホコリは大敵なので、リュック内部の清潔さもカメラのコンディション維持につながります。
撥水スプレーの定期メンテナンスで防水性能を維持する
多くのカメラリュックは撥水コーティングが施されていますが、使用を重ねるうちにコーティングは劣化します。購入時の撥水性能が1年〜2年で低下するのは避けられません。
対策として、3〜6ヶ月に1回のペースでフッ素系撥水スプレーを外面に塗布してください。スプレーの価格は1,000〜2,000円程度で、1本あれば数回分使えます。塗布前にブラシで汚れを落とし、風通しの良い場所でスプレー→乾燥の手順です。シリコン系スプレーは生地の通気性を損なうため、必ずフッ素系を選んでください。
なお、「防水」と「撥水」は異なります。撥水は生地の表面で水を弾く加工、防水は生地自体が水を通さない構造です。多くのカメラリュックは「撥水」であり、豪雨の中では浸水する可能性があります。豪雨対策にはレインカバーの使用が確実です。
・撥水:生地の表面に加工を施し、水を玉状に弾く仕組み。経年劣化するため定期的なメンテナンスが必要
・防水:生地自体が水を通さない構造。完全防水のカメラリュックは少なく、多くは撥水+レインカバーの組み合わせ
・AW Cover:Lowepro独自のレインカバーの名称。リュック底部に内蔵されており、急な雨でもすぐに被せられる
保管時はリュックの型崩れを防ぐ一工夫を
長期間使わないときは、リュック内部に丸めたタオルや新聞紙を詰めて型崩れを防いでください。空の状態で棚に置くと、自重で底面やサイドが潰れ、仕切りの位置がずれることがあります。
保管場所は湿度40〜60%の室内が理想です。クローゼットの奥やカメラ防湿庫のそばなど、湿度が安定した場所がベスト。逆に、車のトランクや物置など高温多湿になりやすい場所は避けてください。生地の加水分解やファスナーの固着の原因になります。
ジッパーのメンテナンスも忘れがちなポイントです。ジッパーの動きが硬くなったら、シリコン系の潤滑スプレーをジッパー部分に薄く塗布してください。無理に引っ張るとジッパーが破損し、修理費用が数千円かかることもあります。予防のほうがコストは安いです。
まとめ|カメラリュック選びは「自分の撮影スタイル」から逆算する
カメラリュックは、価格が高ければ良い、容量が大きければ便利、というものではありません。大切なのは「自分がどんな撮影スタイルで、何を持ち運ぶか」を明確にしてから選ぶことです。
この記事で紹介した6モデルは、1万円台〜4万円超まで価格帯が幅広いですが、どのモデルにもそれぞれの強みと弱点があります。最も高価なPeak Design 30Lが万人向けではないし、最も安いLowepro BP250AW IIIが性能不足というわけでもありません。自分の機材量・撮影スタイル・予算の3つを軸に、最適な1つを選んでください。
記事のポイントを振り返ります。
- カメラ+レンズ3本以上なら容量20L以上が安心。将来の機材追加分も見込んでレンズ1〜2本分の余裕を持たせる
- 2気室構造は日用品とカメラを分離できるが、その分リュック本体が重くなる(1.3〜1.6kg)
- 側面アクセスがあると背負ったまま撮影でき、撮影テンポが上がる。購入前にアクセス方式を必ず確認
- 1万円台のLowepro BP250AW III(20.5L・1.2kg・約13,000円)はコスパ最強のエントリーモデル
- 2万円台のEndurance HG(ロールトップ・約18,000円程度)は容量可変で柔軟性が高い
- 4万円超のPeak Design Everyday Backpack V2はMagLatch・FlexFold仕切りが圧倒的だが、重量2.01kg(30L・仕切り込み)と重め
- カメラ1台+レンズ1本だけなら、通常のリュック+インナーケース(2,000〜3,000円)でも十分対応できる
まずは、今持っている機材をテーブルに全部並べて「何をどのくらい持ち運ぶか」を把握するところから始めてみてください。予算1万円台ならLowepro BP250AW III、予算2万円台ならEndurance HG、予算を気にせず最高の使い勝手を求めるならPeak Design Everyday Backpack V2 20Lがおすすめです。
※製品の価格・仕様は2026年6月時点の情報です。最新情報は各メーカー公式サイトでご確認ください。

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